ステーキング提供のFigment、イーサリアムのMEV収益をユーザーに還元へ

検証者の追加収益を還元

暗号資産(仮想通貨)のステーキング会社Figmentは16日、プルーフオブワーク(PoS)移行後のイーサリアム(ETH)の検証作業で得られる収益の一種「MEV」をユーザーに還元することを発表した。

MEVは「Maximum Extractable Value=最大抽出可能な価値」と呼ばれる、DEX(分散型取引所)等でアクティブなトレーダーが支払う追加手数料などの総称。イーサリアムでは公開されたメモリープール上で決済前のトランザクションが閲覧できるため、専門的プレイヤー(サーチャー)がマイナーにより高い手数料を支払い、有利な取引を滑り込ませるフロントランが横行している。

FigmentはMEVの機会をより民主化し、手数料高騰を抑えることを目的に開発されたソリューション「Flashbots(フラッシュボット)を導入する。

Flashbotsはブロック生産者とサーチャーのホットラインであり、サーチャーはメモリープールを見ながら希望のトランザクション順序を作成して、フィーを載せてダイレクトに依頼できる。MEVを逆手に取った発想は、公開ネットワーク手数料の低減やマイナーの報酬増といったメリットも重なり、22年5月時点に90%以上のイーサリアム・マイナーがブロック採掘の一部で使用している。

イーサリアムは9月に予定される「The Merge(マージ)」を迎えると、マイニングが必要な従来のプルーフオブワーク(PoW)が終了し、ETH保有量で検証者が決まるPoSに切り替わる。

関連:イーサリアム開発者、「マージ」実施目標を9月に設置

PoSでは、Figmentのような検証者(バリデーター)がブロック生産者となる。そして同社はFlashbots導入から発生する収益をステーキングユーザーに分配することを宣言した。

MEV分配は、Figmentでのステーキング報酬の増加要因となり、競合も追従することが推測される。Flashbotsが普及するほどネットワークの手数料高騰が抑えられることが期待され、そうなれば一般イーサリアム・ユーザーにとってもメリットがある。

Figmentは公正なMEVにより、イーサリアムのステーキングの増加と顧客利益最大化に結び付けたいと、CoinPost提携メディアThe Blockに対して以下のように述べた。

MEVは避けられないが、抽出された価値へのアクセスを民主化する方法はある。(MEVで得た)報酬をデリゲーターと共有することだ。

トロントを本拠とするFigmentは、150以上の機関投資家にカストディとステーキングサービスを提供する。21年8月のシリーズBラウンドでは企業評価額約600億円(5億ドル)で約60億円(5000万ドル)を調達。イーサリアム以外にも、60種類以上のPoS採用のブロックチェーンをサポートしている。

PoSとは

保有(=ステーキング)する仮想通貨の割合に応じて、ブロックを新たに承認・生成する権利が得られるコンセンサスアルゴリズムのこと。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うPoWに比べ、環境への影響が少ないとされる。

▶️仮想通貨用語集

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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