IEO(Initial Coin Offering)はギャンブルなのか?仮想通貨の天国と地獄

CoinGeckoでは四半期ごとに仮想通貨、ブロックチェーン業界の動向やトレンドを正確に捉えるための業界レポートを公開しています。今回は先日公開した19年Q2業界レポートの中で取り上げた、海外の取引所で盛り上がるIEO(Initial Exchange Offering)の現状のデータを紹介します。

IEOの市場概況

19年Q1にBinanceがBittorrent IEOで仕掛けたIEO(Initial Exchange Offering)はQ2にはその他の取引所でも定着したようです。

IEOとICOの大きな違いは、コインの売り出し時点で取引所が直接的にプロジェクトと協力することで、取引所がデューデリジェンス、本人確認(KYC)の代行、コインの取引所での上場対応、共同プロモーションを行います。こうすることで、IEOプロジェクトの質を担保し、取引所の流動性やユーザーベースを提供でき、プロジェクト、取引所、投資家それぞれにとってメリットがあると言えます。

過去に合計で72のIEOプロジェクトが立ち上がり、合計調達金額は280億円相当を超えました。平均で各プロジェクトに4億円程度の資金が集まっていることになります。

また、Binanceに続く形で現在28の取引所がIEOに参入していますが、調達金額の過半数は上位の取引所/IEOプラットフォームに集中しています。

IEOの投資リターンは?

興味深いことに、IEOの投資リターン(ROI)はプロジェクトというよりは、取引所プラットフォームに左右されているように見えます。Binance, Gateなどは500%を超える高い投資リターンを記録している一方、知名度の低い取引所でのIEOではマイナスの投資リターンを記録しているところが少なくありません。

プロジェクトごとの投資リターンを見てみると、上半期ではプラスリターンとマイナスリターンを記録したものがちょうど半々になっています。数か月で1000%以上の価格上昇を見せるものもあれば、プロジェクトによっては数か月以内に99%以上の価値を失ってしまっているものもあります。

実際にはすでにIEOプロジェクトの半数は質の低いものも入っており、投資というよりはギャンブルになっているという指摘もデータから考えても妥当と言えるかもしれません。

19年の上半期のデータを見ると、IEOの全体投資リターンは44%のプラスという結果になりましたが、Q3以降IEOのブームが続くうちは下位取引所の参入が続き、今後はプラットフォームごとの格差がさらに広がる可能性があります。

IEOの今後

IEOはICOに次ぐ仮想通貨を利用した新しい資金調達と期待する声もありますが、上半期のデータを概観すると確かに19年Q2はIEO数やプラットフォーム数、調達金額が大きく伸びていたことが確認出来ました。

一方、数か月以内に90%以上の価格を失うコインも出てきていたり、大部分は取引所が主張するようなデューデリジェンスに基づいた投資というよりは、ギャンブルに近いものとなっている現状も見えました。過去のICOのパターンをなぞるとすると、Q3もIEOの数は増える一方、レベルの低いプロジェクトの相対的な数が増え、全体の投資リターンは次第に下がっていくのではないでしょうか。

CoinGeckoでは今後もIEOのデータを追跡、提供することで、ユーザーのより正確な理解が深まり、より良い選択や行動をとれるようにに発信していきます。

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