仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)が前日比約-1.0%の下落となり、1BTC=91,712ドルで取引を終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)は12月11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を25ベーシスポイント(bps)引き下げ、目標範囲を4.25%~4.5%に設定した。
今年3回目の利下げは市場の予想通りだったが、ジェローム・パウエル議長の記者会見での発言が、ビットコイン市場に新たな懸念材料を投げかけている。
パウエル議長は会見で、「短期的にはインフレリスクが上振れ、雇用リスクが下振れに傾いている。困難な状況だ」と述べ、金融政策運営の難しさを強調した。 個人消費と企業投資は依然として堅調だが、インフレ率はFRBの目標2%を上回る水準が続き、住宅セクターの弱含みも指摘された。
また、「経済見通しに関する不確実性は依然として高い」との慎重姿勢を堅持しており、市場は今後の追加利下げペースに敏感に反応している。
こうしたFRBのスタンスを踏まえ、コインビューローの投資アナリスト、ニク・パックリン氏(Nic Puckrin)は、2026年中にFRBが1回の利下げしか実施しないと予想している。
CMEグループのFedWatchツールによると、2026年1月の次回FOMCでの利下げを織り込むトレーダーは約24%にとどまっており、市場の慎重ムードを反映している。 パックリン氏はさらに、「2026年初頭には流動性とFRBのバランスシート政策に注目が集まるが、量的緩和(QE)は事態が悪化するまで実施されないだろう」と指摘。それまでの期間はボラティリティの上昇と潜在的な下落リスクを伴う可能性が高いと警鐘を鳴らした。
オンチェーンデータ
グラスノードのオンチェーンデータによると、ビットコインは依然として10万ドル未満のレンジ内で推移しており、短期コスト基準(約102,700ドル)と市場平均(81,300ドル)の間で未実現損失が拡大している。
相対未実現損失(30日単純移動平均)は4.4%に上昇し、2年間続いた2%未満の低水準から脱却した。 また、実現損失は1日あたり約5億5,500万ドルに急増しており、この水準は2022年のFTX崩壊時と同等の高さだ。
ビットコインは11月下旬の安値(約85,000ドル)から92,700ドルまで反発したものの、調整後実現損失は上昇を続け、市場ストレスの高さを示唆している。
現物主導の上昇の持続性に疑問符
データ分析企業CryptoQuantの分析では、ビットコイン価格の上昇と未決済建玉(OI)の減少という乖離が続いており、今回のラリーがレバレッジ投機ではなく現物需要主導であることを示している。
BTC Price, OI Divergence Persists
— CryptoQuant.com (@cryptoquant_com) December 10, 2025
“Given that the market is structurally driven by derivatives, the current rally may struggle to sustain itself if expectations for a rate cut weaken heading into the FOMC meeting.” – By @MAC_D46035 pic.twitter.com/Gulw5nU92K
未決済建玉は10月以降の調整局面で減少傾向にあり、11月21日の底打ち後も価格が高値を更新する中でさらに低下した。CryptoQuantは、現物主導の上昇を健全と評価する一方、歴史的に持続的な強気トレンドにはレバレッジの増加が不可欠だと指摘している。
デリバティブ取引が市場構造の中心を占める中、現物ビットコインの取引量はデリバティブのわずか10%程度に過ぎず、来年にかけて米国の利下げ期待が後退すれば、この上昇の維持が難しくなる可能性が高い。
4年サイクル終焉の議論が加速
アーク・インベストのキャシー・ウッドCEOは、「ビットコインの半減期サイクルである“4年サイクル”は、もはや資産の長期的な動きを定義づけるものではなくなった」と断言している。 「機関投資家による本格採用が、ボラティリティから下落幅の深さまであらゆる側面を変革しつつある」と主張し、従来の極端な変動が緩和されるとの見方を示した。
スタンダード・チャータード銀行も今週、ETF流入により半減期の価格決定要因としての影響が減少したと指摘。アナリストのジェフリー・ケンドリック氏は、半減期後18カ月で価格ピークを迎える従来パターンはもはや有効ではないと主張。2025年の価格目標を20万ドルから10万ドルへ大幅に引き下げた。
ビットワイズのCIO、マット・ホーガン氏とCryptoQuantのキ・ヨンジュCEOも、機関投資家からの資金流入により従来のサイクルは事実上消滅したと指摘している。 一方で、アナリストらは過去のような極端な下落は起こりにくく、調整局面でも30%~50%程度の浅いものに留まる可能性が高いと見込んでいる。再び強気相場へ移行すれば、上昇は長期間にわたって持続する公算が大きい。
マクロアナリストのリン・アルデン氏は、ビットコインが2026年までに10万ドル水準を取り戻すと予想しているが、そこに至るまでの道のりは平坦ではないと慎重な見立てを示した。全体として、FOMC後の市場はFRBの慎重姿勢と機関投資の深化により、短期的なストレスと長期的な構造変化の狭間で揺れている。投資家は2026年の流動性動向に注視する必要があるだろう。
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