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米コインベースの最高法務責任者、ステーキング問題でSECを牽制  法廷闘争も辞さない構え

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーキングサービスは証券ではない

米大手暗号資産(仮想通貨)コインベースのブライアン・アームストロングCEOは13日、同社の提供するステーキングサービスは証券ではないと改めて主張。米証券取引委員会(SEC)に対し、法廷で争うことも辞さない構えを見せた。

コインベースのステーキングサービスは証券ではない。必要とあらば法廷でこれを弁護する。

アームストロング氏はこのように述べ、SECによる米大手取引所クラーケンを起訴した事例のように、米国のステーキングサービス全体を規制強化する動きを牽制した。

SECは9日、クラーケンによるステーキングサービスの提供は、米国の証券法違反にあたるとして起訴。クラーケンが事前に登録することなく、投資契約に相当するステーキングサービスを提供したと主張。証券法に準じた投資家への情報開示を怠ったと指摘した。

これに対しクラーケンは、罰金や不正利得などを含めた約39億円(3,000万ドル)の支払いと米国におけるステーキングサービスの提供中止に合意し、すでにSECと和解に達している。

関連:米SEC「クラーケンの仮想通貨ステーキングサービスは証券法違反」

SECの起訴が発表される前日、アームストロング氏は、米国でステーキングが禁止される方向に進むならば、それは「愚かな道」であり、業界で団結する必要があると主張していた。

関連:米コインベースCEO「ステーキング禁止の噂が事実なら、米国は愚かな道に進んでいる」

ステーキング

ステーキングとは、一定量の仮想通貨を所定の期間、ネットワークに預け入れることで報酬が得られる仕組み。仮想通貨をロック(自由に動かせない状態)し、ブロック追加のデータ承認など、ネットワークの管理/維持に貢献する対価として、同じ通貨で報酬が提供される。

▶️仮想通貨用語集

コインベースの主張

コインベースのポール・グレウォル最高法務責任者は10日、コインベースが提供するステーキングサービスは証券に該当しないと主張。

公式ブログ上で、「ステーキングは米国証券法において証券ではなく、SECが投資契約が証券に当たるかどうかを判断するために用いるハウィーテストでも証券には該当しない」との考えを示し、その論拠としてステーキングがハウィーテストの4つの要素を満たしていないことを挙げた。

  • 金銭の投資
  • 共同事業
  • 利益に対する合理的な期待
  • 他者の努力

ハウィーテスト

ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。これ自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対して訴訟を起こした経緯がある。

▶️仮想通貨用語集

まず、定義を「特定の対価」に拡大したとしても「金銭の投資」にはあたらないとグレウォル氏は指摘。コインベースの顧客がステーキングを依頼する際には、別の対価を受け取るために仮想通貨を放棄しておらず、同量の仮想通貨の保有を継続していると説明した。

また、その所有権は顧客に属し、プロトコルに従ってステーキングを解除(アンステーク)する権利も有するとした。

次に、「ステーキングサービスは、資産が分散型ネットワークに預け入れられるため、ハウィーテストの共同事業の定義を満たさない。」「ステーキングするユーザーは、共同事業としてではなく、ブロックチェーン技術によって繋がり、そのコミュニティが取引を検証する。ステーキングの報酬は、コインベースではなくプロトコルが決定するため、ユーザーの利益はコインベースと結びつくものではない。したがって、判例法の共同事業の定義には合致しない」と結論付けた。

また、ステーキングの報酬はネットワークに提供される検証サービスに対する対価であり、投資に対するリターンではない。ゆえに「利益に対する合理的な期待」にはあたらないとグレウォル氏。報酬はプロトコルが決定するもので、誰がステーキングを行うかは関係ない。

顧客自身がステーキングを行う場合、専用コンピュータを用意し維持費等を負担しなくてはならないのに対し、取引所を介したステーキングを選択した場合は、作業代行サービスに対する手数料を支払うことが唯一の違いだと、同氏は説明した。

さらにステーキングの報酬はサービスプロバイダーによる「他者の努力」に基づいて支払われるものではない。プロトコルが報酬を受け取るバリデータとその額を管理しており、プロバイダーの提供するステーキングサービスは、顧客の受け取るステーキング報酬の「特筆すべき要因」として影響を与えるものではない。サービスプロバイダーが提供しているのは、投資サービスではなく検証というITサービスだとグレウォル氏は総括している。

イノベーションを阻害

グレウォル氏は、証券取引法の目的は「情報の不均衡を是正すること」だと指摘。ブロックチェーン上で繋がった参加者は、「同じ情報に平等にアクセス可能なユーザーコミュニティを通じて取引を検証できる」ため、ステーキングにおいては、情報の不均衡はないと述べている。

そして、ステーキングのようなプロセスに証券法を重ね合わせるSECの行為は、米国の消費者にとって有益でないばかりか、イノベーションを阻害するものだと批判した。

仮想通貨擁護派として知られるSECのヘスター・ピアース委員は9日の声明で、クラーケンのステーキングサービス停止を「投資家の勝利」とみなしたSECを非難。SECが事前にステーキングに関するガイダンスを設定しなかったのにもかかわらず、執行措置によって仮想通貨業界の規制を続けるSECの対応は、「効率的でも公正でもない」と同機関の姿勢を強く批判している。

関連:米SECのクラーケン起訴をどう見るか、イーサリアムステーキングへの影響を考察

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