イーサリアムの手数料改善案EIP1559、7月頃の「ロンドン」アップグレードで実装へ

手数料についての改善案を実装決定

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のコア開発者達が、手数料(ガス)システムについての改善案「EIP1559」を「ロンドン」のアップグレード(7月ごろ予定)で実装することに合意したことがわかった。

収益が下がることを懸念した多くのマイナーからは反対の声が挙がっていたが、導入決定に踏み切った形だ。

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現在、イーサリアムのネットワーク送金手数料はオークションスタイルになっており、取引を速く処理してもらいたいユーザーが、それだけ高い料金をマイナーに払うことで優先権を得るような状況が多くのユーザーに指摘されている。EIP1559は、この仕組みの代わりに、ネットワーク全体の標準料金を採用。標準化された手数料は、ネットワークのアルゴリズムによって設定され、市場が混雑している時には上昇し、空いている時には下がる設計だ。

また手数料の一部はマイナーに送られるのではなく、「バーン(焼却)」されることになる。焼却されることにより、イーサリアムの供給量が減り、結果としてイーサリアム価格の上昇要因になりえると期待されているところだ。これまでは、マイナーに支払われた手数料報酬が潜在的な売り圧力となる側面もあったが、これも解消され得るという。

関連イーサリアムマイナー収益がビットコインマイナー超え

昨今イーサリアムの取引手数料が高騰し、DeFiなどのオンチェーン取引を行う際のハードルになっていることから、ユーザーやイーサリアムを使ったアプリの開発者からもEIP1559は歓迎されている。

一方で、手数料から多くの収益を得てきたマイナーやマイニングプールの多くは、この提案に反対。The Blockによると、2021年2月のマイニング収益総額は、過去最高の13億ドル(約1,400億円)以上となり、この約50%が手数料によるものだった。

マイニングプールFlexpool、Ethermine、SparkPoolなど、イーサリアムネットワークのハッシュパワーの約60%以上が提案に反対。一方で、それを支持する最大のプールとしては、ハッシュパワーの約10%を占めるF2Poolが存在しており、その他Binance Pool、BTC.comなども支持する側にいる。

「賛同することがマイナーに一番大きな利益をもたらす」

仮想通貨分析を提供するDeribit Insightsは、EIP1559を支持することが、マイナーにとっても一番の選択肢だとする記事を掲載している。

この記事で、リサーチャーのHasu氏とGeorgios Konstantopoulos氏は、EIP1559に反対するマイナーの選択肢として幾つか考えられるものを挙げて分析した。

例えば、「ハードフォークを行い新たな仮想通貨を生成する」ことがある。しかしこれについて両氏は、過去にハードフォークされたネットワークがイーサリアム本体のような普及レベルに達したことはないと指摘。

マイナーは、そうした新しいブロックチェーンが、仕事量に見合うだけの対価を生み出すまで待たなければならない。利用者の少ない新しいコインをマイニングする上では、当面の間コストがかかり、リスクもあるという。

両氏は、EIP1559に対抗する他の選択肢も検討した上で、どれもマイナーにとって満足を得られるものではないと結論した。EIP1559導入によりマイナーが手数料から得られる収益が低下すると仮定しても、EIP1559に抵抗するコストの方が高くなると分析した格好である。

EIP1559は、早くて7月頃に行われる「ロンドン」アップグレードで導入される予定だ。また、「ロンドン」を前に、大型アップグレード「ベルリン」は4月14日にブロック番号#12,244,000で実装される。

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