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不動産投資信託「REIT」とは 主なメリット・デメリットを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨以外の分散投資先としては株式やFXなどが一般的ですが、より分散性を高めたいのであれば、不動産投資も魅力的な選択肢でしょう。

ただし、不動産の現物を購入するのは多額のコストが発生し、大きなリスクを背負う可能性があります。そこで、不動産投資に関する深い知見を持っていない段階では、不動産投資・有価証券の利点を併せ持つ「REIT(リート)」への投資を検討することをお勧めします。

REITとは「不動産投資信託」のことで、投資家から集めた資金で複数の不動産に投資し、その収益を投資家に分配する金融商品です。現物の不動産を購入するわけではないため小額から投資が可能で、株式や債券のように高い換金性が確保されています。

本記事では、「REITの概要」と「投資するメリット・デメリット」、「REITに投資する方法」を解説していますので、基礎知識を理解することで分散投資の対象になるかを学べます。

目次
  1. REITとは「不動産投資信託」のこと
  2. REITの投資対象は主に6種類
  3. REITに投資するメリット3選
  4. REITに投資するデメリット2選
  5. REITに投資する方法
  6. REITのメリットを理解して分散投資をはじめる

1.REITとは「不動産投資信託」のこと

REITとは、投資家から集めた資金を複数の優良物件に投資し、賃料収入や売却益を分配する不動産投資信託です。不動産投資法人が不動産の選定や取得、管理、運営をするため、投資家が現物の不動産を購入するわけではありません。REITは市場に上場しており、株式や債券と同様に売買が可能で、現物の不動産よりも現金化しやすいのが特徴です。

なお、REITの価格は不動産市場の動向や金利、経済状況などの影響を受けて日々変動します。世界の主なREIT市場の時価総額合計は約189.7兆円、その中でもREITの仕組みが作られたアメリカ市場の時価総額は約132.8兆円と最も大きな市場です。

REIT市場は「歴史が長いREIT市場」と「歴史が短いREIT市場」に分けられるため、以下の表で対象国を一部ご紹介します。

対象国
歴史が長いREIT市場 アメリカ(1960)、オーストラリア(1971)
歴史が短いREIT市場 日本(2001)、韓国(2002)、フランス(2003)、香港(2005)、イギリス(2007)、ドイツ(2007)、イタリア(2008)

※()内はREIT開始年

オーストラリアは、アメリカに次いで流動性の高いREIT市場のひとつです。日本をはじめ、先進国で誕生したばかりのREIT市場やアジア圏のREIT市場は歴史が浅く、未だ成長途中といえるでしょう。

2.REITの投資対象は主に6種類

REITの投資対象になる不動産は、主に以下の6種類が挙げられます。

  1. オフィス(金融機関や企業の事務所など、ビジネスで利用されることが多い建物)
  2. 住宅(マンションやアパート、一戸建て住宅などの居住用不動産)
  3. ホテル(ホテルや旅館、リゾート施設などの宿泊施設)
  4. 物流(倉庫や配送センターなどの施設)
  5. 商業施設(ショッピングモールやアウトレット、商品やサービスを提供する施設)
  6. ヘルスケア(病院や介護施設、老人ホームなど医療や介護に関する施設)

また、投資対象の種類によって、REITは「単一用特化型」「複合型」の2種類に分けられます。

単一用特化型REITとは、ある特定の用途の不動産に投資することです。例えば、「オフィス特化」「住宅特化」「ホテル特化」など、ひとつの用途の不動産にのみに特化して投資します。景気が良いとオフィスが値上がりしやすく、観光客が増加するとホテルが値上がりしやすいなど、一種類の不動産に投資することで値動きが予想しやすいのが特徴です。

一方、同じ種類の不動産のみに投資すると投資先の分散性は低下するため、以上の例であれば景気が悪いとオフィスの値段が下がり、観光客が減少するとホテルの値段が下がるなど、一定の条件下で大きなリスクを背負うことが課題とされています。

複合型REITとは、複数の用途の不動産に投資するREITを指しており、例えば「物流」と「商業施設」など2種類以上の用途を組み合わせて投資することです。また、3種類以上の用途や用途を定めていないREITは「総合型REIT」と呼ばれることがあります。

複合型や総合型は複数の種類の不動産に投資するため、単一用特化型と比較すると大きなリターンは期待できません。その一方で、分散性の高さから価格の安定性を確保しやすいのが長所と言えます。

3.REITに投資するメリット3選

REITに投資するメリットは「高利回り」「少額で参入できる「分散投資効果が高い」という3つです。

3-1.高利回りが期待できる

多くのREITは、コストを差し引いた収益の大半を配当金として投資家に分配しているため、高利回りが期待できる点でしょう。例えば日本やアメリカでは、収益の90%を投資家に分配し、一定の要件を満たすことで法人税が実質免除されます。

そのため、配当金額や内部保留を自社で決める一般企業とは異なり、収益の多くを投資家に分配するREITは配当利回りが魅力です。

実際、2022年から過去5年間の日本のREITの平均配当利回りは「最低3.60%~最高4.15%」であり、東京プライムの配当利回り「最低1.67%~最高2.24%」と比較すると、REITの利回りの高さがわかります。

3-2.少額の投資資金から始められる

実際に不動産物件を購入して投資を行う場合は数百万円から数千万円と大金が必要です。

しかし、REITは数万円から数十万円、中なかには100円から投資できる銘柄があります。複数の投資家から資金を集めて投資を行うため、個人単位での多額の先行投資は必要ありません。

不動産投資のメリットを享受しつつ、はるかに少額で始められる点は大きな魅力と言えるでしょう

3-3.複数の不動産への分散投資

REITは、1つの商品を購入するだけで複数の不動産に分散投資できるため、リスク分散や収益の安定化を図ることが可能です。例えば、「オフィスや住宅」、「日本やアメリカ」など、不動産の種類や地域を分散して投資できます。

また、REITは株式や債券とは異なる価格変動要因に影響されて異なる値動きをする傾向があります。株式や債券に加えて連動性が低いREITに投資することで、さらに分散投資の効果を上げることが期待でき、仮想通貨以外の分散投資先としては有望な選択肢と言えるでしょう。

4.REITに投資するデメリット2選

一方で、投資商品である以上REITへの投資を行うデメリットも存在します。

4-1.元本割れする可能性がある

REITは元本保証されていないため、さまざまな要因で元本割れする可能性があります。REITの価格は不動産市場や金利、経済全体の変化などによって変動します。そのため、経済状況が急に悪化した場合、投資した直後に不動産の価値が下落し、元本割れするかもしれません。

また、需要と供給の関係によってもREITの価値が決まるため、十分な賃料収入が集まらない場合、不動産の売却や配当金の支払いが削減されることも予想されます。結果、REITの価値がさらに下がり元本割れする可能性があるため、投資対象は分散化させて損失リスクを抑えることが重要です。

4-2.複利効果を得られない

REITで得た配当金は再投資されずに、その都度投資家に分配されるため「複利効果」を得られません。

複利効果とは、投資で得た利益を元本に追加して再び投資することで、得た利益を再投資することでさらなる利益を生み、保有が長期間になるほど複利の効果は大きくなります。

もちろん、分配された配当金を元手に追加でREITを購入することで、複利と同じような効果を得られます。ただし、分配される配当金が小額の場合、配当金だけではREITを購入できない可能性があることに留意しておきましょう。

このように、REITは複利効果を用いた長期間保有による効率的な利益増加が狙えず、その意味では長期保有に適さないとも考えられます。

5.REITに投資する方法

最後に、実際にREITに投資する方法について解説しましょう。

5-1.投資するREITの銘柄を選ぶ

REITには多くの種類や特徴があるため、まずは以下の3条件を中心に銘柄を選びましょう。

  • ①投資対象
    オフィスや住宅、ホテルなど投資する不動産の種類、投資する国を選びましょう。日本のREITではなく、アメリカなど日本よりもREIT市場が大きい国に投資する方法もあります。経済状況によって影響を受ける不動産が異なるので、リスクを分散できるREITを選択しましょう。
  • ②配当利回り
    利回りが高いだけでなく、安定して配当金が分配されているかを確認しましょう。高利回りのREITは不動産を売却し、一時的に収益が増加したことで利回りが高くなっている場合があります。その場合、家賃収入が減少していても一時的に利回りが高くなることがあるため、REITを選ぶ際は配当金が安定して分配されているかが重要です。
  • ③格付け、時価総額
    第三者機関の格付けや、企業の時価総額を参考にしてREITを選びましょう。格付けは企業の財務諸表や運用状況、実際に運用業務を行う投資会社のマネジメント力、保有物件の質や安定性を見て判断します。また、時価総額は「株価×発行済株式数」で計算でき、一般的には時価総額が高いほど信用度が高いといえます。

5-2.証券口座でREITと購入する

投資する銘柄を選定したら、実際に証券口座でREITを購入します。

  1. 証券口座解説
    証券会社の口座をお持ちでない場合は、目的に合った証券会社を選び口座を開設しましょう。
  2. 口座に入金する
    銀行振込や電信送金、クレジットカードなどを利用して、REITの購入資金を入金します。
  3. REITを注文する
    投資したいREITを検索して、購入数や注文種類(成行注文、指値注文)を決めて注文します。

購入後は定期的にREITの価格を確認しながら、売却のタイミングを検討しましょう。なお、日本のREITの多くは年に2回決算が行われるため、運用状況が良ければ年に2回配当金を受け取れます。

6.REITのメリットを理解して分散投資をはじめる

本記事はREITの概要とメリット・デメリット、投資方法を解説しました。

REITは現物の不動産を購入するわけではなく、複数の投資家から資金を集めて投資するため小額から購入できます。また、不動産の種類や国によってさまざまな商品があるため、投資対象を分散すれば損失リスクを抑えることが可能です。

損失リスクを抑えるためにも、投資するREITは利回りが高いだけでなく、「配当金が安定して分配されるか」「投資する不動産や地域が偏っていないか」などに留意して投資しましょう。

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