なぜイーサリアムへの資金流入が続くのか、高騰続く背景は
ビットコイン相場
4日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン(BTC)価格は、前日比-4.07%の610万円(55,720ドル)と反落した。
一時59,000ドルまで回復するも、BTCドミナンス大幅減などアルト市場に資金が流れやすい状況下にあり、6万ドルの節目を前に上値を重くしている。
2021年以降のアルトシーズン再来に伴い、市場占有率を示す「ビットコイン・ドミナンス」は急降下しており、3年前の仮想通貨バブル時と同等水準の40%台まで落ち込んだ。
分析企業Santimentは、大手デリバティブ取引所BitMEXのファンディングレートが直近最低水準にあることを指摘。「過熱感は収まっている」としている。
最高値更新続くイーサリアム
先月末よりビットコインが大幅下落に転じるなど相場の転換点を示唆する中、直近のイーサリアム(ETH)価格はビットコイン(BTC)を強くアウトパフォームしている。前週比+29.1%、前月比+62.2%のパフォーマンスは、ビットコインの前週比+3.5%、前月比-2.1%を大きく上回った。
特に、先月15日以降の仮想通貨暴落(全面安)時の値動きでは、明暗が分かれている。
直前までパンプされていたアルトを中心に起きた強い下落局面において、ETHは2,000ドルを割り込まずに下げ止まるなど下げ幅が限定的だったこと、その後一際強い反発で最高値を更新したことは、中・長期保有動機を強め、ポートフォリオの資金配分を見直すアセットアロケーションの重要性を再確認させた可能性がある。
2,000ドル以降の高騰から足元の過熱感こそ強まってはいるものの、最高値更新でテクニカル上のレジスタンスラインが存在しないことからも資金流入が続く。
昨今ではビットコインに追従するようにして、上場企業の大量保有事例も確認されたほか、オンチェーンデータではクジラ(大口投資家)の買いも観測された。
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米投資ファンドFundstratが、4月29日に公開したFundstrat Global Advisorsの顧客向けレポートによれば、ビットコインからイーサリアムやDeFi(分散型金融)のような他のセグメントにシフトしつつある。
レポートでは、7月に予定される大型アップデート「ロンドン」の次期改善提案「EIP-1559」の導入について、ネットワーク取引手数料の一部を使ったETH供給量の焼却(バーン)、または破棄(トレジャリーストック)する資本資産へと移行することになるとし、「ベースフィーのバーンによるETH供給量の減少がインフレ率を上回れば、価格を後押しする可能性がある」との見解を示した。
ビットコイン建ての通貨ペア「ETH/BTC」でもその傾向は顕著と言え、ETH/BTCは上値抵抗線を上抜け、3年ぶり水準のレンジに乗り換わった。
現時点では、対ビットコインの時価総額比(市場規模)は30%台にあるが、当時とは相場環境が大きく変化する中、過去同様の推移を辿り得るのか市場の関心を集めそうだ。
一方で、ビットコインが5万ドルを割り込むなど大きく崩れた場合は、イーサリアムも巻き添えを喰らうことは免れない。弱気相場に転換した場合、仮想通貨全般が再び売り込まれるおそれもある。
イーサリアム経済圏の強み
イーサリアム躍進の背景には、これまで築き上げてきたエコシステム(経済圏)の地盤がある。ETH基盤のERC20トークン、及びdAppsなどアプリケーションのトッププラットフォームとして、その地位を確立した。
急成長するDeFi(分散型金融)エコシステムでは、先行開拓したETH基盤の最大手分散型取引所「UniSwap」にて、最新版アップデート(V3)を5日に控える。ETHのGas代高騰問題解決の糸口になり得るセカンドレイヤー「Optimistic Rollup」の導入が盛り込まれるほか、流動性プロバイダー(LP)の資本効率を改善する新機能も実装予定だ。
市場規模拡大の著しい「NFT(非代替性資産)」市場で流通するデジタル資産の多くが、ETH基盤(ERC721)である点もエコシステムの流動性向上に寄与しており、デジタル金融・経済圏のウォール街となりつつあると言っても過言ではない。
暗号資産データ分析企業Trade TheChainのリサーチアナリストNickMancini氏は、次のように指摘した。
DeFi市場に預け入れられた「Gross Value Locked(GVL)」は指数関数的な成長を記録し、GVLは1,170億ドルに達した。中でもイーサリアムベースの資産は、約70%(800億ドル)を占めている。
イーサリアムのトランザクション詰まりやGas代高騰を招くスケーラビティ問題は深刻であり、高速かつ安価なBSC(バイナンス・スマートチェーン)基盤の分散型取引所やSolana(SOL)基盤の分散型取引所などに押され気味であるが、今後のアップデートにおける伸び代を残しているとみることもできる。
20年12月に公開された「Electric Capital」のDeveloper Reportによれば、アクティブな開発者は過去3年間で+215%の伸びを観測した。
世界各国に分散された2,000人を超える開発者数は、他の有望プロジェクトと比較しても群を抜いている。
大型アップデートの思惑
思惑先行の背景としては、今後も続く次世代チェーンETH2.0関連の大型アップデートと、それに伴う現物ETHの需給良化も挙げられる。
5月4日時点で、Eth2ネットワークのバリデーター数は128,000を超え、デポジットコントラクトに預け入れられたイーサリアムは420万ETHを上回った。ステーキングの年利目安となるAPRは、7.6%となっている。
イーサリアムのロードマップにあるように、現行のイーサリアム・メインネット(ETH1)は、2022年までにETH2のビーコンチェーンとマージ(統合)されることで、現在のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと完全に切り替わる。
これにより、ビーコンチェーンのステーキングでロックアップされたイーサリアムの引き出しも可能となるため、エコシステム全体の流動性向上にも大きく寄与することになる。
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2021年中に予定する「シャーディング」は、データベースを水平方向に分割して負荷を分散するプロセスだ。
イーサリアムのスケーラビリティ(拡張性)及び容量向上のためのマルチフェーズアップグレードであるシャーディングは、ネットワーク負荷を新たな64のチェーンに分散させることでハードウェア要件を低く抑え、混雑緩和によりノードの実行を容易にする。
進行中の予定フェーズは以下の通り。
フェーズ0:2020年(バリデータを管理する「ビーコンチェーン/Beacon Chain」実装)
フェーズ1:2021年(ユーザーが利用する「シャードチェーン」実装)
フェーズ1.5:2021年(シャードチェーン・メインネット稼働、PoS移行)
フェーズ2:2021年〜(シャードチェーンの全稼働)
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