地合い改善で仮想通貨買われる、アルト市場では一部銘柄に物色の矛先
世界情勢と仮想通貨市況
米ニューヨーク株式市場は、ダウが前日比518ドル(1.5%)高、ハイテク株中心のナスダックは前日比487ドル(3.7%)高と大幅上昇で取引を終えた。 東京株式市場では、前場時点で日経平均株価が前日比766円(2.97%)高をつけている。
利上げ観測のあった3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が通過したことによる相場アク抜けのほか、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアとの停戦協議の交渉に向け前進する可能性を示唆、中国政府による景気刺激策などが伝わり投資家心理が改善した。
FOMCは、15〜16日に開催された定例会合で、政策金利を0.25%引き上げを決定した。CPI(米消費者物価指数)が40年ぶりのインフレ水準にある中、その抑制のため年内全ての会合で利上げを行うことも示唆している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は記者会見で、現在の米経済の強さを指摘。金融引き締めに十分耐えられるとの認識を示した。政策金利見通し(ドット・プロット)によれば、2023年までに「1.9%→2.8%」の金利引き上げが見込まれる。
一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済政策で膨らんだ、およそ9兆ドル規模のバランスシート縮小については明言を避けた。5月の会合で縮小に踏み切る可能性がある。
米株指数上昇に伴い、暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は、前日比+4.2%の486万円(41,030ドル)と上昇した。
買い戻しが先行したものと見られる。46,000ドルのレジスタンスライン(上値抵抗線)を上放れすればトレンド転換を認められそうな局面であるが、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクには十分留意したい。
暗号資産時価総額2位のイーサリアム(ETH)も前日比5.9%高と反発している。コンセンサスアルゴリズムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行に向けた進展も評価された。15日にテストネット「Kiln」をローンチし、The Mergeを実行したものだ。
関連:イーサリアム、PoS移行に進展 最新テストネットで「The Merge」を実行
アルトコイン市場の動向
ApeCoin DAOが、TwitterでERC-20トークンの「ApeCoin」を発表した。
トークンの総供給量の15%は、高級コレクティブるNFT(非代替性トークン)のBored ApeYachtClub(BAYC)とMutantApeYachtClubのNFTホルダーにエアドロップされる予定。
これに伴い、BAYC関連NFTの売買が活性化。OpenSeaの出来高は前日比3倍以上に跳ね上がっている。米コインベースやFTXなど主要取引所に上場予定があるとされ、関心が集まりそうだ。
関連:BAYC、「ApeCoin」を配布へ コインベースやFTXに上場予定
個別銘柄では、メタバース(仮想空間)関連トークンのザ・サンドボックス(SAND)が前日比16.1%の3.23ドルまで上昇した。
世界最大手の商業銀行である英HSBCとの提携発表がポジティブサプライズとなった。HSBCは今後、同ゲームの仮想土地(LAND)を取得し、スポーツやゲーム分野での活用を目指して開発を行うとされ、さらなるエコシステムの発展が見込まれる。
関連:世界最大級のメガバンク英HSBC、メタバース系NFTゲーム「ザ・サンドボックス」参入へ
2月28日には、エイベックス・テクノロジーズ株式会社がザ・サンドボックス参入を発表。メタバース(仮想空間)上でアーティストとファンが交流できる場所として、エイベックスランド(仮称)」の設立構想を明かした。
3日に開催した「Metavex District LAND セール」では、浜崎あゆみやピコ太郎といった、エイベックスグループ所属の著名アーティストを用いたデジタル資産を販売。同ゲーム内のイベント参加チケットである「エイベックスパス」などの権利が含まれており、セール開始直後に完売するなど好評を博した。
これに先駆け、エイベックスの松浦勝人CEOは昨年12月、Twitterプロフィールに有名NFT(非代替性トークン)「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のアイコンを掲載してホルダーであること、The Sandbox(ザ・サンドボックス)のランドで、ESTATEと呼ばれる3×3区画の広大な敷地を購入したことを示唆していた。
関連:エイベックス松浦CEO、Twitterアイコンに高額NFT「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」掲載
そのほかの銘柄では、ブロックチェーンゲームのベータ版ローンチで反響を集める「STEPN」のGMT(Green Metaverse Token)が高騰した。最大手デリバティブ(金融派生商品)取引所であるFTXが先物取引を開始したことが背景にある。
9日にはバイナンスにIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)上場。 価格上昇が続いていたが、FTXの先物取扱開始でさらに買われた。
STEPNは、国内取引所にも上場した時価総額上位のソラナ(SOL)ブロックチェーン基盤であり、NFTのデジタル・スニーカーを購入してウォーキング・ランニングをこなすことでトークンを稼げる「Move to Earn」の仕組みを備えるため、運動不足解消目的の個人投資家を中心に着目された。
今年2月には、Sequoia Capital、Folius Venturesをはじめ、有力VCのAlameda Researchなどからシードラウンドで500万ドルの資金調達に成功したことを発表。昨年10月には、Solana開催のハッカソン「Solana Ignition Hackathon 2021」で入賞した。
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