27日にFOMC発表控え様子見基調、ビットコイン続落で22000ドルを割り込む
仮想通貨市況
22日の米株式市場では、ダウ平均株価が前日比137ドル(0.4%)安と反落した。
S&Pグローバルが22日に発表した7月の「購買担当者景気指数(PMI)」が約2年ぶりに50水準を下回るなど急低下。欧米の景気悪化への懸念が強まり、売り優勢に傾いた。
これを受け東京株式市場では、日経平均株価が前週末比203円(0.7%)安となった。
ここ最近はインフレがピークに達する兆候を示したことで投資家心理が改善。仮想通貨市場もパニック売り相場の終息で反発基調にあったが、27日(日本時間28日3時頃)に米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策発表、及びパウエル議長の記者会見を控える中、再び様子見ムードが高まりつつある。
追加利上げ1.00%に踏み込むとの金利先物市場予測が21.3%まで低下して相場の下支えとなっている反面、FRB(米連邦準備制度)のインフレ抑制を重視する姿勢は一貫しており、ネガティブサプライズへの警戒感も根強い。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比-2.05%の299万円(21,987ドル)と続落。
20日には、イーサリアム(ETH)などの主要アルトが先導する形で1BTC=24,000ドル台を回復する場面も見られたが、先物主導の過熱感の反動売りが出たところで、テスラの決算報告で保有するビットコインポジションの内、4分の3を2Q中に売却したことが伝わると下落が加速。
高値・安値ともに切り下げつつ、22,000ドルを割り込んだ。
テスラのイーロン・マスクCEOは、「相場の不確実性の高まりを受けたキャッシュポジション最大化」を理由に挙げた。
関連:テスラ社、保有するビットコインの75%を売却=2Qレポート
IntoTheBlockのトランザクション履歴によれば、20,760ドル〜21,500ドルで836,000アドレスが売買されている。
価格帯別出来高の厚いゾーンはサポートとして機能しやすい反面、底割れた場合に含み損を嫌気した売りが加速するおそれもある。
オンチェーンデータ
CryptoQuantに投稿したtheKryptolic氏は、Funding Rate(資金調達率)が大きく上昇していると指摘し、警鐘を鳴らしていた。FRは今年3月以来の水準に達し、デリバティブ市場主導の相場と現物買いが十分付いて来ていない可能性を示唆する。
CoinSignal365氏によれば、昨年11月以来の下落トレンドが長引く中、クジラ(大口投資家)はその数を増やしている。 過去数年間のデータでは、保有量100,000BTCを超えるクジラの数がここ数週間で急上昇した。
一方で、Ali Martinez(@ali_charts)氏は22日、1,000BTC以上のアドレス数で見ると減少していると指摘。7月12日以降BTC価格は反発したものの、2300万ドル以上の資産を保有する30頭のクジラはその間にネットワークを離脱した可能性があるとの見方を示した。
また、同氏はマイナー(採掘業者)の売り圧力にも言及。7月12日以降マイナーウォレットから1%近くの保有残高が減少しており、過去9日間で約13,850BTC(3億1800万ドル)相当が売却されたものと見られる。
業界再編の動き
大手ベンチャーキャピタル(VC)のThree Arrowsや融資企業Celsiusの連鎖破綻や、FTXによるBlockFiへの巨額融資など業界再編が進む中、FTXの韓国大手取引所Bithumb買収論が浮上している。ブルームバーグが報じた。
この点についてデータ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOは懐疑的な見方を示し、次のように述べた。
韓国大手取引所の買収交渉は過去にもあったが、政府の干渉などの影響で交渉決裂が続いている。キムチ・プレミアム(グローバル水準との価格乖離)を含め、規制当局は強い資本規制を敷いており、暗号資産を介して必要以上の外資をもたらすと金融市場のコントロールを失いかねない。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します