CPI控えナスダック小幅高、バフェット氏は日本株に強気|9日金融短観
5/9(火)朝の相場動向(前日比)
- NYダウ:33,618ドル -0.1%
- ナスダック:12,256ドル +0.1%
- 日経平均:28,949.円 -0.7%
- 米ドル/円:135 +0.04%
- 米ドル指数:101.3 +0.1%
- 米国債10年:年利回り3.5 +1.7%
- 金先物:2,028ドル -0.02%
- ビットコイン:27,596ドル -4.2%
- イーサリアム:1,844ドル -3.4%
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バフェット氏 日本株に強気
ウォーレン・バフェット氏は、世界の上場企業時価総額で6位に位置する米著名投資会社バークシャー・ハサウェイが6日に開いた年次株主総会で、日本企業への投資戦略について「これからも日本企業の投資先を探していく」と述べ、投資先である日本の総合商社との更なる協業に前向きな姿勢を示した。
背景には、先月11日に訪日したバフェット氏が「日本株について追加投資を検討したい」と強気な見方を示した発言などがある。
バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは当時の国内メディア取材で、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事の5大商社の株式保有比率がそろって7.4%に増やされたことを明かしたという。2020年8月には5%だった5社のそれぞれの保有比率が、2022年11月には6%に引き上げられ、今回が2回目の買い増しとなったようだ。また、更なる追加取得(9.9%まで)の可能性も示した。
今回の年次株主総会でバフェット氏は米中の関係悪化などを理由として、大手チップメイカーの台湾積体電路製造(TSMC)の株式(投資額40億ドルのほとんど)を大量に売却したと述べて、一方では「日本の5大商社は、きちんとした配当と自社株買いを行っていることなどから、企業の進歩に”うれしい驚き”を感じている」、「一緒に事業をするのを期待している」と説明した。5大商社の株が高配当利回りでありながらも割安だった部分を踏まえて、一部のアナリストからは、国内の大手商社の業務形態がバークシャー・ハサウェイのような投資会社になりつつある点や経済不安定への耐性が強いといわれるメリットなどに、バリュー株投資を唱えるバフェット氏がシナジーを感じたのではないかと推測されているようだ。
一方、直近の米地銀破綻で揺らぐ銀行信用問題については、米FDICがシリコンバレー銀行の預金を全額保護に動いていなければ「破滅的な状況になっていただろう」と指摘。JPモルガン・チェースが救済買収したファースト・リパブリック・バンクに関しては、政府の保証上限を超える大型不動産ローン(ジャンボモーゲージ)を固定金利で提供し金利上昇によって含み損を抱えた点を例に挙げ、「誤った経営判断をした者には処罰が必要だ」と非難した。巨額の低金利不動産ローン債権の価値がFOMCの利上げを受けて下落したことがファースト・リパブリックの破綻の要因となったとみられている。
同氏は現在の銀行株ポートフォリオについて、バンカメのみを保有し続ける姿勢を示した。
なお、バークシャー・ハサウェイは23年1〜3月期の決算報告で、同期の株式取得額が28億ドル(104億ドルの売り越し)で、3月には米石油大手のオキシデンタル・ペトロリアムの株式を計10億ドル相当買い増しして、保有比率を約24%に引き上げたことを伝えた。同期の純利益は前年同期比6.4倍の355億ドルとなり、前述のTSMC以外では具体的な売却銘柄は明らかになっていない。
本日のNYダウ
本日のNYダウは−55.6ドルで小幅に反落。ナスダックは+21.5ドルで取引を終えた。今週10日(水)には米4月消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、市場は様子見の雰囲気が強いようだ。
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米連邦公開市場委員会(FOMC)は先週、0.25ポイントの追加利上げを決定し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを「5.00-5.25%」までに引き上げた。
今週の経済指標
- 5月10日21時30分(水):米4月消費者物価指数/コア指数(CPI)
- 5月11日21時30分(木):米4月卸売物価指数/コア指数(PPI)
米CPIデータと予想(前回3月)
- CPI(前月比):前回+0.1% 予想+0.3%
- CPI(前年比):前回+5.0% 予想+5.0%
- コア(前月比):前回+0.4% 予想+0.3%
- コア(前年比):前回+5.6% 予想+5.5%
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米国株
月曜日の市場では米地銀株への買い戻しは一部で続いた格好だ。PacWest+3.6%、Western Alliance+0.6%、Comerica-0.7%など。
銀行の連鎖的破綻への懸念から多くの地銀株が空売りの標的とされており、米国銀行協会(ABA)は5月4日に、短期売りの人々が市場を操作しているかもしれないという懸念を米国証券取引委員会(SEC)に表明した。
また、JPモルガンのアナリストは同社のレポートでこの懸念を強調し、SECが地銀株の空売りを一時的に禁止する可能性があると推測した。一方、Politicoの報道によると、SECはそのような措置を現時点では考えていないという。
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なお、米IT・テック株の個別銘柄の前日比:NVIDIA+1.6%、c3.ai+2.8%、テスラ+1%、マイクロソフト+0.6%、アルファベット+2%、アマゾン+0.1%、アップル-0.04%、メタ+0.2%。
仮想通貨関連株連れ安
- コインベース|58.1ドル(-0.2%/-0.2%)
- マイクロストラテジー|294.6ドル(-9.8%/-9.8%)
- ハット8マイニング|1.7ドル(-4.7%/-4.8%)
コインベースのBrian Armstrong CEOは8日、UAE(アラブ首長国連邦)を訪問した際に、コインベースの戦略的なハブ(中心地)を同地域に置く可能性を示唆した。同社は先週決算発表を実施した。
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