リブラで幕を開けた通貨戦国時代、その決着の時期は?

リブラの登場を皮切りに、暗号資産やデジタル通貨、その他電子的な価値交換ネットワークを巻き込んだ「通貨戦国時代」が本格的に始まった感覚があります。果たしてこの戦はどのくらいの期間で決着がつくのか。

そして、暗号資産でも電子マネーでもないリブラの正体とは。またそれはどのような形で普及していくのでしょうか。今回はそれらをテーマにお話しを進めていきます。

通貨戦国時代の幕開け

世界銀行は、法定通貨のデジタル化を本気で考えなさいと言い始めていて、各国がそれを本格的に進めていく風潮が高まっています。

この流れはまさに戦国時代です。暗号資産やデジタル通貨、その他の電子的な価値交換のネットワークのどれかが生き残るという、選別される時期に突入していて、それがリブラによってスタートした感覚があります。

では、この戦いはどれくらいの期間で収束するのでしょうか。それについては、個人的には2~3年で勝敗がはっきりするのではないかと思っています

それ以上長引くとなると、特に暗号資産側のネットワークの人の中でも、ライトなユーザー層が熱意を保てないのではないでしょうか。時間が経てば経つほど、デジタル通貨やリブラのようなものに優位に働きます。

これは通貨としての強弱ではなく「適者生存」です。暗号資産には、中核する発行体がいないということが弱みになる可能性があります。

キャッシュを持っているのは個人なので、その動きに対して食い込めるかどうかです。今は、フェイスブックを中心として集まった金銭のネットワーク、収納代行や決済をやっている人たちが圧倒的にパワーを持っています。

オープンソースで技術的には難しくないということはわかっていますが、彼らは技術者が必要になったときにはいくらでもお金を出せるパワーは持っています。これは、暗号資産のコミュニティの人は、自分たちがどう生き残るのかというのを考える上で直視すべき現実です。

リブラはユーティリティ性を持った有価証券

リブラに対する分析と理解というお話しをすると、今入手できているホワイトペーパーをみる限り、おそらく日本においては電子マネーでも暗号資産でもなく、「有価証券」になるのではないかというのが私の見解です。

そういった中で、リブラが日本で普及できるのかというと、有価証券という面をクリアできれば普及は早いのではないかと思っています。

また、その場合において、暗号資産交換業者が取り扱うとするなら、ライセンスを取って証券会社に該当するようにならなければなりません。

リブラの仕組みについては、ホワイトペーパーをみる限りだと、リブラ財団自身が買い取ること、そして焼却(バーン)を保証しています。価格については、リブラ財団の運用成績によって基準価格が設定されるような形にみえます。

この運用について簡単に言うと、各国の政府又は政府関係機関が発行している、あるいは保証しているソブリン債を中心とした、比較的リスクの低い資産を中心に分散投資するというようなことを言っています。

なるべく為替レートに対して忠実的な基準価格を持ちつつ、運用先としてはソブリン債で、運用成績というのが基準価格に反映されるという仕組みでいっています。

これはソブリン債ファンドということになりますが、違う点はそれを商取引で決済手段に使える上、使うためのネットワークがリブラ財団を中心に構築されていて、それを持ち込んですぐに決済に使えることです。

普通のファンドはそういうわけにもいきませんが、有価証券自体が弁済手段に使えるという特性があり、形としては債券ファンドのようです。おそらく、有価証券届け出証を出したところで、金融業者が取り扱う商品になるのではないでしょうか。

私たちはもともとレバレッジ取引をやっているので、金商を取らないといけないですし、日本円ではなく外貨建て資産ということになるので、投資先の一つとしてリブラみたいなものを面白いと思っています。

また決済で使える点でユーティリティ性も明らかであり、自分たちが持ち高があった場合に、それを現金化したいということであれば、財団を通じて買い取りと焼却を行ってもらえます。そういったことからも圧倒的に安心感もあり、私たちは期待しています。

田口 仁 DMM Bitcoin 代表取締役

埼玉県越谷市出身。早稲田大学政治経済学部を1994年に卒業し、三菱商事株式会社に入社。 その後は、ライブドア、DeNA、EMCOMなどで様々な事業立ち上げや運用に携わり、現在は「DMM Bitcoin」の代表取締役社長。

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