ビットコインのユースケース拡大へ Dfinity、「ckBTC」のローンチを発表
ビットコインのユースケース拡大へ
ワールドコンピュータの構築を目指すプロジェクト「Dfinity」は3日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に1:1で裏付けられた独自トークン「ckBTC(Chain-Key Bitcoin)」が正式にローンチしたことを発表した。
ckBTCは、ブロックチェーンネットワーク「Internet Computer(IC)」上でビットコインを活用するためのトークン。IC上において、DEX(分散型取引所)でビットコインの通貨ペアを提供したり、資金調達をビットコインで行ったり、Web3のSNSでチャットを介してsatoshiを送金したりできるようになったと、Dfinityは用途を紹介している。
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satoshiとは
ビットコインの最小通貨単位のこと(0.00000001BTC=1Satoshi)。名称は、ビットコインの技術論文著者である正体不明の人物、もしくは団体である「サトシ・ナカモト」に由来する。
▶️仮想通貨用語集
Dfinityは発表の冒頭で、2022年はDeFi(分散型金融)やブリッジにとって厳しい年になったと説明。クロスチェーンのブリッジはハッカーの標的にされ、ユーザーの資産が保管してある中央集権的なストレージが狙われたと課題を指摘した。
こういった課題を踏まえ、ckBTCは、既存のソリューションであるブリッジやラップドトークンと差別化できるように設計。ICは2022年11月以降、ブリッジや仲介者なしでビットコインのブロックチェーンと接続できるようになっている。Dfinityは現在の状況を「ICとビットコインは、まるで1つのブロックチェーンであるかのように、シームレスに接続している」と表現した。
このため、ckBTCの発行や償還には、ブリッジや従来のクラウドサービスプロバイダー、中央集権的なカストディアンは不要。また、誰でも検証可能な状態で発行と償還を行えるとした。
ほかにも、ビットコインよりも低手数料で利用できることもckBTCの特徴。Dfinityは、手数料を安くしたり、処理を速くしたり、スケーラビリティを向上させるために、ckBTCにはレイヤー2の機能を導入していると説明した。
さらに、ckBTCの発行や償還にはトランザクション確認を導入。これは、犯罪に関与したビットコインがIC上に入ってこないようにするためだという。
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ユースケースの広がり
ビットコインは最近、決済手段や投資以外のユースケースも注目されている。銀行に対する信用リスクが高まる中、資産としての魅力が再認識されてもいるが、今年1月にNFT(非代替性トークン)の作成を可能にする「Ordinals Protocol」がローンチされ、新しいユースケースが関心を集めている。
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また、先月には、ビットコインにスマートコントラクトレイヤーを提供する「Stacks(STX)」の資産価格が急騰。StacksのDeFiエコシステム銘柄も軒並み上昇し、ビットコインのユースケースが見直される中で、DeFiのプラットフォームとして利用されるStacksも注目度が高まった。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します