ライトニングネットワークの新プロトコル発表 ステーブルコイン発行を可能に
新レイヤー2プロトコル「Taro」を発表
ライトニングラボは5日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のネットワークでステーブルコインなどの資産を発行できるようにする新レイヤー2プロトコル「Taro」を発表した。同時に、シリーズB資金調達ラウンドで7,000万ドル(約87億円)を集めたと述べている。
2016年に立ち上げられたライトニングラボは、ビットコインのオフチェーン技術ライトニングネットワークの主要な開発者である。300社以上の企業が、このスタートアップが開発したソフトウェアを使用してツールを構築しているとされる。
ライトニングネットワークとは
ビットコインのトランザクション処理能力を解消するため、レイヤー2を利用したオフチェーン技術のこと。ライトニングネットワークを導入すれば、混雑しがちなブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながる。取引の高速化や手数料削減が実現すれば、少額決済が行えるようになるため、それによって新しい商品やサービスが生み出されることも期待されている。
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Taroと名付けられたこのプロトコルは、ライトニングネットワーク上でステーブルコインを使用することを可能にするものとなる。ライトニングラボは公式発表で、Taroについて、次のように説明した。
Taroは、(ステーブルコインなどを用いて)法定通貨からビットコインへ変換することを容易にするものだ。さらに、Taroがビットコインの流動性を使って、そのプロトコル上で発行された資産をルーティング(データの送信経路を割り出すこと)するようになると、ライトニングネットワーク上のビットコインに対する需要が高まる。
ライトニングラボのエリザベス・スタークCEOは、現在、ステーブルコインは、日常的な決済ではなく、仮想通貨関係の取引やDeFi(分散型金融)の場面で使われることが大半だと指摘。
スターク氏は、ライトニングラボの目標は、この状況を変えて「ビットコインを数十億人に普及させること」にあると話した。
スターク氏によると、現時点ですでに多くの大手企業が、ライトニングネットワーク上で、Taroを活用したステーブルコイン発行を検討しているという。
Taroは、ライトニングネットワークのスピードと、ビットコインのセキュリティを同時に活用するものだ。公式発表によると、昨年11月のビットコイン・アップグレード「Taproot」により、ビットコインネットワーク上でのプライバシーとセキュリティの向上が行われたことも、Taroの構築を可能にしたという。
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80億円超を資金調達
ライトニングラボは、株式ベースのシリーズB資金調達ラウンドで7,000万ドル(約87億円)を調達したことも発表。ペイパル創業者ピーター・ティール氏のValor Equity Partnersと資産運用会社Baillie Giffordが主導した。
その他に、Goldcrest Capital、Kingsway、Moore Strategic Ventures、ロビンフッドのブラッド・テネフCEO、NYDIG、ブレバンハワード、シルバーゲートのアラン・レーンCEOも参加している。
ライトニングラボは、このラウンドでの企業価値評価額については公表していない。
米仮想通貨関連投資企業NYDIGは、ライトニング・ネットワークに多くの資金を投資しているところだ。21年10月、NYDIGはライトニングネットワークの決済会社であるBottlepayを3億ドル(約370億円)で買収した。
NYDIGは今年2月、企業の従業員が給与の一部をビットコインで受け取り、貯金することができるサービスも発表している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します