ビットコインのマイナー保有量が昨年末の最高水準に迫る、ETHクジラは買い増し傾向 CoinPost週次データレポート Vol.39
12月の仮想通貨動向
12月第2週の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)価格は、金融市場全体のリスクオフに影響され軟調な動きが目立ったが、21日にかけて反発した。
時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、CMEの提供する先物取引が新記録を達成するも、過去1週間の値動きは総じて軟調だった。
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(19日時点:ステーブルコイン除く)
- テラ(LUNA)+26.34%
- アバランチ(AVAX)+22.21%
- ポリゴン(MATIC)+6.48%
- ソラナ(SOL)+3.84%
- ドージコイン(DOGE)-0.17%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
BTC取引所預入残高
オンチェーンアナリストのAlex Moskovski氏は、ビットコインの取引所預入残高比率が過去3年間で最も低い水準に達したと指摘。同指標は今年6月以降から減少傾向が続いていた。
取引所預入残高
取引所に預入(デポジット)されている仮想通貨の総量を示す指標。取引所に入金されていない仮想通貨は即座に取引(≒売却)し難いため、同指標の低下は、売り圧力の低下を示唆する。
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センチメント低下
仮想通貨分析企業のSantiment社は19日、ビットコイン価格が6日以上5万ドルを切っていることから、多くの投資家が「降伏」状態にあると分析。10月以降では悲観的なセンチメントが出回っており、反発の余地が出てきたとした。
関連:ビットコイン土俵際で反転攻勢なるか、トレーダー感情指数は過去3ヶ月で最低レベル
HODL傾向は継続
オンチェーンアナリストのTXMCは、ビットコインのIlliquid Supplyが2021年を通じた大きなテーマの一つであると指摘。
長期的には、5月に相場の下落以降、長期保有者が最初に買い集め傾向を始めたと分析。このような長期的目線で購入されているビットコイン保有量は新規発行量の3.4倍にのぼるという。
Illiquid Supplyとは
流動性が無い(長期保有されている)ビットコインの保有量を示す指標。Glassnodeの統計では、ビットコイン流通量の内、最大78%がこれに該当するというデータも出ている。(昨年12月時点)
▶️仮想通貨用語集
一方で、この内400万BTCは5万ドル以上の価格帯で購入されており、ビットコインの時価総額の約2割が含み損状態にあることも分かっている。
また、Glassnodeの週次レポートによれば、直近の値動きは過去3ヶ月から6ヶ月以内にBTCを購入した投資家が主であり、長期保有者からの値動きは少ないと指摘した。
マイナーのHODL事情
また、長期保有を重ねているのは従来の大口投資家(クジラ)などには限られていない。
CryptoQuantのオンチェーンアナリストである@DanBTC916は、BTCマイナー(採掘業者)の保有するBTC量が増加傾向にある点を指摘。ビットコイン価格の下落とは裏腹に、中・長期視点で次号に取り組むマイナーのセンチメントは強気を維持していると捉えた。
Glassnodeは、マイナーが新規発掘したビットコインの内、取引せずに保有したままの量が170万BTC近くに上ると指摘。これは昨年末の過去最高水準に迫る勢いで、マイナーのHODL傾向は21年3月から続いていたことが伺える。
グレースケールのビットコイン投信(GBTC)
米仮想通貨投資企業のグレースケールが提供するビットコイン投資信託(GBTC)は21日、現物価格(NAV)との価格乖離が-20%を2ヶ月ぶりに上回った(-21.58%)。
グレースケール社は2013年より仮想通貨関連の投資信託商品を提供している資産運用大手。AUM(資産運用残高)は435億ドル(4.9兆円)にのぼり、GBTCはこの内7割近くを占める。
関連:グレースケール投信の「マイナス乖離」、ビットコイン市場に及ぼす影響とは
難易度調整
ビットコイン・ネットワークは11日、難易度調整を完了。+8.33%で約1ヶ月ぶりのプラス調整となった。
難易度調整とは
過去2016ブロックで実現したブロック生成時間を基準として、算出されるハッシュレートの推定値から次回2016ブロックの生成時間10分になるように調整する仕組み。平均で2週間に1回難易度が変更される。
▶️仮想通貨用語集
BTCの9割、採掘完了
ビットコイン・ネットワークは14日、最大供給量の内、90%の大台となる1,890万枚目のBTC採掘を完了。ブロック高714,032時点に達成した。
なお、ビットコイン供給量は残り210万BTCを切っているが、4年に1度発生する半減期の影響で全て採掘されるのは2140年までかかる概算がある。(99%は2033年頃に到達の見込み)
関連:ビットコイン2100万枚の内、9割採掘完了へ FOMC控え軟調相場続く
データ分析企業のGlassnodeは約12.9年でBTC供給量の9割は採掘されたものの、残りの1割が採掘されるには112年かかるとした。
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:867万ETH(前週比+10万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
ETHクジラ
Santimentによれば、10万ETHから1,000万ETHを保有するイーサリアムの大口アドレスらは10月1日以降、141万ETHを買い増し。2ヶ月半で総供給量の2.8%を追加購入した。
バーン量
イーサリアムのバーン量は21日、123万ETHに到達。前週比では4.8万ETHが焼却されており、前月比では27万ETHバーン量は増加している。
(参照:Watchtheburn )
バーンとは
株式の「自社株買い」に近い形で仮想通貨の供給量を減らす仕組み。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。
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DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは21日時点で2,442億ドル(28兆円)だった。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
前回の週次レポートはこちら:データからみる前週末の大幅下落、イーサリアムの取引所残高は減少続く
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人
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