ビットコイン続落、仮想通貨の取引手数料問題が顕在化
マクロ経済と金融市場
8日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比55ドル(0.2%)安、ナスダック指数は前週末比21.5ポイント(0.2%)高で取引を終えた。
関連:CPI控えナスダック小幅高、バフェット氏は日本株に強気|9日金融短観
関連:仮想通貨投資家にもオススメの株式投資、日米の代表的な仮想通貨銘柄「10選」
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.3%安の27,616ドルに。
10日にCPI(米消費者物価指数)、11日に米生産者物価指数(PPI)といった指標発表を控える中、持高調整売りが先行した。
時価総額上位の主要アルトでは、XRP、ドージコイン(DOGE)、ポリゴン(MATIC)、ソラナ(SOL)が前週比5〜10%安と軟調な値動きが目立つ。
直近ではペペトークン(PEPE)を筆頭とするミームコインに資金が流れており、7日時点のPEPEの日間取引高は4位のXRPの3倍以上に及ぶ23.7億ドルを記録した。
米国の老舗暗号資産(仮想通貨)取引所であるBittrexが破産申請したことも市場心理の悪化につながった。米デラウェア州の連邦裁判所にチャプター11(連邦破産法)を申請した。負債総額は5〜10億ドル。
Bittrexは今年4月に米SEC(証券取引委員会)から証券取引法違反で提訴された経緯があり、グローバル版のBittrex Globalは、引き続き米国以外の顧客にサービスを提供する。
ビットコインやアルトコイン相場の下落については、ビットコインの取引手数料高騰やトランザクション詰まりがバイナンスなど大手暗号資産(仮想通貨)取引所の送金停止措置へとつながり、リスク回避売りを誘発したとの見方もある。
mempoolにおける保留中の未処理トランザクション数は、昨日時点で50万件相当に達した。
その一方、Ordinals Protocol(Inscriptions)と称されるビットコインNFT(非代替性トークン)、及び「BRC-20(Bitcoin Request for Comment)」トークンの急速な普及を受け、マイナーの利益は大幅上昇している。
BRC-20トークンの時価総額は推定16億ドルに達したが、試験的な仕組みであることから警鐘を鳴らす有識者も少なくない。
関連:ミームコインの取引過熱、ビットコインのトークン規格「BRC-20」市場が急拡大
7日には、一部マイナーの取引手数料が一時6.7BTCに達してブロック報酬額をも上回った。
BitInfoChartsのデータによると、ビットコインネットワークの平均取引手数料は、21年5月以来となる過去最高水準の20〜30ドル台(3,000〜4,000円)まで高騰した。先週までビットコインの平均取引手数料は1/10程度だった。
関連:1年を切った次回ビットコイン半減期へのカウントダウン、市場動向と専門家の予測は?
なお、直近のイーサリアムの取引手数料(Gas代)高騰については、ミームコインブームに乗じた「MEV(Miner Extractable Value)」の活性化を指摘する声もある。
アービトラージ(裁定取引)の利益を最大化するため、分散型取引所における他トレーダーの売買注文に対してトランザクションの実行順序を割り込ませるフロントランニング及びサンドイッチ攻撃(Sandwich Attack)を用いたものだ。
約定価格で不利を被るスリッページ拡大やガス代吊り上げを招くとして、再び問題が顕在化していた。
関連:イーサリアムのガス代高騰改善に貢献、研究開発組織Flashbotsの実態
関連:ビットコインの送金詰まりが深刻化、イーサリアム財団はETH売却か
過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します