Web3.0の夜明け

Webは時とともに進化を重ねてきた。静的なコンテンツのreadができるWeb1.0。インタラクティブなやりとりを可能にしたreadとwriteができるWeb2.0。そして、read, writeにownの要素が加わったWeb3.0が世界の片隅で始まりつつある。

Polkadot, Substrateを通しWeb3.0の実現に注力している者の1人として現在のWebの問題点、そして我々がどのようにもっとよいWebを作り出していけるのか?を残したいと思う。

前回の記事はこちら
前回の記事ではWeb3.0について解説しています。Web3.0の開発にブロックチェーンが有効であることを紹介していますので、ぜひご覧ください。 Web3.0とは何か?ブロックチェーンがもたらす検証性と所有権のあり方|Staked Technologies

人の意思決定は実は操られている?

NetflixでThe Great Hackというドキュメンタリーを見た人はどれくらいいるだろうか?このドキュメンタリーはアメリカの大統領選にてFacebookのデータがケンブリッジアナリティカ社によって利用され選挙の結果を左右したという疑惑についてのドキュメンタリーである。

アメリカの選挙を左右する激戦区にて、ヒラリーに投票するかトランプに投票するか決めていない有権者を特定し、ヒラリーのフェイクニュースやトランプに投票させるためにナショナリズムを煽るような広告を大量作成した上でターゲティングした有権者に配信していた。

この際に、Facebookはアメリカの有権者1人あたり約5000件のデータを保有していたと言われている。5000件である。どこに住み、年齢はいくつで、どのポストに「いいね」を押し、どのコミュニティに属し、誰と繋がっているのかなどのデータから個人の嗜好性や考え方を特定するのは現代の技術をもってすれば容易だろう。

ここで問題なのは、一見自分で下したと思える意思決定が実は潜在意識で操られている可能性がある点だ。そしてそのことに大抵の人は気がついていない。実際に、広告によって印象操作された多くのアメリカ人は自分の意志で投票したのだろう。

しかし、The Great Hack内の言葉を借りれば、「我々の民主主義がデータを持つものによって脅かされている」「人をつなげるために作られたSNSが、人を引き離すために使われてしまっている。」。このこともまた事実だ。

ここで極端な発想をする人もいる。広告そのものをやめてしまえばいいのではないのではないかと?これは現実的ではない極端な解決策だ。渋谷を歩いて目にする大衆に向けた一般広告と、個人のデータから高度なパーソナライズ、ターゲティングを行う広告ではわけが違う。

では、パーソナライズ、ターゲティングを行う広告を禁止するべきなのだろうか?これもまた現実的ではないと思う。FacebookやAmazonに見られるように過去の購入履歴や検索結果から機械学習を行い理想的なコンテンツないし商品をレコメンドする機能は実に魅力的だしユーザーに恩恵をもたらす。

では一体何が問題なのであろうか?

ユーザーに発生する大きな問題点とは?

問題の本質はデータをFacebookやGoogleのような大企業が独占していることでも、パーソナライズ、ターゲティングができることでもない。データを「持つ」ものとデータを「持たざるもの」に分かれてしまっている構造。

言い換えれば、データを自由に所有(Own)、検証(Verify)する「権利」がユーザー側にないことが問題だ。また、それを可能にするプロトコルないしインターフェースを提供できていない我々に問題がある。

我々がアプリケーションを使う時、アプリケーションを使いデータを生み出すのは我々であるが、考えてみればそのデータを所有しているのはアプリケーション作成者である。そして、我々が作成したデータがどこで使われ誰に見られているのか我々には検証する手段を持っていない。このことが問題なのだと思う。

いかにして我々はより良いものを作れるだろうか?

Web3.0はこの問題を解決する可能性がある

Webの父であるSir Tim Berners Leeが言うように現在のWebは決して完璧なものではない。 Web2.0では、HTTPというプロトコルが使われてきた。

このプロトコルは、1つの会社や機関が管理するサーバーを中心としてクライアントがリクエストを送り、データを処理したサーバーからのレスポンスを受け取る仕組みである。検索をしてURLを見れば分かるように、ほとんどすべてのアプリケーションはHTTPに立脚して作成されてきた。

ここでは、データを中央サーバーが管理するので、ユーザー側でデータを管理せずデータの使われ方も検証することができないという問題点がある。Web3.0では、HTTPを使ってきたアプリケーションではなく、P2Pプロトコルを用いた分散型サービスの提供を目指している。

中央サーバーがなく、誰もがデータを検証できる仕様がプロトコルで決められている。実際に中央サーバーをもたずP2Pでネットワークを形成する仕組みの1つであるIPFSのようなプロトコルが絶賛開発されており、HTTPプロトコルがIPFSプロトコルに代替される未来もくるのかもしれない。

まとめると、Web3.0とは「所有権」「検証性」をもつWebである。と同時に、思想的には個人に自由を取り戻すためのツールなのである。

謝辞

この文は、IPFSを研究しているSenshi Onionさん、ホットリンクの内山さん、ビルドの宇野さんと共に毎週行われているWeb3.0に関するディスカッションをもとに作成されています。上記の方々とインサイトを頂いたCryptoeconomics Labの片岡さんに感謝します。

渡辺 創太 Stake Technologies CEO

東京大学大学院工学部ブロックチェーン寄付講座共同研究員。2017 年シリコンバレー に渡航、現地のブロックチェーンスタートアップChronicled に就職、1 年間働いた後、 起業。ブロックチェーンが切り開く次世代のWeb であるWeb3 が主な関心。

公開企業
企業名

Staked Technologies社

設立

2019年1月21日

資本金

4,000,000円

本社所在地

東京都港区南⻘山三丁目1番30号 エイベックスビル コワーキングスペー ス「avex EYE」内

代表者名

渡辺創太

事業概要

Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)は、世界的なブロックチェーン財団であるWeb3 Foundationが金銭・技術的支援をする世界で22 社のうちの一社として選出され(2019 年7 月3 日時点)、現在のWeb2 の先にある分散型のウェブ(Web3)の構築を実現させるべくプロトコルの研究開発を行なうブロックチェーン企業です。

活動

【活用事例】
IoT、電力、金融、セキュリティ

公開日時

関連タグ一覧


お問い合わせ 広告掲載はこちら