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「仮想通貨市場は今後どうなる?」Consensus2022で複数の有識者に聞いた

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Consensus2022にて、有識者インタビュー

猛暑日の続く米南部テキサス州オースティン。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、3年ぶりに暗号資産(仮想通貨)業界最大級のカンファレンス「Consensus」がオフライン開催された。

FRB(米連邦準備制度)の金融引き締めやウクライナ情勢が金融市場全体に悪影響を及ぼす中、今年5月にはテラUSD(UST)のディペッグ騒動を引き金に融資企業や大手ヘッジファンドの財政危機に発展するなど負の連鎖に陥った。

昨年の仮想通貨バブルの様相から一転し、ビットコインが2万ドルの節目を割り込むなど「仮想通貨の冬(の再来)」と言ったフレーズも飛び交うようになった。

そのような状況にある中、仮想通貨・ブロックチェーン業界の今後の展望について、Consensus2022に参加した複数の業界有識者に見解を伺った。

仮想通貨の冬について

FTX:Sam Bankman=Fried CEO

今回の下落相場は、仮想通貨だけではなく、金融市場全体が影響を及ぼしている。

今後3〜6ヶ月以内に何をするかが大事になるだろう。相場の上下に関わらず、継続して良いプロダクトを開発していくことが重要だ。

FTXは、規制当局と良い関係を構築しながら、より良いプロダクトを提供していく。

関連: FTX社長が語る、仮想通貨の冬を乗り越えるカギとは

FTX.US:Brett Harrison社長

価格自体は下落しているものの、これまでの弱気相場と比較しても、機関投資家やベンチャーキャピタル(VC)の関心は衰えていない。

このような動きは長期的にはポジティブと捉えており、企業が継続して発展し続ければ、仮想通貨の”秋”はすぐに切り抜けられるはずだ。

弱気相場を脱却するカギは、より多くの人々が”長期的な価値”を理解して、人材やテクノロジーに投資することだと思う。私たちは、今後も投資への姿勢を変更するつもりはない。

関連:FTX.US・Brett Harrison社長との独占インタビュー

NEAR財団:Marieke Flament CEO

確かに「弱気相場」にあるとは思うが、過去の歴史でも何度も起こったことで底は近いと考えている。ただ、マクロ的に見ればさらに悪化する可能性もある。

NEARは、前回の弱気相場の底(2018年)に設立された。逆に言えば、強気相場にあるときは、誇大広告が多すぎてかえって良くないこともある。物事が過大評価されたり、FOMO(Fear of Missing Out:取り残されることへの不安)状態を引き起こすため、合理的な投資判断が難しくなるからだ。

そういった意味で、現実的な視点に立ち返ることは良いことでもある。

私たちがポジティブに考えているのは、エコシステムとしてすでに多額の資金調達に成功していることがある。私たちは今後も開発を継続出来るし、強力なビルダーの集団であり続けることが出来るだろう。

また業界全体で見ても、a16zやkatie haunのような仮想通貨業界に投資しているVCやファンドは出資を継続している。弱気相場が長引いた場合、現状のような評価額での資金調達が続くことは考えにくいが、業界に多くの資本が流入することは、長期的には才能ある人材の誘致にもつながる。

それと同時に、起業家達にただ資金を投げるだけではなく、適切な資金繰りを徹底し、より洗練されたビジネスモデルを実践することが重要だ。

前回の弱気相場との違いは

大きな変化のひとつは”人材”にある。今回のサイクルでは「Web3に参入するべき」と確信を持ったWeb2の人材が数多くいる。これは、2018年には考えられなかったこと。今回の相場急落で、応募してくる人材のパイプライン減少も考えていたが、市場が落ち込んだ後でもこの業界に入りたいと希望する人材は多い。

また、2018年には実現していなかったユースケースが今回は実例として挙げられる。ウクライナの状況は悲しい現実だが、その中でも私たちは仮想通貨を利用した「Unchainedファンド」を開始し、数日で1,000万ドル(13億円相当)の資金を調達し、現地に送金することができた。

このような事例から、もう後戻りすることは出来ないと考えている。

UST、テラ(LUNA)騒動から得るべき教訓とは?

DeFy Trends:Imge Su Cetin CEO

私たちのプラットフォームでツイッターやレディット、YouTubeなどに寄せられたSNSコメントを調査した結果、相場に対する恐怖感が投資家のセンチメントとして強いことが確認された。

しかし、私たちはまだDeFi(分散型金融)の初期ステージにいて、発展の余地が残されている。

テラ騒動からは、ブロックチェーン上の活動をしっかりと分析すること、そしてオンチェーン活動の重要性が如実に示された。

ブロックチェーンデータからは、大量の売りが確認されたが、個人投資家は最新の状況をより正確に認識して追跡するツールを必要としていることがわかった。

DeFiの活用方法についても、極端に高APR(年換算利回り)のものに魅了され、ステーキングして放置するのではなく、高い還元率の報酬プールの資金は一体どこから来ているのか、しっかりリスク調査する必要があることが教訓となった。

例えば、本当にステーブルコインをレンディングしている人々から来ているのか、それともテラが投資家から調達した4.2億ドルをそのまま担保したのか、といった点だ。

今回の事件は、オンチェーン活動を追跡するメリットを証明したとも言える。投資する際は長期目線でプロジェクトを分析し、細心の注意を払う必要性が浮き彫りになった。

一部では、「ステーブルコイン」という名称自体を変更するべきという意見もあるが、相場のセンチメントや信頼感は徐々に回復しつつある。

NFT市場について

FTX.US:Brett Harrison社長

NFT取引は、長期目線で見るとリアルな仮想体験が可能になる目標の前段階に過ぎない。旧フェイスブックはメタへと社名変更し、同社の企業路線はメタバースに焦点を置く体制へとシフトした。

短期的な価格変動があっても、この事実は変わらない。いくつかの店舗もデジタルな格好で店先を展開し、ゲーム会社は仮想通貨を利用したメタバース体験を構築している。

現時点では開発中なもの多く、今後も期待したい。

NFTY Labs共同設立者:Ty Blackard氏

有用なNFTのユースケースとは

NFT市場の現状として、さまざまな新しいユースケースが開発されているが、チケットなど有形なものが最も有望だと考えている。ゲーム内アセットのNFT化も素晴らしく、簡単なユースケースだ。

それ以外だと、音楽NFTが人気化しつつあるように感じる。インディー系アーティストのコンサートへのアクセスや、音楽の権利のNFT化、既存のストリーミングプラットフォームでは出来ないことが可能となる。

日本では、NFTをスマートロックに応用したシステムを開発したエンジニアがいるとも伺っている。

今後どのようなNFTゲームが台頭するか

ブロックチェーンゲームにしろ、NFTを利用したゲームにしろ、根本的にはゲーム自体を楽しくする点に集中した方が良い。長期目線のトークン経済を導入する前に、トークン設計がなくても楽しいゲーム基盤を作る方が、持続性が見込めるのではないか。

ゲームの本来の目的は娯楽にあるが、トークン経済をあまりに早く導入し過ぎるとユーザー体験が疎かになりがちだ。こういった観点から、ブロックチェーンゲームは、まだまだ長い道のりが待っていると言える。

最終的には、コール・オブ・デューティ(COD)など既存のゲーム内アイテムがNFT化され二次流通が可能になるような、NFT機能があくまで副産物である方向にいくべきだと思う。

Web3アプリのユースケースにしても、NFTを使っていることが一般ユーザーには分からないぐらいシームレスな体験になることが、価値提供につながるのではないか。

マイニングについて

Hut 8Mining経営企画部門:SVP・Sue Ennis氏

仮想通貨業界のエネルギー問題についてどう思うか

現在、メディアを中心に誤った情報が拡散されている。

「仮想通貨マイニングは、地球環境に悪い」という認識が浸透しているが、地球全体で排出されている電力は15万テラワットだとされる中、ビットコインのマイニングは、世界各国の総量を合わせてもたったの220テラワット、つまり世界全体の総電力消費量の内0.14%にしか過ぎない。

例えると、これは米国におけるエアコンによる電力消費量や金(ゴールド)の採掘にかかるエネルギー量よりも少ない。ゴールドに至っては、ビットコインの時価総額の3倍ほどの市場規模がある。北米圏でビットコインを批判している人々の多くは、ゴールドをポートフォリオに入れているのではないか。

このような誤解を解くため、弊社ではメディアや党派を問わず、イノベーションを絶やさないために、あらゆる政治家を中心とした啓蒙活動に力を入れている。私たちは、規制のない状況はベストではないという信念の下、イノベーションを育む規制を望んでいる。

まずは、正しい認識を持つための教育・認知に焦点を置く必要があるだろう。弊社は、ビットコイン採掘評議会の設立メンバーの一員でもある。イーロン・マスク氏やマイケル・セイラー氏、マイニング企業の関係者らがZoom会談を行い、誤情報を正していく点で合意に至った。

ビットコイン採掘評議会(BMC)とは

2021年に北米のマイニング企業が結成した業界団体。

メディアなどから環境負荷に対する懸念が高まる中、仮想通貨やビットコインのマイニングが環境に与える影響に関する自主的かつ適切なデータ開示を行い、業界内でのベストプラクティス実践を促していくことを目指す。

▶️仮想通貨用語集

仮想通貨のボラティリティ(価格変動性)についても頻繁に批判されているが、先日株式市場ではネットフリックスやShopifyの株価が70%近く急落する場面があるも、ボラティリティを批判していなかった。クリプト市場が、まるで安易なスケープゴートとして批判の的になっているかのようだ。

このような誤解を解くためには、データを活用して情報を正していく事が重要だと考えている。

また、ESGの観点では、環境問題を改善する上で、フレアガスと農業由来の温室効果ガスが大きな課題だという認識がある。

一例として、食用の牛肉1ポンドを生産するのに約30,000リットルの水が必要という統計もあるほか、牛はメタンガスを多く放屁するため、飼育の過程で多くの環境廃棄物が生じる。

ESGとは

環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の略称。昨今、事業面のポテンシャルだけではなく、多角的な側面から産業の影響を考慮した上で、環境問題や社会問題、国連の持続可能な開発目標(SDGs)などに貢献することが企業責任となりつつある。

▶️仮想通貨用語集

ビットコインはその性質上、最も低いエネルギー源を利用するようにインセンティブ設計されている。現在では、従来なら利用されない余剰なフレアガスを再利用して、ビットコインのマイニングに利用する取り組みもある。

再生可能エネルギーなどは、長期的には石油などより安価なため、マイニング企業はすでに環境保護に貢献していると言える。世界有数の石油大手であるエクソンモバイルも、このような仕組みを試験的に導入している。

さらに弊社は、企業として2025年までに二酸化炭素排出量実質ゼロの実現を目標にしている。大手監査法人アーンストアンドヤングから第三者監査を受けたほか、活用する自動車のEV化、再利用が可能なマイニング機器の梱包材の導入、北米地域のマイニング企業への採掘機器の修理サービス提供などの取り組みを行なっている。

北米大陸内で修理が完了できるため、海外に送付してから修理、その後北米に再び送り直す手間と環境負荷が削減できる。

ビットコインマイニングの最大シェアは2021年に中国から米国へと移動した。米国において、ある意味中央集権化するリスクは

そういった動きを懸念する必要はない。

ビットコインネットワークそのものが、全てのパーティがネットワーク全体を考慮した行動を促すようにインセンティブ設計されているからだ。

まず、マイナーになるためには、設備面だけでも膨大のコストがかかる。さらに、仮にDDoS攻撃や51%攻撃を仕掛けようと試みても、まずネットワークの51%に相当するハッシュレートを占領しなければならない。これだけでも推定数十億ドル単位の資金が必要となるだろう。

仮にネットワークの占領に成功しても、その仕組み上不正活動があったことは他のユーザーからも確認できるため、そのネットワークに対する需要は著しく低下する。攻撃者が仮想通貨全てを占拠できたとしても、事実上価値がなくなってしまう。

つまり、ビットコインネットワークの仕組みそのものが、悪意をもった第三者による攻撃を行う動機を抑制していると言える。

PoW銘柄全般に対する批判について

データを元に調査を続け、規制当局やメディアと積極的かつ地道に対話を重ねていく必要があるだろう。米マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏など、影響力のある人物が声を大にして正しい情報を発信し続けなければならない。

実際のところ、多くのマイニング企業は風力・太陽光発電企業と連携して、電力網を強化している。今後は風力・太陽光発電企業もより声を大きくしていくべきだろう。

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