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「ステーキングサービスを証券認定から除外すべき理由」米コインベースがSECに請願書提出 

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

クラーケンへの執行措置に対応

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは20日、証券取引委員会(SEC)に対し、ステーキングサービスの証券法上の取り扱いに焦点を当てた意見書を提出した。

コインベースは昨年7月、「実行可能な規制の枠組みの開発」を求める誓願書を提出していたが、今回はその誓願に対する意見として、「一部のステーキングサービスを証券とみなす可能性」を示唆するSECの最近の措置を厳しく批判している。

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具体的には今年2月、「投資契約に相当するステーキングサービスの提供」により証券法違反として起訴された大手取引所クラーケンが、SECとが和解に至った事例に言及。この件に関して、ゲンスラーSEC委員長が、「サービスとしてのステーキングを提供する事業者には登録義務があり、情報開示と投資家保護が求められることを市場に明らかにした」と発言したことを問題視している。

コインベースは、SECがこの和解が成立するまで、時間と機会があったのにも関わらず、「ステーキングサービスが投資契約に該当し、SECへの登録が必要な証券募集であると考える可能性」を業界に伝えておらず、懸念があるとの立場も公表していなかったと指摘。

さらに、SEC委員長が正式なガイダンスではなく、一社への強行措置を通じて、すでに広く普及している業界活動について、「新たな政策的立場と法的判断を表明した」と主張することは、「市場参加者に不確実性をもたらしている」と批判した。

関連:米SECのクラーケン起訴をどう見るか、イーサリアムステーキングへの影響を考察a

投資契約の条件を満たさないサービス

コインベースの最高法務責任者Paul Grewal氏による意見書は18ページにわたる。Grewal氏は「ステーキングにはさまざまなモデルが存在し、一枚岩ではない」と指摘した。

同書で取り上げた中核的なステーキングサービス(コア・ステーキングサービス:CSSと表記)は、投資契約の定義にあてはまらないと強調。ステーキングは、投資契約にあたるかどうかを判断する「ハウィーテスト」の以下の四つの要素を満たしていないと説明した。

  • 金銭(または価値)を投資すること
  • 共同事業への投資
  • 利益に対する合理的な期待がある
  • 他者の経営努力に由来する

ハウィーテスト

ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。これ自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対して訴訟を起こした経緯がある。

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まず、CSSは金銭の投資を伴わない。ステーキングサービスを利用する際に、ユーザーが一時的に手放すのは資産の代替利用であって、金銭ではないとコインベースは主張。また、その資産の所有権は完全にユーザーに属し、サービスプロバイダーの意思とは関係なく、ステーキングの解除や資産の売却などの処分を行うことができると指摘した。

ステーキングサービスは他のステーキング事業者やサービスプロバイダーとの共同事業ではない。また、ステーキングの報酬はネットワークに提供される検証サービスに対する対価であり、投資に対するリターンではない。ゆえに「利益に対する合理的な期待」にはあたらないとした。

Grewal氏は、CSSは投資契約ではなく、他者に「面倒な作業を任せる」ことを可能にするソフトウェア・サービスであると統括している。

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不適切な証券法の適用がもたらすもの

ゲンスラー委員長の主張は、ステーキングサービス事業者が米国から撤退するような経済的インセンティブを生んでしまうとコインベースは指摘する。

まず、業界では、ステーキングサービス事業者がSECに登録する根拠がないとの見方が浸透している。その上、SECは、事業者が実際に登録しようとした場合、実行可能な改善手段を提示していない。

そのため、企業としては活動拠点として米国を離れたり、避けたりすることが、「不明瞭で不適切な規制責任による差し止めや金銭的な罰則の可能性に対する合理的な対応だ」とコインベースは主張する。

「1兆ドルを超え、4億2,000万人が参加する新興産業の重要インフラ」を国外に追放してしまうコストは、「ブロックチェーンのPoSコンセンサスの仕組みに、証券法を適用して得られる可能性のある利益」よりも「はるかに大きい」と意見書は強調している。

SECは、同機関の行動が、コストを上回る社会的利益をもたらすことを保証するという、議会と大統領が明示した基本的責任を忠実に守べきである。

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