米CFTC委員長の議会証言、FTX提出のデリバティブ改正案も焦点に
米下院公聴会で証言
米商品先物取引委員会(CFTC)のRostin Behnam委員長は3月31日、下院農業委員会の公聴会で「CFTCの現状」について証言。議員からは、デジタル商品先物市場の規制に関する質問が相次いだ。
CFTC(商品先物取引委員会)
CFTCとは、「Commodity Futures Trading Commission」の略で、商品取引所に上場する商品や金利、デリバティブ全般など、米国の先物取引市場を監督する米政府機関。1974年設立
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2017年にCFTC委員に指名されたBehnam委員長は昨年から1年間、CFTC委員長代理を務め、今年1月4日に委員長に就任。暗号資産(仮想通貨)に関するCFTCの監督権限拡大を方針として掲げている人物だ。
Behnam氏は冒頭陳述で、「デリバティブ業界の人口は変化しており、伝統的な金融ではなく、テクノロジー部門からの参入も増加している」と現状を説明。また「情報とテクノロジーによって力を得た」個人投資家が先物市場に多く参入していると指摘した。
このような「ユニークな現象」が市場に大きな影響を与える中、CFTCの急を要する意思決定にも影響を及ぼすようになっていると、同氏は語った。
FTX US Derivativesの申請
公聴会では、大手取引所FTXの米国部門で、デリバティブ取引に特化した「FTX US Derivatives」(以下FTX.USと表記)から提出された、デリバティブ清算機関のシステム改正申請について、焦点が当てられた。
FTX.USは、CFTC認定の先物取引業者(FCM)の仲介なしで、証拠金デリバティブ取引を直接精算できるようCFTCに要請している。現在、CFTCは、FTX.USの申請に対するパブリックコメントの提出を求めているところだ。
農業委員会のDavid Scott委員長は、FTX.USの新たな精算システムの提案は、十分に検証されておらず、「非常に懸念している」とコメント。それに対し、Behnam委員長は、パブリックコメント期間を延長することで、提案を慎重に検討している段階であり、この提案を支持するかどうかの決定には至っていないと答えた。
同時にBehnam氏は、FTX.USの提案は「禁止されているわけではなく、商品法に違反するものでもない」と指摘。CFTCを率いる立場としては、全ての利害関係者と市場参加者が、市場にアイディアを提示し、意見交換ができる機会を提供する責任があると述べた。
さらに「この提案が、最終的に効率的な取引の実行とリスク軽減につながる可能性がある」と主張し、CFTCには「責任あるイノベーション」を育成することが求められていると付け加えた。
今後の展開
FTX.USの提案については、5月11日までがパブリックコメント募集期間となっている。その後、同月末までにCFTCスタッフによる円卓会議を開催し、非仲介取引と市場構造について話し合う予定だという。
Behnam委員長は、デジタル商品の定義を設けることが、「ほぼ規制されていない市場」に対する規制整備の重要な一歩であると主張。そして、その定義の設定はCFTCが担うべきだとした。
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