デジタルドルは慎重に──パウエル議長が語る「米国とCBDC(中銀デジタル通貨)」

正しい対応を重視

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日、国際通貨基金(IMF)が開催した国際送金に関するパネルディスカッションで、中銀デジタル通貨(CBDC)の発行について慎重な姿勢を示した。

1番に発行することよりも、正しく対応を行うことの方が重要だと主張した。米ドルは世界の基軸通貨であるため、CBDCのメリットだけでなく、発行に潜むリスクもしっかり見極める必要があるとの考えだ。

米国は「デジタルドル」を発行すると決断したわけではないが、CBDCに関する研究は進めている。今月にはFRBだけなく、米財務省も国際的なワーキンググループに属し、発行が必要になった場合に備えて準備を進めていることが分かった。

関連米財務省のデジタルドル研究「分散型台帳技術を利用するメリット」

パウエル議長が考えるリスク

パウエル議長は、世界の約80%の中銀がCBDCの可能性を探っているとする一方で、米国が発行を急いているわけではないとして、トレードオフの関係にあるリスクを主に3点挙げた。

  • サイバー攻撃や詐欺
  • 金融の政策や安定性への影響
  • ユーザーのプライバシー保護と犯罪対策のバランス

これらの問題は単純ではないものの、包括的な対策を講じる必要があると強調。CBDCは法定通貨を補完するもので、置き換わるものではないとも説明し、米国では現金の需要が現在も高いことも慎重な姿勢を維持する理由にあると語っている。

関連米国で仮想通貨やCBDCについて意識調査、未だ現金に依存

メリットも指摘

一方で、CBDCは決済システムの問題を改善できる可能性があるとして、メリットについても触れた。

メリットに挙がったのは、決済をより速く、そして安価に実行することができる点だ。決済インフラを刷新することもできることから、従来の金融サービスを受けられていない顧客にもリーチすることができる可能性があるとしている。

また、決済の問題点の改善やCBDCの発行については、民間企業と協力する必要性も強調。公的機関は公共の利益を探り、民間企業は技術の面で貢献できると期待感を示した。

FRBは日銀や国際決済銀行(BIS)らとCBDCの共同研究を行なっているが、パウエル議長は「この連携は非常に生産性が高い」と評価している。

関連日米、EUなどが中央銀行デジタル通貨について共同報告

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

THE BLOCK とは

Cryptoにおける”最初で最後の言葉”であること。
The BlockはCryptoにおける最高クオリティで最重要のシグナルをお届けします。日々、Website、Newsletter、Podcast、イベントを通じて、業界で最も影響力のある人々にリーチしています。

コメントしてBTCを貰おう

合わせて読みたい注目記事

新着ニュースをチェック

速報

新着記事

人気記事ランキング