一時激減のビットコイン・ハッシュレート、今年5月の過去最高水準付近まで復帰
ハッシュレート回復
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のハッシュレート(採掘速度)が、5月の急落後以来約5ヶ月ぶりの177.5EH/秒という高水準に復帰したことが確認された。後述するが、グローバル・ハッシュレートは今年5月、中国の取り締まり強化の影響で激減していた経緯がある。
Blockchain.comのデータでは、ビットコインネットワークのハッシュレートは、21年5月以降右肩下がりに減少していたが、相場環境の改善もあり、7月末頃から大幅回復していた。
ハッシュレートとは
ハッシュレートとは、マイニングにおける採掘速度のこと。単位は「hash/s」で、1秒間に行う演算回数(計算能力)を示す。ハッシュレートの高さは51%攻撃などを防ぐため、計算能力の向上はネットワークの堅牢性につながる。
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変化するマイニング情勢
21年5月以降のハッシュレート低下の背景には、マイニングの一大拠点となっていた中国で政府の取り締まり強化が入ったことがある。ケンブリッジ大学の調査によれば、21年4月時点で中国の採掘能力は全体の46%を占めていた。
ハッシュレートの割合で中国に次ぐ、ビットコインのマイニング拠点は以下の通りだ。(21年4月時点)
- 中国:46%
- アメリカ:16.8%
- カザフスタン:8.2%
- ロシア:6.8%
- イラン:4.6%
- マレーシア:3.4%
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中国当局からの過去類を見ない規模の取り締まりを懸念して、5月以降はマイナーが中国から大量撤退した。結果的に、カザフスタンや米国などに採掘拠点を移動して採掘事業を再始動したことで、世界各地に分散化するというポジティブな影響をもたらしたとの見解もある。
米国では、連邦政府レベルでは規制の不透明性が続く中、ケンタッキー州やテキサス州などが州政府レベルでマイニング事業の誘致を推進。特にテキサス州では、9月上旬に仮想通貨を商法の中に位置付ける法案や、ブロックチェーン業界の調査を行う作業部会(ワーキンググループ)の設立案を施行した。
また、テキサス州ブロックチェーン評議会は今週8日(金)にも「テキサスブロックチェーンサミット」を開催予定。仮想通貨擁護派のCynthia Lummis議員や「クリプトママ」の愛称で界隈から親しまれているSECのHester Peirce委員なども登壇者に名を連ねる。
一方、国家・地域別のハッシュレートで世界5位のイランでは、夏季の電力不足が要因で中央政府が5月以降発令していたマイニング禁止令を9月下旬に解除。米国からの経済制裁に対抗する手段として仮想通貨を貿易手段として利用する方針も打ち出してきた。
まだ試運転段階にあるため、ハッシュレートでは上記の国には及ばないものの、中米エルサルバドルでは火山の地熱を利用したビットコインマイニング事業も進んでいる。
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