23年1Qの決算を発表
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは4日、2023年1Q(1月から3月)の決算を発表した。
コスト削減やリスク管理、プロダクト開発などの取り組みが成果を見せ始め、この四半期はコインベースにとってターニングポイントになったと、株主への書簡で説明。また、米証券取引委員会(SEC)からウェルズ通知を受け取ったことは、米仮想通貨規制を明確にするチャンスであると考えているとも述べている。
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同社の1Qの運営コストは前四半期比で24%減り、純利益は22%増加。結果は7,900万ドル(約106億円)の純損失だったが、調整後のEBITDAでは2.84億ドル(約382億円)の黒字に転じている。
EBITDAとは
「Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization」の略。税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指す。(SMBC日興証券より)
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調整後のEBITDAについては、3,600万ドル(約48億円)の赤字になると予測する声も上がっていた。今回の発表後、コインベースの株価は前日比18%超上昇している。
コインベースの幹部は仮想通貨メディア「The Block」に対し、この成長は、サブスクリプションおよびサービスの利益が貢献していると説明。サブスクリプションおよびサービスの利益には、ステーキングなどの金利収入が含まれているという
また、1Qにおける仮想通貨取引関連の収益は前期比16%増の3.75億ドル(約505億円)。一方で取引高は横ばいだった。
取引高を銘柄別に見ると、ビットコイン(BTC)が占める割合が前期比で35%から32%、イーサリアム(ETH)が33%から24%に減少。「他の銘柄」は33%から45%に増加した。
2Qの見通し
コインベースは今後について、年間を通じた調整後のEBITDAが、22年よりも上向くよう努めていくと説明している。
23年2Qについては、主にステーブルコイン「USDC」の時価総額が下がっていることから、サブスクリプションおよびサービスの収益が下がると予想。他には、訴訟の費用がかかることから、コストが増加するとみているとも説明した。訴訟の費用とは、SECとの裁判を指しているとみられる。
今回の書簡ではSECの取り締まりについて、「訴訟は避けたいが、必要であれば自分たちを守り、業界全体を擁護していく」と改めて述べた。
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株主への書簡では最後に、銀行業界や規制の先行き不透明感などで、仮想通貨業界は変動が激しいが、今後もコストを削減しながら、収益を増加できるように努めていくと説明している。
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