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初心者向け|仮想通貨取引所のKYC手続きとは?スマホでできるeKYCの流れと注意点

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口座開設の必須手順

暗号資産(仮想通貨)取引所を利用し始めるには、口座開設時に「KYC(本人確認)」と呼ばれる手続きが必要です。これは、ユーザーの身分確認や、利用目的の確認を通じて、不正利用やマネーロンダリングを防ぐために行われるものです。

かつては本人確認書類の郵送やハガキの受け取りが必要でしたが、現在はスマートフォンを使った「eKYC(電子本人確認)」が主流。最短で即日完了するなど、手続きもスピーディーかつ手軽になっています。

本記事では、KYCの基本的な意味や必要性から、具体的な手続き方法、よくある失敗例とその対処法までをわかりやすく解説します。仮想通貨を安心して始めるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

1. KYC(Know Your Customer)とは? 制度的背景と目的

KYCとは、簡単に言うとサービス利用時に求められる本人確認のこと。

「Know Your Customer(顧客を知る)」の略で、金融機関や仮想通貨取引所が、ユーザーの身元や取引目的を確認するための手続きです。これにより、なりすましや詐欺行為、マネーロンダリング(資金洗浄)などの金融犯罪を未然に防ぐことができます。

日本では2008年に「犯罪収益移転防止法」が施行され、銀行や証券会社をはじめとする金融機関に、顧客の本人確認が法的に義務化されました。仮想通貨取引所もこの法律の対象に含まれており、資金の出入り口としての役割から、同様に厳格なKYC対応が求められています。

特に仮想通貨は、匿名性が高く、国境を越えた送金が容易なことから、犯罪者にとって悪用しやすい資産とされており、実際にマネーロンダリングや違法取引への懸念が国際的に高まっています。

こうしたリスクに対応するため、国際的な金融監視機関である FATF(金融活動作業部会)は、各国に対して本人確認の強化を要請。仮想通貨分野では、「トラベルルール」 と呼ばれる国際基準が整備されつつあり、取引所間で送金者・受取人の情報を共有する仕組みが求められています。

このようにKYCは、利用者の安全性を高めるだけでなく、金融システム全体の信頼性を守るための国際的なルールとして、ますます重要性を増しています。

2. なぜ本人確認が必要?ユーザーの安全と信頼のため

仮想通貨を安全に取引するには、自分自身の資産やアカウントを守る仕組みが欠かせません。KYC(本人確認)は、ユーザーの安全性やトラブル対応力を高めるための“盾”のような役割を果たしています。ここでは、KYCがユーザーにとってなぜ重要なのかを、実際に起こりやすいケースに沿って解説します

1. 不正利用・詐欺の抑止

仮想通貨に限らず、金融業界では、他人になりすましてアカウントを作成したり、盗んだ個人情報で不正取引を行ったりする詐欺が問題になっています。

KYCによって、本人確認が厳格に行われている取引所では、こうしたなりすましや不正ログインのリスクを大幅に抑えることが可能です。自分の名義で勝手に口座を開設される、といった被害を防ぐ第一歩にもなります。

2. トラブル時の迅速な対応

仮想通貨の取引は、一度送金してしまうと原則として取り消しができません。そのため、万が一アカウントが不正アクセスを受けたり、資産が外部に流出したりした場合には、迅速な対応が被害の最小化に直結します。

KYCを完了していれば、取引所側もアカウントの凍結や不審な送金申請の審査などの対応がスムーズになります。万が一のときに「どこの誰のアカウントか」が明確であれば、法的な追跡や補償交渉も行いやすくなります。

3. 信頼性の高いサービス利用につながる

KYCがしっかりと実施されている取引所は、規制当局の監督下にあり、信頼性の高い運営をしているケースが多いです。裏を返せば、本人確認が不十分な取引所は、悪意あるユーザーが入り込むリスクが高く、利用者全体にとって不利益をもたらす可能性もあります。

KYCを今すぐ済ませるべき理由

仮想通貨取引所では、メールアドレスを登録しただけでは、すぐにビットコインなどの売買はできません。実際に取引を始めるには、「KYC(本人確認)」を完了させ、可能であれば事前に日本円の入金まで済ませておく必要があります。

特に仮想通貨は価格の変動が大きく、購入タイミングの判断が重要です。

いざ「今すぐ買いたい!」と思っても、KYCが未完了であれば、せっかくのチャンスを逃してしまうことになりかねません。

本人確認の審査は、内容に不備があると数日かかることもあります。また、書類郵送による従来の手続きは、1〜2週間ほど要する場合もあるため、現代の取引スタイルには適しません。

その点、現在主流となっている「eKYC(電子本人確認)」であれば、スマートフォンからすべての手続きをオンラインで完結できます。中でもマイナンバーカードを使った「かんたんKYC」は、ICチップから正確な情報を読み取れるため、入力や撮影の手間が少なく、最短数分で完了するケースもあります。

3. eKYCの2つの方式とその違い

現在、仮想通貨取引所で主流となっている本人確認手続き(eKYC)は、大きく以下の2種類に分かれます。

  • 通常のeKYC(スマホ撮影方式)
  • かんたんKYC(マイナンバーカード等のICチップ読み取り方式)

それぞれの特徴や手続きの流れを、以下の表で比較してみましょう。

項目 通常のeKYC(セルフィー方式) かんたんKYC(マイナンバー方式)
主な確認手段 本人確認書類の撮影+セルフィー(顔写真) ICチップの読み取り(スマホでマイナンバー等をタッチ)
必要な機材 スマートフォンのカメラ NFC対応スマートフォン+ICカード
所要時間 数十分〜1日程度(審査含む) 最短数十秒〜数分
撮影の手間 書類や自撮りの角度・光量に注意が必要 撮影不要 or 最小限で済む
審査方式 画像をもとに人または事業者が判定 公的個人認証サービスによる、即時自動判定が主流
エラー・再提出 撮影ミスで再提出の可能性あり カード情報が正しければ即時完了しやすい
利便性 一般的で対応サービスが多い 対応取引所はまだ一部に限定される場合あり

取引所によってはどちらか一方のみ、または両方に対応している場合がありますので、まずは各取引所の対応状況を確認することが大切です。

そのうえで、自分の状況に合った方法を選びましょう。例えば、マイナンバーカードがない/スマホが非対応の場合、通常のeKYCとなります。

かんたんKYCの実用的メリット

かんたんKYCは、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を用いて、オンライン上で安全かつ確実に本人確認を行う方式です。これは「公的個人認証サービス(JPKI)」と呼ばれる仕組みに基づいており、なりすましやデータ改ざんのリスクを防ぎながら、スマートフォンだけで本人確認を完結させることができます。

この方式では、従来必要だった顔写真(セルフィー)の撮影が不要になる場合が多く、また、氏名や住所などの情報がICチップから自動で取得されるため、入力ミスや手間も最小限に抑えられます。

その結果、申請内容に不備がなければ、最短で数分程度で審査が完了することもあり、口座開設までの待ち時間が大幅に短縮されるのが特長です。

仮想通貨は価格変動が激しいため、タイミングよく投資機会をつかむためには、KYCと入金手続きを事前に済ませておくことが重要です。こうした背景から、かんたんKYCはスピードと正確性を兼ね備えた新しい選択肢として注目されています。

4. 本人確認に必要なものと手続きの流れ

🔸本人確認に必要な書類

仮想通貨取引所のKYCでは、以下のような政府発行の写真付き身分証明書が必要です。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 住民基本台帳カード

加えて、住所を証明する書類(住民票、公共料金の請求書など)を求められる場合もあります。

2. 手続きの基本ステップ(両方式共通)

ステップ 通常のeKYC かんたんKYC
① 基本情報入力 氏名・住所・連絡先等をフォームに入力 同様(簡略化されていることも)
② 本人確認書類の提出 スマホで書類を撮影・アップロード スマホでICチップを読み取り(タッチ)
③ 顔写真(セルフィー) スマホで自撮り(まばたきなどの指示あり) 不要 or 最小限(撮影なしで完了する場合も)
④ 審査完了通知 数十分〜数日後にメールで通知 即時〜数分で完了することが多い

eKYCで失敗しないための撮影ポイント

インターネットからKYCを行う「eKYC」では、本人確認書類をスマートフォンで撮影し、その写真を提出します。そのため、提出した写真によってはきちんと受理されない場合があります。

そこで、以下の点に注意して撮影しましょう。

  • 自然光の下や明るい室内灯の下で撮影する
  • 端が切れないよう書類全体を撮影する
  • 光が直接当たらないよう書類の角度を調整する
  • 文字や顔写真がはっきり読めることを確認する
  • 無地の机やテーブルの上で撮影する

また、受理されなくても、再度提出して手続きを行えます。受付は一度だけではないので、安心して手続きを始めましょう。

提出前の最終チェックリスト

スムーズにKYCを行うため、必要な本人確認書類を撮影したら、提出前に以下のチェックリストを活用して、正しく受理される写真なのか確認してください。

チェック欄 チェックポイント
提出する書類は有効期限内である
文字や顔写真が鮮明に写っている
光の反射や影で読めない部分がない
書類全体が写っている
JPEG、PNGなど指定されたファイル形式になっている
コピーやスクリーンショットではなく原本を撮影した

画像サンプル:NG例 vs OK例

  • NG例
    書類の一部が切れている
    光が反射して読めない
    ピンボケしている
    コピーや画像データの再利用
  • OK例
    書類全体が明るく、はっきり写っている
    原本をその場で撮影

5. KYCでよくあるつまずきと対処法

KYCの手続きはオンラインで完結し、郵送よりもスピーディーですが、撮影の不備や入力ミスなどで手続きが滞ることもあります。この章では、KYCで実際によくある失敗例と、再提出・修正時の対処法を分かりやすくまとめます。

1. セルフィー(顔認証)が通過しない

よくある原因 対処法
顔に影ができている、光が弱い 明るい場所で顔全体を照らす
背景がごちゃついている 無地の壁や白い背景で撮影
メガネやマスクが影響 メガネを外し、顔をしっかり映す
動作指示に正しく従っていない 画面の案内に従い、正確に動作する

2. 書類の撮影に関するミス

よくある原因 対処法
書類の端が切れている 書類を真上から撮影し、四隅を含める
ピンボケ・反射 自然光または明るい室内で再撮影
光で文字が見えにくい 書類の角度を調整し、文字が読めるか確認

3. 入力情報との不一致

よくある原因 対処法
氏名や住所の表記ゆれ 書類と完全に一致するよう入力(例:「1丁目1番地」vs「1-1」)
漢字・カナ表記ミス 書類と一致する表記で再確認

4. 審査が遅い/完了しない

よくある原因 対処法
不備のある画像や情報の提出 審査が止まる要因に。見直して再提出
システム処理の混雑 数日かかる場合もあるため、焦らず待機
それでも進まない場合 サポートセンターに問い合わせる(申し込み日時、提出書類の種類などを明記)

6. まとめ:KYCをスムーズに終えて、安全に取引を始めよう

仮想通貨取引所での口座開設には、KYC(本人確認)が欠かせません。ここでは、重要なポイントを改めて確認しましょう。

  • KYCの目的
     マネーロンダリング(資金洗浄)や他者へのなりすましなどの金融犯罪を防ぎ、利用者の資産を守るための仕組みです。国際的な規制にも対応する、金融インフラの一部ともいえます。
  • 必要な準備物
     運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの政府発行の身分証明書が基本。取引所によっては、住所確認書類(住民票・公共料金の請求書など)も必要になる場合があります。
  • 選べる2つの方式
     KYCの手続きには、「通常のeKYC(スマホ撮影方式)」と「かんたんKYC(ICチップ読み取り方式)」があります。ご自身の環境に応じて、手間やスピードを比較して選ぶのがおすすめです。
  • 公的な仕組みでより安全に
     かんたんKYCでは、公的個人認証サービス(JPKI)を活用することで、安全かつ確実な本人確認が可能になっています。

かつては、書類の郵送確認や数日単位の待ち時間が必要だった本人確認も、現在は最短数分で完了する時代になりました。事前に必要書類を準備し、手順を理解しておけば、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨投資の第一歩も安心して進められます。

本記事がKYC手続きの不安や懸念点を解消し、資産運用の後押しとなれば幸いです。

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