はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

「デジタル通貨は現金と共存すべき」米FRBと欧ECB責任者が語るCBDCの在り方|Swell2020

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDCのディスカッション

Ripple主催の「Swell2020」にて、欧州中央銀行(ECB)の一般市場部門ディレクターUlrich Bindseil氏と米FRBペイメント部門のMills氏が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、共存するシステム(既存の貨幣と完全に取って代わるものではない)との認識を示した。

欧州中銀のUlrich Bindseil氏は、中銀デジタル通貨(CBDC)を世界的な現象と捉え、どこでも実現可能な「民主的な技術」と評した。現状、欧州各国は、電子決済の分野において遅れをとっているものの、ECBでは既にCBDCを発行するシナリオを展望するレポートを公開していると述べた。

米FRBペイメント部門のMills氏は、金融インフラに大幅な改善が必要な国の中央銀行が、CBDCにより積極的な姿勢を見せていると指摘。バハマ諸島などを一例として挙げた。ペイメントのエコシステムを近代化することで金融面の問題を取り除く余地もあるとした。これは金融包括にも通じる面があり、既存の金融システムがリーチできていない層が多い国ほど大きなチャンスがあると語った。

またG7をはじめとする先進国の状態については、既存の決済プラットフォームを土台とした新たなイノベーションとして興味を集めていると評し、いかにして既存の経済システムの枠組みにフィットするかを考えているとの姿勢を示した。

Bindseil氏は、欧州においても電子決済は徐々に進んでおり、フィンランドやオランダなどではより進んでいると発言。現金による決済利用が徐々に減少するトレンドが世界的にも進んでいく中で、新たな均衡を築く可能性があると予想し、「お金」が進化していく過程で銀行もその進化に適応していくべきだと論じている。

このように前向きな姿勢を見せた両者だが、あくまでも既存の紙幣は引き続き発行すべきであり、CBDCが採用・普及した場合でも、現金と併用して活用されるシステムであるとの姿勢を強調している。

特にMils氏は、「銀行や紙幣を完全に取り除くのではなく、既存の金融システムとのバランスを重視している」と慎重な態度を明らかにした。Bindseil氏も、現金利用率が将来的に低下を続けたとしても、紙幣発行は今後も続けると述べている。

中央銀行のイノベーションに対する姿勢

続いてMils氏は、米国FRBでのCBDCという新たなイノベーションに対する対応について明らかにした。

新たな技術がデータ保護や顧客保護など法的な分野においてどのように接するべきかを検討しながら、技術面と法的な面と異なる視点から技術の理解を深めていると説明。

米国では現在、MITとボストンの連銀が連携してスケーラブルなシステムの開発を続けているが、このほかにも複数のシステムを使うアプローチなど、技術に対して中立的な立場を保ちながら、将来的にそれがどのような形となるか現在も模索中であるとしている。

ECBのBeilrich氏は、既存の業界が築き上げてきたものを尊重しつつ、新たに再考の余地がある部分を探る必要があると述べ、CBDCの影響を大きく受ける可能性がある銀行などを含めた金融業界と共に、技術的な中立性を保ちつつ解決策を探していく姿勢を強調した。

今後5年間の展望

米FRBのMils氏は、今後5年間で徐々にCBDCの面において進展が見られると予測している。

今後5年間で期待できるのは、中央銀行からの成熟ではないか。2016年、2017年当時を振り返ると、中央銀行は技術面など認識で遅れをとっていた印象を受けた。しかし現在は、技術について深掘りできている。今後5年間でさらにその理解度は深まるだろう。

CBDCが実現する前には段階的な変化が見られ、最終的には中央銀行が発行するeキャッシュやプリペイドカードに近いものとなると思う。それが今一番簡単な道筋だが、技術が適度に進展するか、ユースケースとトレードオフを的確に認識しなければならない。テクノロジーは素晴らしいが、同時にルールも定めなければならない。今後は中央銀行の間でもさらに深い成熟した対話を重ねていきたい。

ECBのBindseil氏は、日本等前向きに検討を続けている国々で、CBDCの分野で進展や成功例が出た場合、躊躇気味の各国も勢いづいてモメンタムが生まれると予想した。

日銀は、来年度に実証実験を開始する意向を今月10日に発表したが、「CBDCの発行計画はない」という従来の姿勢は変えていない。

関連サンタンデール銀、リップル社のxCurrent利用で米国と南米で送金サービスを計画

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/04 金曜日
15:08
みんなの銀行、ソラナ基盤のステーブルコイン事業化に向け共同検討を開始
みんなの銀行がソラナ(SOL)基盤のステーブルコインとweb3ウォレットの事業化に向け共同検討を開始。Solana Japan、Fireblocks、TISの3社と協業し、新たな金融体験の創出を目指す。
13:50
米上場アンバー・インターナショナル、約37億円調達で仮想通貨準備金戦略を加速
米上場のアンバー・インターナショナルが機関投資家から2550万ドルを調達し、1億ドルの仮想通貨リザーブ戦略を強化。パンテラ・キャピタルなど著名投資家が参加。
13:00
米ストラテジー社に集団訴訟 ビットコイン保有リスクを軽視と主張
米国でストラテジー社に対する集団訴訟が提起された。ビットコイン投資戦略を過大評価しリスクを軽視したと主張している。新会計規則適用後の損失計上が争点の一つになっている。
12:55
メタプラネット支援コンソーシアム、タイ上場企業買収でビットコイン戦略を東南アジアに拡大
メタプラネット支援者らが筆記るコンソーシアムがタイ上場企業DV8の買収計画を発表した。日本で成功したメタプラネットのビットコイントレジャリー戦略をタイで再現し、さらに東南アジアに展開する第一歩として注目される。
12:36
オルタナ信託、BOOSTRY・ALTERNAと連携しデジタル証券の管理体制を強化
デジタル証券特化の「オルタナ信託」設立。BOOSTRYとALTERNAが協業を深化し、STの取得から販売まで一貫した新たな枠組みを構築する。
11:35
米雇用統計好調でビットコイン一時11万ドル超、アーサー・ヘイズが下落リスクを警告する理由は?
米国6月雇用統計が予想を上回る14万7000人となり、ビットコインは一時11万500ドルまで上昇した。しかしBitMEX創業者アーサー・ヘイズ氏は、米財務省がステーブルコインを国債購入の受け皿として活用することで市場から流動性が奪われ、8月開催のジャクソンホール会議前に9万ドル水準へ下落すると予測した。
11:00
アルトコイン取引の増加傾向続く 仮想通貨OTCレポートが公開
Finery Marketsは、仮想通貨のOTC取引に関する2025年上半期のレポートを公開。ビットコインやイーサリアム、ステーブルコインの他にアルトコインの取引が増加傾向を継続していると指摘した。
10:35
「1兆ドル予測は楽観的すぎた」、 JPモルガン ステーブルコイン時価総額の2028年予測を下方修正=報道
JPモルガンはステーブルコイン市場の2028年予測を5000億ドルとし、他社の1-4兆ドル予測を否定。決済利用は6%に留まり、主用途は仮想通貨取引と指摘。
10:00
ビットコイン、クジラによる売却と機関投資家の需要が拮抗=報道
仮想通貨ビットコインの大口保有者が過去1年で50万BTCを売却する一方、機関投資家の需要増加により価格が膠着している。今後のビットコイン価格については様々な見解がみられる。
09:30
ロビンフッドCEO OpenAI株式トークン化を「革命の種」と表現も、提携否定で波紋広がる
ロビンフッドがOpenAI株式トークン化サービスを欧州で開始したが、OpenAIは提携を否定。テネフCEOは「トークン化革命」と強調するも、未上場株式の権利問題が浮き彫りに。
09:16
仮想通貨SEI、国内取引所OKJに新規上場へ
国内暗号資産取引所OKJが2025年7月8日からセイ(SEI)の取扱いを開始。ゴールドマンサックス・Robinhood出身者が開発した高速ブロックチェーンで、米国でETF申請も話題。入出庫は7月8日、売買は7月11日17時開始予定。
09:00
ビットコイン今年4度目11万ドル超え、株価相関強まり最高値更新も視野に|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは3日に今年4度目となる一時11万ドル突破を記録した。7月3日から4日にかけて、トランプ政権の大きく美しい法案が可決されたことに加え、米雇用統計が底堅い推移を示したこと、さらにシンシア上院議員が暗号資産の減税法案を提出したことが追い風となった。
08:05
ETF購入減速でビットコイン価格上昇に陰りか、ETHは蓄積量が過去最高に=Cryptoquant分析
仮想通貨ビットコインETFとMSTR(ストラテジー)の購入は大幅減速、全体需要の縮小で価格上昇が鈍化。一方、イーサリアムは6月に蓄積アドレスが史上最高を記録、機関投資家による大量保有が続く。
07:45
米下院、7月14日の週を「仮想通貨週間」と指定 3つの主要法案を審議
米下院指導部が7月14日の週を「仮想通貨週間」に指定し、GENIUS法、CLARITY法、反CBDC監視国家法を審議すると発表。
07:25
IMF、パキスタンの仮想通貨採掘などへの補助金提供提案を却下
IMFは、パキスタン政府による仮想通貨マイニングなどのための電気代補助提案を却下。同国は、ビットコインのマイニングとAIのデータセンター向けに2,000MWの電力を割り当てる計画を発表している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧