底堅く推移するビットコイン、SWELL控え大幅続伸のXRPは100円台を回復

マクロ経済と金融市場

前週末3日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比222.2ドル(0.66%)高、ナスダック指数は184ポイント(1.38%)高で取引を終えた。

先週金曜日に発表された米雇用統計結果が市場予想平均を下回ったことを受け、長期金利が低下。追加利上げ(金融引き締め)に対する警戒感が後退した。

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仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比0.88%安の1BTC=34,877ドルと底堅く推移した。

BTC/USD週足

資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、過去1週間で3億2,600万ドルの流入があり、週間では2022年7月以来最大となった。

アルトコインでは、ソラナ(SOL)の金融商品に対し2,400万ドルの流入が見られた。

DeFi(分散型金融)の出来高が急増したほか、DeFiプロトコルへの預け入れ総額を示す「Total Value Locked(TVL)」の回復にも言及されている。

一方で、米連邦公開市場委員会(FOMC)による金融引き締めの長期化に伴い、株式市場への懐疑論は強まりつつある。

米大手仮想通貨ファンド パンテラ・キャピタルの創設者であるダン・モアヘッド氏は、「米主要株価指数のS&P 500は過大評価されており、20%以上下落する可能性がある」と指摘した。

同氏は、米長期金利が1.34%台だった約2年前、10年債利回りおよびフェデラル・ファンド金利は5.00%水準に達するだろうと予想し、その後現実となった。

モアヘッド氏は「伝統金融市場の投資家の多くは、確実なキャッシュフローを生み出す国債よりも株式を保有することを正当化するため、株式の“リスクプレミアム”を求めてきた」と指摘。「実際に株式は過去12年間に渡って比較的割安な水準にあり、株式収益利回りは債券利回りを4.00%以上上回ることが多かった」としている。

しかし、昨今の金融市場では様相が異なる。モアヘッド氏の見解によれば「債券の10年国債利回りが異例の水準となる5.00%まで急上昇する中、株式収益利回りが国債との平均スプレッドを維持するよう調整された場合、S&P 500は-23%の下落余地があり得る」と言う。

より厳しいシナリオでは、「株式のリスクプレミアム平均が債券利回りを+2.25%上回る形に株式市場が調整した場合、株価は最大-43%下落する可能性もある」としている。

FRB(米連邦準備制度)による利上げの長期化は、株式・債券・不動産市場にとって重石となる一方、株式市場の低迷が続けば暗号資産(仮想通貨)市場がアウトパフォームする可能性が高いとした。機関投資家によるブロックチェーン業界へのエクスポージャーが数パーセント拡大するとの見立てが根拠にある。

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XRP上昇

個別銘柄ではXRPが前日比9.3%高(前週比17.3%高)となり、今年8月以来初めて円建てで100円台(約0.68ドル)を上回った。

XRP/USD週足

移動平均線が上向く中、年初の安値0.3ドルから下値を切り上げ保ち合いを上放れする形で週足陽線を付けており、続伸あれば年初来高値の0.94ドル水準が見えてくる。一方、SWELLを巡るセルザファクトへの警戒感も台頭している。

リップル社は2日、ドバイ金融サービス機構(DFSA)から暗号資産(仮想通貨)XRPの承認を受けたことを発表した。ドバイの経済特区内には4,000社以上の企業が存在するとされる。

また、3日にはジョージア国立銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロットプロジェクト推進のため、リップル社を技術パートナーに選定したことがわかった。

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対SEC裁判における前向きな進展もXRPを後押ししている。2021年の強気相場では、ビットコイン(BTC)だけでなくイーサリアム(ETH)を含む主要アルトが軒並み過去最高値を大きく更新する中、係争状態にあったXRPは大きく出遅れていた。

XRPを開発する米リップル社は20年12月、米SEC(証券取引委員会)から未登録有価証券の販売をめぐり提訴されていたが、23年7月に米ニューヨーク連邦地裁のトーレス判事によxって、個人向けに販売されるXRPは「有価証券には該当しない」との判決が初めて下された。

一方、Ripple社による機関投資家に対するXRPの販売方法については、「有価証券法に違反している」とするSEC側の主張も認めた。

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SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は、かねてより「ビットコイン以外の仮想通貨はすべてSECの管轄下にある“証券”である」との主張を繰り返してきたが、ここ最近の裁判では劣勢に立たされている。

10月3日にロイターが報じたところによれば、アナリサ・トーレス連邦判事がSECの中間控訴の申し立てを証拠不十分で棄却したほか、10月19日にはSECがリップル社のブラッドリー・ガーリングハウスCEOと元幹部クリスチャン・ラーセン氏に対する告発の棄却に関する申し出を行ったことが明らかとなった。

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最終的にリップル社の完全勝訴となれば、強硬的な執行措置を実行してきたSECの越権行為とも指摘される米国における仮想通貨規制ついて、重要かつ広範囲にわたる前例となる可能性が高い。

なお、リップル社が主催する年次カンファレンス「Swell」が11月8日からドバイで開催予定となっており、思惑買いが後押しした可能性も考えられる。

Swell 2023のアジェンダには、ドバイにおける暗号資産政策のほか、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、実物資産のトークン化技術など、ブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)の未来を議論するトピックが多数盛り込まれた。

詳しくは下記の記事で解説している。

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