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マイニングにおけるDifficulty(採掘難易度)とは|ハッシュレートとの相関性について解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)をする場合、チェックしておくべき項目の1つに「Difficulty(難易度調整)」という指標が挙げられます。

Difficultyをチェックすることで、マイニングの活性度を確認できるほか、現在獲得可能な「マイニング報酬」が割安か、割高かの目安にすることができます。

本記事では、Difficultyについて、ハッシュレート(採掘速度)との相関性について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

マイニングのdifficulty(採掘難易度)とは

 

マイニングにおける「Difficulty」とは、採掘難易度のことを表します。

マイニングはナンス(ブロック生成権)を見つけ、ブロックを生成する作業を実行していますが、その作業が難しくなることを「Difficultyが上がる」と表現します。

ブロック生成の際に行われる計算方法はアルゴリズムによって異なりますが、ブロックを生成するハッシュ値が、Difficulty Targetと呼ばれる値より小さくなるとマイニングは難しくなります。

わかりやすく、「受験生」を例にして解説してみましょう。受験生は、希望校への合格を目指して入試の試験問題を解きます。

試験では、減点された点数の総合計がある値(閾値)より低ければ、合格です。合格点のある値というのは、その年の受験者数や、受験問題の難しさ等によって変わる「変数」とします。

仮想通貨に置き換えると、この試験を解く行為がマイニング、試験で減点された点数の総合計がナンス、閾値がDifficulty Targetにあたります。

「Difficulty Target」というのは、例え話でいう「受験した人数(ハッシュレート)」や「受験問題の難しさ(Difficulty)」により調整された値のことです。学校側も敷地の面積や教員数などのキャパシティあり、受け入れ可能な学生数(生成できるブロックの数)が限られるため、このような制限をかける必要が生じます。

ライバルたちとの激しい競争を乗り越えて、合格ラインに達すれば、その対価として「マイニング報酬」を受け取ることができるのです。

Difficulty 推移

出典:blockchain.com

新規マイナーの参入と採掘マシンの高性能化により競争が激化した結果、Difficultyは年々上昇しています。上図は、ビットコインのDifficultyのチャートです。

2017年から2018年にかけて、初めて「ASIC」と呼ばれるマイニング専用の機器が登場し、瞬く間に普及したことにより、Difficultyは大きく上昇しました。当時は、グラフィックボードを使用したマイニングも可能だったのですが、今ではASICのさらなる高性能版が製品化され、グラフィックボードでのマイニングはほぼ不可能となりました。

そんな中、21年6月に大きなDifficulty下落調整が入りました。これは、中国当局の意向で過去例にない規模のマイニング規制が入り、同国内のマイナーが撤退を余儀なくされるなどして、ハッシュレート(採掘速度)が大幅下落したことが要因です。後述しますが、Difficultyは調整されていくもので、ハッシュレートとは相関関係があります。

ハッシュレートとは

ハッシュレートとは、マイニングする際、電子機器が演算処理をこなす速度のことです。

ハッシュレートは、1秒間あたりの処理回数(Hash/s)を表すことができ、この値が高いほど計算の処理能力が高いと言えます。

ASICやグラフィックボードなどのマイニング機器には、それぞれ出力できる電力が決まっています。この供給できる電力によって、一般的にはハッシュレートが上がるため、マイナーはより電力効率(コスパ)に優れたマイニング機器を探し求めているのです。

ハッシュレートとDifficultyの相関関係

blockchain.com

ハッシュレートとDifficultyには相関関係があります。これは、ビットコインがなぜ安定して「約10分に1度」のブロック生成を実現できているかを紐解くと理解しやすくなるはずです。

マイニングとは、ナンスと呼ばれる”お宝のようなもの”を探し当てた人がブロックを生成する作業です。ビットコインにおいてブロック生成時間が「10分に1度」と一定周期で行われる中、マイナー(orハッシュレート)が増えたらどうでしょう。

総取引処理回数が増えれば増えるほど、ナンスは発見されやすくなりますから、結果として10分より早くブロックが作成できてしまい、最大上限2100万枚の供給期限について当初の想定より、何年も狂いが生じてしまいかねせん。

ハッシュレートが増えた状況下で、ブロック作成時間を一定のバランスを堅持するためには、ナンスを見つけにくくする、すなわちDifficultyを上昇調整すればいいのです。反対に平均ハッシュレートが水準を大きく下回った場合は、Difficultyを下降調整し、10分という時間を保つようにしています。

ビットコインの場合は、この調整が2016ブロック作成ごと(約2週間に1回)行われますが、これはPoW通貨の仕組みによって変わります。

Difficultyの変化による影響

ビットコインにおいて、Difficultyと通貨の市場価格には、正の相関関係があることが分かっています。つまり、Difficultyが上昇すると、ビットコインの価格も上昇しやすくなります。

また、Difficultyが上昇すると前述した通り、ブロックの生成が難しくなります。マイニング報酬はブロックを生成したものだけが手に入れることができるため、マイナーへの報酬の水準は下がります。

関連:初心者でもわかる、ビットコインのマイニング(採掘)とは 3種類の方法を解説

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