米SEC、仮想通貨カストディ企業のリスク開示関連のガイドラインを発行

開示情報についてガイドラインを発行

米証券取引委員会(SEC)は31日、暗号資産(仮想通貨)カストディ企業の会計処理に対する見解をまとめた職員向けの広報を発表した。カストディ事業のリスクを考慮して、投資家への情報開示を強化すべきとする内容だ。顧客から預かる仮想通貨を「負債」としてバランスシートに記載することなどを挙げている。

なお、SECの職員会計広報は、SECの正式な見解として承認されたものではないが、SEC職員が実務上使用するガイドラインとして参照される。

カストディとは

投資家の代わりに資産を保有・管理することを指す。仮想通貨以外の資産にも広く使われる用語。資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務を代行するサービスを指す。カストディを行う企業を「カストディアン」と呼ぶ。

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仮想通貨カストディ事業のリスク

今回の職員広報は、仮想通貨カストディ事業のリスクを以下のように指摘した。

  • 技術的リスク
  • 法的リスク
  • 規制リスク

まず、技術的リスクについては、仮想通貨には資産を保護する方法や、市場での動きが急速に変化するという面で特有のリスクが存在するとしている。

法的リスクについては、「不利な事象(詐欺、損失、盗難、破産など)」に関連する裁判手続きにおいて、カストディ事業における契約事項などが、どのように扱われるか不透明であるという。

規制リスクについては、他の資産のカストディ事業と比較した場合に、仮想通貨カストディに対する規制要件が現在大幅に少ないことを挙げた。さらに、「事業体が規制要件を遵守していない可能性もあり、投資家のリスクが増加することにつながる」とも続けている。

職員広報は、「これらのリスクが、カストディ企業の運営や財務状況に大きな影響を与える可能性がある」としており、投資家保護のため、カストディ企業は財務情報での開示を強化すべきという方向性を打ち出した。

「預かっている仮想通貨は負債とすべき」

具体的には、まずユーザーのために保有する仮想通貨を「負債」と位置づけるべきだとして、次のように説明している。

カストディ事業者は、仮想通貨へのアクセスに必要な秘密鍵の管理など、ユーザーのために保有する仮想通貨の保護に責任を持つ限り、貸借対照表に負債を表示すべきと考える。

この負債は、事業者がそのユーザーのために管理する責任を持つ仮想通貨の公正価値で測定することが適切であると考える。

さらに、開示情報についても、次のようにガイドラインを示した。

仮想通貨の秘密鍵に関する損失リスクなどの、カストディ事業に伴う重大リスクや不確実性を考慮して、財務諸表への注記には、預かっている仮想通貨の性質と金額、主な銘柄ごとに分けた情報、事業活動の脆弱性について、明確に開示すべきと考える。

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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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