ビットコイン暴落に2つの背景、「2009年物BTC」送金で仮想通貨市場が動揺か

仮想通貨市況

22日のビットコイン(BTC)は、前日比-4.35%の98万円(9,100ドル)に。2日間で10万円幅の大幅下落となった。

テクニカル的視点で見ると、半減期直前の8日に10,000ドル(107.6万円)の心理的節目を超えて以降、度重なる急落からの反発を経て、14,18,19,20日と4度に渡りアセンディングトライアングルの上方ブレイクを目指すがいずれも失敗。

高値を切り下げトレンドラインを割り込んだことで売りが加速、短期天井、及びトレンド転換を示唆している。

一方で、短期的には売りの過熱(パニック相場)も否めない。

下値支持線の8,800ドル〜8,900ドルが機能しており、日足のチャネル下限でもあることから、強い売り圧力のかかる中でサポートラインを凌ぎきり、9,000ドル台を維持できるかどうかが焦点となりそうだ。

マイナー事情では、織り込み済みだったとはいえハッシュレート(採掘速度)の大幅続落が確認されており、難易度調整もマイナスに転じている。

関連:ビットコイン、半減期後初の難易度「−6%」で調整完了

TheBlockのリサーチ責任者Larry Cermak(@lawmaster)によれば、ビットコイン難易度調整の「−6%」は、過去16番目の下落幅だ。

The block

5月12日に半減期を実行したビットコインネットワークは、ハッシュレートが低下し「ブロック生成速度」の鈍化が確認されたほか、未確認トランザクション数は一時8万を超え、手数料が高騰するなどの影響も見られている。

ファンダメンタルズ要因では、2009年2月9日前後に採掘された11年前の50BTC(約5,100万円)が、5月20日21時54分に送金されたことが確認されると、市場の動揺を招いた。

blockstream.info

ビットコインの最初の”ジェネシスブロック”は2009年1月3日以降に作成されていることから、保有者はビットコインネットワークの開始からわずか37日後の採掘記録を有していることになる。

この事実が確認されると、送金(売却)に動いた人物に関して多くの推測が飛び交かった。ビットコインを生み出したサトシ・ナカモト説、ビットコイン開発者の一人で故Hal Fineyの関係者説、係争中のクレイグ・ライト説などが指摘され、情報の錯綜が市場の不安心理を助長したことで、今回の大幅下落を引き起こしたものとみられる。

最初期のホルダーは、いずれも大量のビットコイン(BTC)を保有する”クジラ”に分類されることから、これを境にウォレット保有者による「売り圧力」が増えることが懸念されている。

関連:2009年2月発行のビットコインが移動 11年越しの送金者は「サトシ・ナカモトか」と話題に

2009年2月は、ビットコイン(BTC)が初めてマイニングされて約1カ月後に該当するが、古参の投資家WhalePandaは、すでに複数のマイナーが存在したと指摘。「サトシ・ナカモトのアドレスではない」と否定した。

サトシ・ナカモト説は、ビットコイン開発者のJimmy Songの公開したmediumによっても否定されている。

例外はあるものの、トランザクションで送信された該当ブロック「3654」を確認したところ、Satoshiに関連すると思しき「bn extra nonce」には値しないとしている。

11年前のビットコインを巡っては、サトシ・ナカモトを自称するクレイグ・ライトがこれを否定したほか、故Hal Fineyの遺族も「故人のものではない」と否定している。

関連:自称サトシ・ナカモト、11年越しのビットコイン送金を否定

いずれにせよ、仮に売却していたとしても、大口投資家がわざわざ正体を明かすメリットはない。最初期のホルダーが11年ぶりに送金したという事実に変わりはなく、3度目の半減期を終えたばかりのタイミングにおけるイノベーターの動向そのものを重視する見方も少なくない。

難易度調整の影響と損益分岐点

ビットコインマイニングに関する、難易度調整で完全に問題解消に至らない可能性(難易度調整に伴うマイナーの利潤最大化の影響が働く点について)や市場にも影響の出やすい「マイナーの損益分岐点」など、今後注目したい3つのポイントに関しては、以下のCoinPost記事で詳しく解説している。

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