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ビットコイン価格低迷でストラテジーの資金調達モデルに軋み、市場の追加リスク要因に=アナリスト

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • ストラテジー社のビットコイン購入モデルの構造的リスクを分析
  • STRC額面割れで「セイラー・ビッド」後退をアナリストが警告

MSTRはハイリスク銘柄

暗号資産(仮想通貨)オンチェーンアナリストのアクセル・アドラー・ジュニア(Axel Adler Jr.)氏は21日、最新の週刊レポート「Weekly Engine #101」を公開した。同氏は大量のビットコイン(BTC)を保有する米ストラテジー社のビジネスモデルを解説する中で、同社の普通株(MSTR)をハイリスク銘柄と位置付け、ビットコインへのレバレッジを効かせたエクスポージャーに加え、複雑な負債・優先株構造や株式希薄化リスク、優先株「STRC」の下落に伴う資金調達コストの上昇など、複数の課題を抱えていると指摘した。

アドラー氏が示したデータによると、ストラテジー社の現在のビットコイン保有・財務状況は以下のとおり。

  • 保有するビットコイン: 846,842 BTC
  • 取得総額: 約640.7億ドル(平均取得価格 7万5,656ドル)
  • 株価・時価総額: MSTR約112.53ドル、時価総額約399億ドル
  • レポート公開時のBTC価格: 約6万4,150ドル(大幅な含み損状態)

ストラテジー社のビジネスモデルは普通株、優先株、および転換社債を発行し、その調達資金でBTCを買い増していく仕組みとなっている。BTC価格が上昇しMSTRの株価が高く評価される局面では、有利な条件で資金調達を実施できる。さらに調達した資金でより多くのBTCを購入することで、1株当たりのBTC保有量(BTC yield)を高め、株価を上昇させてさらに安価な資金調達を行う。この好循環は、マイケル・セイラー会長が「ビットコイン・フライホイール(ビットコインの弾み車)」と表現してきた戦略だ。

しかし、このモデルは市場環境が良好で、有利な条件で証券を発行できることが大前提だ。アドラー氏は、BTC価格の下落、MSTR株価の軟調、優先株(STRC)価格の額面割れなどが重なると、この仕組みは機能不全に陥ると警告する。その場合、新規株式発行は「BTC購入を通じた企業価値の向上」ではなく、「既存株主の持分希薄化」につながると指摘した。

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状況悪化の主な要因

アドラー氏は、問題の本質はビットコイン価格の下落にとどまらず、資金調達システム全体に軋みが生じている点にあると指摘し、具体的な要因として以下を挙げた。

  • BTC価格が平均取得価格を下回る:
    ストラテジー社のBTC平均取得価格は7万5,656ドルで、レポート時点のBTC価格(6万4,150ドル)を大きく上回る。市場では巨額の含み益ではなく、取得原価に対する含み損が意識される状況となっている
  • 優先株(STRC)の額面割れ
    資金調達手段の一つである優先株「STRC」の市場価格は、額面である100ドルを下回り、一時83ドルまで下落(直近終値は88.59ドル)。額面近くで優先株を発行して低コストで資金を調達する従来の仕組みが機能しにくくなっている。
  • 資本コストが上昇:
    STRCは2026年6月時点で年11.50%の配当率となっているが、市場価格が額面を下回ることで実質利回りが上昇し、新たな資金調達コストも上がる。
  • BTC売却が市場心理に与えた影響:
    同社は、優先株関連の支払い原資を確保するため32BTCを売却した。保有量全体(84万6,842BTC)に占める割合は極めて小さいものの、「ストラテジーはBTCを売却しない」という従来の市場認識が揺らいだ。
  • 既存株主の持分希薄化:
    6月8日から14日にかけて約173万株のMSTR株を発行・売却し、約2億900万ドルを調達。このうち約1億ドルで1,587BTCを取得した一方、株式発行プログラムの残余枠は257億5,000万ドルあり、今後も新株発行による既存株主の持分希薄化が続く可能性がある。

アドラー氏は、状況改善には、ビットコイン価格がストラテジー社の平均取得価格を上回る水準にまで回復し、株式や優先株による資金調達環境が好転することが不可欠だとの見方を示した。

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BTC市場への影響

アドラー氏はさらなる懸念材料として、現金と比べてビットコインの流動性が低いことや、公正価値会計の導入に伴う業績変動リスクを挙げた。実際、ストラテジー社は2026年第1四半期にデジタル資産の未実現評価損144億6,000万ドルを計上したことで、最終的に125億4,000万ドルの純損失を計上している。

一方でアドラー氏は、現時点でストラテジー社が大量のBTC売却を余儀なくされる状況にはないと分析している。ただし、市場が同社を「無制限の買い手」とみなす認識は変化しつつあると指摘。次の四半期における最大のリスクとして、これまで相場を下支えしてきた「セイラー・ビッド(Saylor bid)」、すなわちストラテジー社による継続的なBTC購入需要が弱まる可能性を挙げた。

これまで市場では、BTC価格が下落する局面でもストラテジー社が継続的にBTCを買い増すことで、相場の下支え要因になるとの見方が広がっていた。しかし、資金調達コストの上昇に加え、MSTR株や優先株「STRC」の価格が低迷すれば、同社がこれまでと同じペースでBTCを購入し続けることは難しくなる。

アドラー氏は、この変化が即座に売り圧力を生むわけではないとしつつも、価格下落局面で市場を支えてきた重要な買い手の力が弱まることを意味すると述べた。

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