米SEC、証券法違反の疑いでコインベースを調査 ウェルズ通知を送付
SECがコインベースを調査
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは22日、米証券取引委員会(SEC)から同日に「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取ったことを公表した。
SECの調査の対象には、上場している仮想通貨やステーキングサービス「Coinbase Earn」などが含まれている。コインベースは取扱銘柄やサービスが合法であることを確信しているとし、訴訟も歓迎すると説明した。
ウェルズ通知とは、企業や個人に対し、SECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書。SECは最近、仮想通貨の銘柄やサービスに関する規制措置を加速している。
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今回、調査対象になった全内容は以下。
- 上場しているデジタル資産の一部(銘柄は未特定)
- Coinbase Earn
- Coinbase Prime(機関投資家向けソリューション)
- Coinbase Wallet
コインベースの説明によると、同社がどのように対応すれば良いかについて、ウェルズ通知には多くの情報は書かれていない。ウェルズ通知は訴訟を意味するものではないが、コインベースが証券法違反をしている可能性があることが伝えられている。
一方でコインベースは、どの上場銘柄が有価証券に該当するのか質問してもSECは回答しなかったと主張。SECへの事業登録についても数カ月に渡って複数の提案をしてきたが、SECは対応を拒んだとも述べている。
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現時点で訴訟されているわけではないため、コインベースはサービスを通常通り運営。一方で、米連邦公開市場委員会(FOMC)や今回の報告が重なり、コインベースの株価は前日比で8.1%下落し、時間外取引でさらに12%値を下げた。
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仮想通貨上場は厳格に審査
株式が取引されているように、コインベースはナスダックに2021年4月14日に上場した。今回の発表では、この時と根本的にコインベースは全く変わっていないと指摘。株式上場は、SEC自身による長期にわたる審査を経て実現したはずだと主張した。
コインベースは今回、改めて「有価証券は上場しておらず、証券に相当するプロダクトも提供していない」とも主張。取引所に上場する前に各銘柄を厳しく審査しており、有価証券に該当しないかも審査項目に含まれているとした。
そして、条件を満たさなかったため、審査したうちの90%の銘柄をこれまで上場させなかったとも説明。この審査プロセスは株式上場の際に、SECにも共有したと指摘している。
また、規制ルールを示してくれれば従い、実際の手順を提示してくれれば登録も行うと主張。必要であれば、規制の明確化や、SECの不公平さや不適切さを裁判で証明するために、訴訟にも応じるとした。
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