下落ムードもビットコイン長期保有者は買い増し継続、イーサリアム2.0ステーキングは堅調 CoinPost週次データレポート

仮想通貨市場のデータ動向

6月第3週の暗号資産(仮想通貨)市場。軟調な地合いが続くビットコイン(BTC)は15日には2週間ぶりに4万ドル台に復帰するも、FOMC(連邦公開市場委員会)で米FRB(連邦準備理事会)のパウエル議長が「量的緩和の縮小(テーパリング)」について議論を始めると発言。

「タカ派」の発言が金融市場にも波紋を起こしたなか、中国四川省の当局がマイニング事業者に業務停止を通告していることが報道されるなど、不穏なムードを拭いきれない状況が続く。

出典:CoinMarketCap

イーサリアム(ETH)は好調だった5月との取引量の差が顕著に表れており、20日には2,000ドル台まで割れた。

出典:CoinMarketCap

関連:米取引所コインベースが日本進出、ビットコイン大型アップデート確定|週刊仮想通貨ニュース

BTCとETHの取引所出来高

イーサリアムだけではなく、ビットコインの出来高も前月比と比較すると大きく低下している。特筆すべきは、BTC出来高とETH出来高が6月8日以降、逆相関(BTC取引が増加、ETH取引が減少)している点だ。

出典:The Block

また、仮想通貨市場全体を見ても取引量の減少が目立つ。The BlockのLars Hoffman氏は「今のペースを続けると6月の現物取引量は1.27兆ドル(約140兆円)になる」と予測し、これは前月比で-45%の減少に相当する。

大手取引所の日間取引量(7日移動平均)

BTCホドラーは堅調:著名アナリストの考察

短期的な下落相場を受け、仮想通貨市場は不穏な空気が漂うが、著名オンチェーンアナリストのWilly Woo氏はホドラー(長期保有者)はビットコインの買増しを続けていると指摘。オンチェーン上の強さは健在であるとの見解を示した。

ビットコインの保有量に応じて名称を持つWoo氏は100BTC以上保有する大口投資家から10~100BTCを保有する中口投資家などは下落相場の最中でも軒並みビットコインをガチホしていると考察。特に、0.1から1BTCを保有する「エビ」層の投資家はひたすらビットコインを買い増ししていると指摘した。

また、ビットコイン・ネットワークのユーザー数も順調に増加していると指摘し、Woo氏は下落相場に転じているとの見方に対抗する姿勢を見せた。

ビットコインのオンチェーンデータ

米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物のOI(未決済建玉)は以下の通り。引き続き取引量とOI、ともに減少傾向にある。

これまでも取り上げてきた通り、CMEのビットコイン先物の取引量は緩い減少傾向を3月以降続けており、一部では機関投資家からの関心の低下を指摘する声もある。

英最大手仮想通貨投資企業CoinSharesの週間レポートによると、同社が提供するビットコインファンドからの資金流出は数週間前から続いてきており、3iQなどの投資企業にも機関投資家の資金流出が見られていたという。一部機関投資家の撤退状況を裏付けるとの見方ができるだろう。

出典:CoinShares

関連:ビットコイン先物市場とは|清算価格や1年期先価格について元プロトレーダーが解説

BTCハッシュレート低下

また、ビットコインのハッシュレートも急激に低下しており、中国における仮想通貨マイニングの規制の影響と考えられている。

出典:Bitinforcharts

マイニングプール別で見ても、中華系大手のAntpool、BTC.com、Poolinのハッシュレートが18日以降20%近く減少。一方、米国プールFoundryのほうは上昇していた。

関連:ビットコインのハッシュレート急落、把握したい3つのこと

イーサリアムのオンチェーンデータ

ETH2.0 ステーキング額

ETH2.0へのステーキング額は、市場の価格に左右されることなく、依然堅調な伸びを見せている。

ステーキング額:570万ETH(先週:約545万ETH)

出典:CryptoQuant

関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み

DeFi(分散型金融)

DeFiプラットフォームのTVLは5.1億ドルと前週比で約15%の減少を記録した。

TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。相場の下落に伴い、最近は大きく減少傾向にある。

出典:DeFi Llama

関連:DeFi(分散型金融)とは? 特徴と仕組みを初心者にもわかりやすく解説

DeFi銘柄|前週比推移

  • ユニスワップ(UNI):19.76[-7.6%]
  • PancakeSwap(CAKE):15.34[-2.7%]

NFT上位銘柄:前週比

関連:非代替性トークンNFTとは|主な特徴と将来性を解説

NFT(非代替性トークン)関連銘柄の騰落率は以下の通り。

  • シータ(THETA):8.50[7.7%]
  • テゾス(XTZ):3.03[-4.3%]
  • チリーズ(CHZ):0.292001[5.2%]

クリプト指標

                    
日程 指標
6月24日 バイナンスNFTマーケットプレイスをローンチへ
6月24日頃 イーサリアム「ロンドン」アップグレード、テストネットで実装
6月30日頃 シータ メインネット3.0ローンチへ
6月30日頃 ヴィチェーン Sync 2ウォレットのローンチへ(2021年第2四半期)

バイナンスNFTマーケットプレイスのローンチ日

2021年6月24日

大手仮想通貨取引所であるバイナンスは5月27日、NFTプラットフォームのローンチ予定日を6月24日と明らかにしたことを発表。

バイナンスNFTはプレミアムイベントと取引マーケットの主な二つのパートから構成される。

今回発表されたのはプレミアムイベントで、世界的な展示やオークションから選択された作品が公開され、落札額の10%がバイナンスに、90%がNFT制作者に分配される仕組みとなる。

イーサリアム「ロンドン」アップグレード、テストネットで実装

2021年6月24日頃

7月頃の実装を目指す大型アップグレード「ロンドン」に向け、テストネットでの実装が6月24日頃に行われる。イーサリアム財団が発表した。

テストネット「Ropsten」上で、およそ6月24日頃と予想されるブロック数:10,499,401時点に実装が開始する。順調に行けば、その後は「Rinkeby」テストネットでも実装する予定。

関連: イーサリアム「ロンドン」アップグレード、今週テストネットで実装へ

シータ(THETA)メインネット3.0ローンチへ

2021年6月30日頃

分散型ストリーミング関連銘柄THETAのメインネット3.0は、当初4月下旬のローンチ予定だったが、6月30日頃に延期となっていた。

6月19日時点では、メインネット3.0のローンチは2週間以内になると公式アナウンスがあった。

THETAは低い手数料と高スループットを提供しつつ、相互運用に焦点を当てており、NFTの作成と取引、DeFiアプリケーション、またはその他のスマートコントラクトのユースケースにとってより魅力的なプラットフォームを提供する。

関連:前年比200倍の仮想通貨シータ(Theta)が時価総額9位まで高騰、分散型ストリーミング銘柄に高い関心

VeChain Sync 2ウォレットのローンチへ(2021年第2四半期)

2021年6月30日頃

Vechainが開発したデジタルウォレットアプリSync 2のベータ版は2021年第2四半期(2021年6月30日頃)にローンチする予定だ。

同ウォレットは、OSやデバイスに関係なく、真にシームレスなユーザー体験を実現することで、VechainThorパブリックブロックチェーン上に構築されたdAppの大量導入を加速するために設計されている。

ユーザーはSync 2を使用することで、従来のWebアプリケーションのようにシンプルで直感的なユーザー体験が可能となる。

前回の週次レポートはこちら:ビットコイン上位銘柄で週間騰落率1位に・イーサリアムの週間取引量は減少傾向

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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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