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税制優遇制度「つみたてNISA」で選べる投資信託ランキング

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つみたてNISA用の口座開設後、利用者は約200種類もの金融商品から投資先を選ぶことになります。利益に税金がかからないことや、自動で積立投資ができる利便性から口座を開設しても、投資先を選びきれないという人も多いでしょう。

当記事では、基礎知識としてつみたてNISAの利点やNISAの新制度についても触れたのち、つみたてNISAで選ぶべき投資信託の特徴や、人気ランキング上位に位置する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の特徴を紹介します。

目次
  1. つみたてNISAの基礎知識
  2. つみたてNISAで選びたい投資信託
  3. つみたてNISAで人気の投資信託
  4. 負担増に備え、NISA活用を

1. つみたてNISAの基礎知識

初めに、適切な投資商品を選ぶ前提知識として、つみたてNISAの概要を説明します。

1-1. つみたてNISAの利点

そもそもNISA(少額投資非課税制度)とは、国民の資産形成を援助するために設けられた制度です。

NISA口座では、通常の証券口座のように株や投資信託といった金融商品を購入できますが、税制面で大きなメリットがあります。

具体的には、通常の証券口座で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で得た利益には税金がかかりません。利益をそのまま受け取れるため、効率的に資産を形成できます。


2023年1月現在、NISAには以下の3つの種類があります。

  • 一般NISA
  • つみたてNISA
  • ジュニアNISA

この中で、少額から手軽に、かつリスクを抑えた投資を行える積立投資に最適なのが、つみたてNISAです。

1-2. 一般NISAとつみたてNISAの違い

2023年1月現在、18歳以上の成人が利用可能なのは、一般NISAとつみたてNISAのどちらか片方です。収益に税金がかからないという点では一般NISAもつみたてNISAも同じですが、条件面では以下のような違いがあります。

項目 一般NISA つみたてNISA
年間非課税枠 ~120万円 ~40万円
非課税保有期間 最長5年 最長20年

年間非課税枠とは、NISA口座で投資が可能な1年あたりの上限金額です。非課税保有期間は投資信託の値上がり益などに税金がかからない期間のことであり、購入時点から起算します。

年間非課税枠が小さく、非課税保有期間が長いつみたてNISAは、少額を長期間投資し続けるような運用方法に最適。例えば「毎月3万円を20年間投資する」といった運用に向いています。

少額ずつをコツコツと積み立てる投資方法なら、月々の負担が小さく、売買タイミングをあまり気にする必要がありません。つみたてNISAはそういった投資手法に対応しているので、投資初心者でも利用しやすい制度です。

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1-3. iDeCoと比較したメリット・デメリット

NISAと類似する税制優遇を受けられる制度に「iDeCo(イデコ)」があります。iDeCoは、毎月5,000円から1,000円単位で設定した掛金を払い続け、将来的に合計額を年金として受け取るシステムです。

iDeCoは投資信託や定期預金・保険商品に対応しており、掛金の上限は約14万円~約81万円です。累計運用額に上限がなく、拠出時の掛金が全額所得控除の対象となり、老齢給付金受け取り時には税制優遇の対象になるなどNISAよりも充実した節税メリットを享受できます。

ただし、あくまで個人向けの年金制度のため、受給年齢(60歳)に達するまで原則として資金の引き出しが出来ないという制限がある点には注意しましょう。

1-4. NISAの抜本的拡充・恒久化へ

2022年12月に閣議決定された『令和5年度税制改正の大綱』では、NISAの改正方針が示されました。

2024年1月から、NISAに以下のような改正が反映される可能性があります。

  • 非課税枠の大幅拡大
  • 非課税保有期間の無期限化
  • つみたてNISAと一般NISAの併用可

NISAは2024年1月に改正される予定ですが、改正前のつみたてNISAを利用することにはメリットがあります。具体的には、現行のNISAの年間非課税枠は別枠として扱われる見通しであるため、2024年より前から投資をしておけば、より大きな金額を非課税枠内で投資可能になります。

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2. つみたてNISAで選びたい投資信託

続いては、つみたてNISAで選びたい投資信託について解説しましょう。

つみたてNISAを始めるには、まず投資信託等の金融商品を自分で選択することになります。なお、投資信託(ファンド)は金融商品の1つです。投資信託を購入すると、投資の専門家がその資金を預かり、日本株と米国株などの複数種類の銘柄に投資します。

手軽に分散投資ができることで人気の投資信託ですが、中には万人向きとは言いにくい商品もあります。そこで、投資信託を選ぶ上で知っておきたい知識を紹介します。

2-1. 投資信託の種類

購入できる投資信託の種類は多岐にわたるものの、大まかにインデックスファンドとアクティブファンドに分けられます。

出典:金融庁

インデックスファンドとは、運用成果が日経平均株価やS&P500などの指数(インデックス)に連動することを目指し、指数を構成する銘柄に投資する投資信託です。分散性の高い投資が可能な点や運用コストが安い点が特徴です。

アクティブファンドとは、指標とする指数以上の運用成果を目指す投資信託です。ファンドマネージャーが自身の相場観をもとに投資判断を行います。高いリターンを得られる可能性がある一方、運用コストは高くなる傾向にあります。

2-2. 信託報酬で選ぶならインデックスファンド

コスト面で優れており、より無難な投資信託はインデックスファンドでしょう。

投資信託への投資にかかるコストには複数の種類がありますが、中でも重要なのは信託報酬です。信託報酬は投資信託を保有している期間中、自動で引き落とされます。定期的に支払う信託報酬が高いと、長期投資で残せる利益は減ってしまいます。

SBI証券で取り扱いのある投資信託一覧を見ますと、販売額上位のインデックスファンドとアクティブファンドを信託報酬で比較できます。2023年1月時点の比較結果は、以下の通りです。

  • インデックスファンド:年間およそ0.15%から0.1%
  • アクティブファンド:年間およそ0.25%から1.1%

このように、インデックスファンドの信託報酬がより安いことがわかります。また、販売額上位の投資信託のほとんどがインデックスファンドですので、インデックスファンドを選ぶ人が多数派であると言えます。

3. つみたてNISAで人気の投資信託

より支持されているのはインデックスファンドだとわかりましたが、具体的にどのインデックスファンドが人気なのでしょうか。本章では、SBI証券での人気ランキングをもとに投資家から評価の高いファンド名を紹介します。

3-1. 人気ランキング

つみたてNISA対応の投資信託の月間積立設定金額ランキングを紹介します。2022年12月時点の人気トップ5は以下の通りです。

順位 ファンド名称 運用会社
1位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJ国際投信㈱
2位 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント㈱
3位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 三菱UFJ国際投信㈱
4位 SBI・V・全米株式インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント㈱
5位 SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント㈱

参考として、SBI証券で取り扱いのある全投資信託を対象とした月間販売金額ランキングも紹介します。2022年12月の人気トップ5は以下の通りです。

順位 ファンド名称 運用会社
1位 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント㈱
2位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJ国際投信㈱
3位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 三菱UFJ国際投信㈱
4位 SBI 日本株4.3ブル SBIアセットマネジメント㈱
5位 SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント㈱

トップ3に入ったファンドの種類はどちらのランキングでも同じであり、上位3商品は特に人気であることがわかります。それでは、この3種類のファンドにはどのような違いがあるのでしょうか。

3-2. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とは

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、三菱UFJ国際投信株式会社が運用する投資信託です。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI Index)という国際株価指数への連動を目指しています。

MSCI ACWI Indexは23の先進国と24の新興国の株式のうち、時価総額で大型・中型と分類される株式のパフォーマンスを示すように設計されています。時価総額や地域情勢などが考慮され、構成比率が決定されます。

信託報酬が年間0.1144%以内と安いことに加え、分散性が高い点もeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の魅力です。また、流動性が低いなどのリスクが大きい銘柄は対象外となっています。

幅広い銘柄を対象とするため、低パフォーマンス銘柄がマイナス要因となる可能性はありますが、MSCI ACWI Indexは長期的には上昇を記録しています。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の価格も緩やかに上昇しています。

なお、2023年1月時点で確認できる運用期間ごとのトータルリターンは以下の通りです。

  • 6か月:2.80%
  • 1年:3.98%
  • 3年:14.42%

3-3. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とは

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、S&P500というアメリカの株価指数への連動を目指す投資信託です。三菱UFJ国際投信株式会社が運用を行います。

S&Pはその時期のアメリカを代表する500社の株式を対象とする、アメリカの大型株の株価指数です。時価総額加重という方式が採用されており、時価総額が大きな銘柄の構成比率が高くなります。2022年12月の資料では、ウェイトの高い構成要素として以下のような企業が挙げられています。

  • アップル社(AAPL)
  • マイクロソフト社(MSFT)
  • ジョンソンエンドジョンソン社(JNJ)

S&P500は作成された1957年から、長期的には上昇を続けています。また、現時点においてアメリカは高い成長と経済力を誇る国です。そのため、今後も上昇を続けるとの期待が持たれています。S&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の価格も、直近では上昇しています。

以下は、以上の2商品を比較したグラフです。2019年1月以降の比較では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(青ライン)のほうが、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(緑ライン)よりも高パフォーマンスです。もちろん、将来的には後者のパフォーマンスが前者を上回る可能性は十分あります。

最後に、2023年1月時点で確認できる運用期間ごとのトータルリターンを紹介します。なお、前述のランキングで上位であった「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」も、S&P500への連動を目指す投資信託ですので、まとめて記載します。

運用期間 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
6か月 3.81% 3.77%
1年 5.14% 5.07%
3年 18.28% 18.10%

上記を比較する限りでは、二つの投資信託のパフォーマンスに大きな差はありません。信託報酬についても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が年間0.0968%以内、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドが年間0.0938%程度と、ほとんど変わりません。現時点ではどちらを選んでも大差がないため、今後より将来性があると感じる方を選択すると良いでしょう。

4. 負担増に備え、NISA活用を

日本では給与が上がりづらいことや、社会保険料の増額などによる負担増が問題視されています。NISAを利用した資産形成は、このような状況への有効な対策となり得ます。

つみたてNISAはSBI証券などでNISA口座を開設し、運用する商品や条件を設定すれば始められます。銘柄変更や運用のストップも可能であり、大きなデメリットはないので、余剰資金があるならぜひ利用したい制度です。

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