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『仮想通貨の下落トレンドとFTXのスタンス』FTX.US社長との独占インタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CoinPostとの独占インタビュー

暗号資産(仮想通貨)業界の風雲児であるサム・バンクマン=フリードが2019年に設立した大手取引所FTX。当初デリバティブ(金融派生商品)に特化した投資家ファーストのアプローチで台頭し、2022年現在では世界有数の大手取引所に成長しました。

CEOのバンクマン=フリード氏は、フォーブス誌の億万長者番付に名を連ねるだけではなく、米国首都の公聴会で参考人としてワシントンDCへ頻繁に出向くなど、今や業界の第一人者として名実ともに知られた存在です。

2022年には、国内でも老舗の暗号資産交換業者Liquid Global買収を通じて日本進出を果たしたFTX。規制面でも米国のCFTC(商品先物取引委員会)と連携して法改正に臨むなど、先駆的な取り組みが目立つ企業と言えます。

今回、Consensus 2022で登壇したFTXの米国法人「FTX.US」のブレット・ハリソン社長(President)との独占インタビューを米国テキサス州オースティンで実施。業界の現状や今後の取り組みについて見解を伺いました。

CFTCと取り組む法改正

ーFTXはCFTCと連携して清算機関に関する規制改正を試みています。米議会との対話の中で、規制当局の温度感をどのように捉えていますか。

はい、我々は現在顧客にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)先物での証拠金取引の提供を目指しています。このためには、ライセンスを修正して、CFTC(商品先物取引委員会)に申請する必要があります。

我々の申請は非連動式先物を可能にするだけではなく、24時間清算を可能にするもので、業界的にも新しい技術であるため、自然と多くの疑問と期待が生じています。

規制当局と多くの議論を重ねていますが、前向きな結果が出ると期待しています。

新サービスについて

ーFTX.USは株取引のベータ版を最近開始しました。日本や他の地域でも同様のサービスを提供する予定はありますか。

FTXの目標は、一つのアプリで包括的な金融サービスを提供できるワンストップショップになることです。

この目標があるからこそ、我々は証拠金取引やデリバティブ、NFTなどの取引も提供しています。米国では、我々の持ち合わせる技術を伝統的な資産クラスでも提供するべく、株式やデリバティブの取り扱いを開始しました。

これにより、顧客が複数の資産をトレードしたい場合、複数のアカウントを複数の取引所で作成しなくても、一つのアカウントで様々な取引を行うことができます。

長期的には、米国以外の拠点でも同様のサービスを提供したいと思います。

ーFTXは2021年後半にNFT取引も開始しました。NFT市場を民主化する上での戦略、そして日本でも同様なサービスを提供するご予定があるかお聞かせください。

当初の目的は、NFT取引を容易化することでした。

一般的なユーザーがNFTを購入するまでには、乗り越えるべきステップが沢山あります。まず取引所でイーサリアム(ETH)を購入、その後メタマスクなどのデジタルウォレットを作成してから….

一部の著名人は、詳しい人にNFT購入を代行してもらうほどの難しさです。

しかし、NFTが大体的に普及するためには、このプロセスが簡単になることが必要不可欠です。そこで、取引所として我々はオンランプを容易にしました。

特にゲームやデジタルコレクタブルの領域で。我々はNFTの長期的なポテンシャルを信じています。

また、取引を容易にするだけではなく、日本などの規制区域でも法律を遵守した格好で実現したいと考えています。我々は常に金融庁をはじめとする規制当局と連絡を取っており、法的コンプライアンスを保っていることを確認しています。

我々は正しい方法でスケールしていくことを望んでいます。

ーFTX.USの新オフィス設立、おめでとうございます。ニューヨークや西海岸ではなく、シカゴに本拠地を設置した理由をお聞かせください。

我々は本格的な金融企業です。ブローカーディーラーも手がけています。

シカゴはCboEやCMEを筆頭に、多くのヘッジファンドや金融機関が拠点を置く金融イノベーションのハブです。そのため、シカゴに拠点を置くことで、FTXが本格的なプレイヤーであることを示す意味があります。 単純に住みやすい場所でもありますけどね笑

最近では大リーグや高級品、Web3などFTXブランドはすでに多数のジャンルに進出しています。今後どのような方向に進むのでしょうか?

FTXは取引所としてではなく、グローバルな決済プロバイダーとして捉えることもできます。

また、FTXは地元通貨へのオン・オフランプを初めて導入した取引所の一つです。既に米ドル(USD)や日本円(JPY)での入金は容易にできるほか、アフリカ、欧州、東南アジアでも同様の取り組みを進めています。

我々はFTXをグローバルフィンテック企業として捉えています。

仮想通貨の冬について

ーテラ・UST騒動は相場のセンチメントを大きく揺るがしました。2018年と同じように「仮想通貨の冬」が再来したいう意見についてはどう思われますか?

これまで仮想通貨市場が経てきた弱気相場と比較してみても、価格自体はあらゆる資産クラスで値下がりしていますが、機関投資家やVCの関心は衰えていません。

私はこの動きを長期的には前向きな動きとして捉えており、企業が継続して投資や発展を続けていけば、この仮想通貨の”秋”はすぐ切り抜けられるでしょう。

ー弱気のサイクルを脱却するカギは

弱気相場を脱却するカギは、より多くの人々がこの領域の長期的な価値を理解して、業界人やテクノロジーに投資することだと思います。

人々はどうしても一時的な価格変動に目を奪われがちですが、大半の投資家はこの領域を長期的な目線で信じています。その為、我々は投資する額を変更しません。

ー相場環境悪化に伴いNFT市場ではフロアプライス(底値)が軒並み急落しており、昨秋バズワード化したメタバースへの関心も衰えている印象があります。今後どうなるとお考えですか。

NFT取引は長期目線では、リアルな仮想体験が可能になる目標に比べれば目眩ましに過ぎないかと思います。実際メタ社(旧フェイスブック社)は社名を変更し、メタバース関連事業に焦点を置く企業路線にシフトしました。

短期的な価格変動があっても、この事実は変わりません。多数の店舗もデジタルな格好で店先を展開して、ゲーム会社は仮想通貨を利用したメタバース体験を構築しています。まだまだ開発中なものも多いので、この領域の動向には引き続き期待を持って注目しています。

ー一部の仮想通貨取引所は、弱気トレンドでの業績悪化を背景に大規模な人員(人件費)削減を行なっています。FTXはいかがでしょうか。

我々はまだ小さい会社です。世界中で300人しか雇用していません。我々は今後も効率的にスケールし、良い形でプロダクトを構築してきたという自負があります。

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