米株指数上昇でビットコイン反発、交錯する買い圧力と売り圧力
マクロ経済と金融市場
17日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比408ドル(1.2%)高、ナスダック指数は157ポイント(1.3%)高とともに反発して取引を終えた。
6月まで期日の迫った米債務上限問題を巡り、バイデン米大統領が「野党との合意に確信を持った。デフォルトは起きない」と発言。共和党のマッカーシー下院議長もこれに同調したことで、米国のデフォルト(債務不履行)懸念が大きく後退した。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.09%高の27,358ドルに。
アジア時間に弱含んでいたが米国時間にかけて反発。米主要株指数の反発に伴い連れ高した。17日には、リップル社に関する好材料でXRPが上昇する場面もあった。
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米SEC(証券取引委員会)は、ファイルコイン(FIL)に対して「連邦法に基づく、証券の定義を満たしている」と指摘。 投資信託「ファイルコイントラスト」の申請を行うグレースケールに対しては、「原資産が有価証券である」として、申請取り下げを求めた。
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ファイルコインは、「IPFS」と呼ばれる分散型ストレージプラットフォームのネイティブトークン。世界中のユーザーがデータを安全かつ効率的に保存し、取引可能にすることを目指している。
グレースケールは今年4月、投資信託に関する新規銘柄取扱いのため、SECのフォーム10申請(Form 10 Application)を提出していた。Form 10では、上場企業のように四半期報告書を提出する義務が生じる。
ビットコインの買い圧力
テザー社は17日、月間の正味実現営業利益の内、最大15%をビットコイン購入に割り当てることを発表した。
正味実現営業利益は企業の営業活動から得られる利益のうち、税金、金利、為替損失、減価償却費などの営業外費用を差し引いた分を指す。ビットコインの希少性と価値保存手段としての役割を評価し、準備資産の多様化につなげる考え。
23年3月末時点のビットコイン保有量は約15億ドル(2,000億円)。
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テザー社が発行するUSDTは米ドル連動型の代表的なステーブルコインであり、ステーブルコインの中でも最大のシェアを誇る。
資産売却と売り圧力
昨年7月に破産申請したボイジャー・デジタルについて、無担保債権者公式委員会は17日、債務者への返済計画が今後数週間以内に発効すると発表した。破産裁判所がボイジャーの清算手続きを承認した。
ボイジャー・デジタルは、アルゴリズム型ステーブルコインUST(TerraUSD)の崩壊およびテラ(LUNA)ショックの影響で、ベンチャーキャピタル「Three Arrows Capital(3AC)」らと連鎖倒産する事態に陥った。
昨年7月以降、FTXやBinance.USによるボイジャーの救済・買収プロセスも進んでいたが、FTXの破綻や米規制当局との兼ね合いなど紆余曲折を経て、計画はともに頓挫した経緯がある。
ロイターの報道によれば、ボイジャーの顧客(債権者)は今回の清算手続きで預け入れていた仮想通貨(未払い債務)の約35%を受け取ることになる。ボイジャーには総額13億3000万ドルを返還許可が与えられた。
FTXとの訴訟の行方次第では、ボイジャーの顧客は最大63.7%の資金回収目処が立つ見込み。
同時期に破綻した融資企業Celsius Networkも債権者への返済のため、債務整理及び資産売却を進める手続きに入った。
ボイジャーやセルシウスの資産は順次売却され、破産法に基づき労働者への未払い賃金や社会保険料など優先債権に割り当てた後、一般債権者への債務返済が行われるとみられる。
セルシウスは、最大手リキッドステーキングプラットフォーム「Lido」のイーサリアム出金機能実装に伴い、Lido Staked ETH(stETH)の引き出しを行なっており、資産売却の過程において、市場で短期的な売り圧力が生じる可能性もある。
セルシウスは、債務整理の一環で4月22日からオークションを行なっており、ファーレンハイト・ホールディングスなどの企業が入札した。セルシウスの顧問弁護士によれば、最終入札額はデジタル資産投資会社NovaWulf LLCによる初期入札よりも“数億ドル”高くなったといい、関心の高さを示している。
ファーレンハイトは、セルシウスの資産入札のため、中堅企業向けプライベートエクイティを行う投資会社アーリントン・キャピタルなど複数の企業が今年4月に設立したコンソーシアムだ。破産企業の資産獲得およびリスク分散が目的にある。
セルシウスは、事業再生計画の一環として融資事業の一部とビットコインマイニング事業を継続する方法を模索している。
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