ビットコイン24000ドル台から反落、難易度調整は1年ぶりの下落幅を観測する見通し
仮想通貨市況
20日の米株式市場では、ダウが前日比47ドル(0.2%)高と続伸した。
ミシガン大学のインフレ指数低下などを背景に歴史的水準にあるCPI(米消費者物価指数)が天井を打ったとの見方があり、FRB(米連邦準備制度)の利上げ加速への懸念は後退しつつある。
米ドル高進が反作用して原油高など資源高騰がようやく一服し、足元でガソリン価格などが下落していることも追い風だ。
一方、21日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.7%安の315万円(22,800ドル)と下落した。
一時24,287ドルまで続伸したが、ここのところの連騰で足元では過熱感が出ており利益確定売り優勢に。
また日本時間5時頃には、テスラ社の決算発表で大量保有していたビットコインの内9億3600万ドル相当を6月末までに売却したことが判明。BTC価格が急落する場面があった。
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テスラは、ビットコインが3年ぶりに最高値を更新するなど強気相場の真っ只中にあった2021年初頭。 平均価格約31,700ドルで15億ドル相当のビットコインを購入した。
BTC売却についてテスラのイーロン・マスクCEOは、「ビットコインへの評決ではなく、中国のコロナ対策ロックダウンなど相場の流動性懸念と不確実性に備えキャッシュポジションを最大化した一時的な措置」と説明。ドージコイン(DOGE)の保有量を減らしていないことにも言及した。
ただし、すでに大きな売り圧力が解消されていることはむしろポジティブと見る向きもある。
今年5〜6月にかけて金融市場の市況が急悪化したほか、大手ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)やCelsius Network(セルシウス)の債務超過危機が市場を揺るがしており、米最大手上場企業としてキャッシュフロー改善、及びリスク回避の動きが出ることは想像に難くない。
一方、米Galaxy Digitalの運用ファンド(Galaxy Institutional Ethereum Fund)は、100億円相当のイーサリアムを購入したことが米SEC(証券取引委員会)の書類で明らかになった。
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今後も不安定なマクロ経済に大きく左右されるとの市場コンセンサスで一致する中、短期的な見方では投資家の見解も二分する。
下目線を貫くil Capo Of Crypto(@CryptoCapo_)氏は、「短期足の強気転換に疑いの余地はないが、週足以上は依然として弱気トレンドの最中にある」と指摘。目標価格15,800ドル〜16,200ドルを据え置いた。
根拠の一つとして、エリオットウェーブの下降3波目が来ていない点を挙げた。
エリオットウェーブは、1つの周期で「上昇波」5つと「下降波」3つが形成されるという理論。
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次の難易度調整は
Arcane Researchの週次レポートによれば、本日夜頃に見込まれるビットコインのディフィカルティー(採掘難易度)調整は、21年7月以来最大となる-5%弱のドローダウンを観測する見通し。
Average Hashrateの下落とともに、7月7日の難易度調整では2回連続下落していた。デフィカルティ調整が適切な水準まで調整されれば、淘汰が進むとともに、採算の取れる高効率マイナーが新たに参入してくる可能性もある。
採掘マシンの性能向上ともに右肩上がりの上昇を続けてきたハッシュレート(採掘速度)は今年6月頃からピークアウトしており、今年3月と同水準まで落ち込んでいる。ハッシュレートとは、ビットコインをマイニング(採掘)する際の秒間計算力のこと。
ここ数年間の大規模調整は、コロナ・ショックの発生した20年3月のほか、20年5月、20年10月、中国がマイナー全面禁止を発令した21年7月が該当する。
Hash Ribbons(ハッシュリボン)インジケーターによると、現在は60日移動平均線が30日移動平均線を上回り、マイナー(採掘業者)の降伏シグナル及び相場の底が近い可能性を示唆している。
2018年の弱気相場サイクルでは、マイナーの降伏期間は72日間続いた。今回は、現時点で42日間継続している。
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