ビットコインキャッシュ(BCH)とは
ビットコインキャッシュ(BCH)は2017年にビットコインとのハードフォークで誕生した仮想通貨(暗号資産)。ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するためにハードフォークが実施され誕生した。ビットコインと比べて1個あたりのブロック容量が8倍の8MBに拡張、現在はアップデートで32MBになっている。ブロック容量が拡張されることで送金コストのインフレや送金詰まりなどのスケーラビリティ問題を解決している。
コンセンサスアルゴリズムはビットコインと同じプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用。マイニング難易度調整システム「EDA(Emergency Difficulty Adjustment)」を採用することで取引を安定化させる設計がされている。
価格
- 現在価格(2024年12月4日時点):580ドル(約8.7万円)
- 年初来高値(2024年4月):714ドル(約10.8万円)
- 年初来騰落率(YTD):+149.39%
- 過去最高値(2021年11月):4,160ドル(約63万円)
価格予測
23年6月:ビットコイン底堅く推移、急動意のビットコインキャッシュは前月比2倍以上に
時価総額|関連銘柄
ビットコインキャッシュ(BCH)の時価総額は2024年12月時点で約110億ドル、「プルーフ・オブ・ワーク(PoF)」セクターの中では3位に位置する。同セクターで1位のビットコイン(BTC)の時価総額は約1.9兆ドル。2位のドージコイン(DOGE)の時価総額は約620億ドル。BTC以降は、ライトコイン(LTC):約10億ドルが追従する。
主な出来事
- 2020年4月:仮想通貨ビットコインキャッシュ、初の半減期を完了
- 2020年8月:ビットコインキャッシュとライトコインの仮想通貨投資信託、米証券預託機関が認可=グレースケール
- 2020年11月:ビットコインキャッシュ、ハードフォーク完了
- 2022年11月:セントキッツ・ネイビス連邦、ビットコインキャッシュの法定通貨化とマイニングを検討
- 2024年4月:仮想通貨ビットコインキャッシュ、2度目の半減期完了
エコシステム支援組織
ビットコインキャッシュは完全に分散化されており、主導する財団や管理組織がない。その代わりにコミュニティメンバーがエコシステムに貢献している。
現在、ビットコインキャッシュには6つの独立したフルノードプロトコル開発チームがある。
- ビットコインキャッシュノード(BCHN)
ビットコインキャッシュのマイナー向けに高度に設計されたマイニングノードを提供 - ビットコインアンリミテッド(bitcoinunlimited)
ノードオペレーターやマイナー向けにツールを提供 - BCHD
フルノードの実装 - ビットコインヴェルデ(BITCOIN VERDE)
フルノード実装、ブロックエクスプローラー、開発ライブラリの提供 - クヌース(Knuth)
開発プラットフォームの提供 - Flowee
ビットコインキャッシュ用のアプリケーション、Webサービス、プログラミングインターフェースの提供
ビットコインABC: ビットコインキャッシュの初期開発チーム。現在も開発に貢献している。2018年にビットコインキャッシュがビットコインABCとビットコインSVに分裂した過去がある。その際にビットコインキャッシュを引き継いだのがビットコインABC。ビットコインSVは別の通貨となっている。
トークンアロケーション
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出典: CoinMarketCap
クジラとはトークンの大口保有者を指す言葉でここでは循環供給量の1%以上を保有するウォレットアドレスのことを指す。
ビットコインキャッシュのクジラ保有率は16.71%でビットコインの1.25%と比較して非常に高くなっている。例えば、クジラが大量のトークンを売却した場合に供給過多で価格が急落する可能性があり、逆にクジラが大量にトークンを購入すれば需要が増加し価格が急騰する可能性がある。このようにクジラの動向は市場に大きな影響を与えるため、ビットコインキャッシュではクジラの動向に注目する必要がある。
Trading Viewによるとビットコインキャッシュの最大供給量は2100万枚でビットコインと同じ。総供給量は1980万枚で最大供給量の約94%となっている。
ビットコインキャッシュの将来性
ロードマップ
ビットコインキャッシュではプロジェクトが完全に分散化されており、公式に公表されているロードマップがない。その代わり、プロトコルのアップグレードのためにCHIPプロセスが導入されている。
CHIPプロセスとは、誰でもネットワークのアップグレードを提案することができるシステム。ネットワークのアップグレードは毎年5月に実施されていて、Cash Improvement Proposals(CHIP)フレームワークを通じて合意を得る必要がある。
期待される今後の動向
決済手段
ビットコインキャッシュを決済手段として採用するケースが増加している。現在、楽天の楽天ウォレットやPayPalなどの決済サービスで採用され、今後も他の決済サービスで決済手段として採用されるようになると流動性の向上が期待できる。
ビットコインキャッシュを法定通貨にしようとする動きもある。2022年11月にカリブ諸国のセントキッツ・ネイビス連邦のテレンス・ドリュー首相がビットコインキャッシュを法定通貨として採用する方針を表明した。
ドリュー首相はビットコインキャッシュなどの仮想通貨を法定通貨とするメリットを説明、革新的な投資家と近代産業を誘致し、経済の長期的な拡大と多様化に繋がると考えている。
国が仮想通貨を法定通貨化する動きは活発で、エルサルバドルではビットコインが法定通貨に指定されている。今後はビットコインキャッシュでも法定通貨として採用されるケースが増えれば、価格が向上することが期待される。
関連記事: セントキッツ・ネイビス連邦、ビットコインキャッシュの法定通貨化とマイニングを検討
半減期
ビットコインキャッシュはビットコインと同様に210,000ブロック毎に半減期が設けられている。
半減期とはマイニング報酬を半分にし、価格の安定化やインフレの抑制を目指すイベント。マイニング報酬が半分になることで供給量が制限され、仮想通貨の希少性を高めることができる。よって、半減期の影響で通貨の価値が高騰するケースが多い。
ビットコインキャッシュでは2020年と2024年の2度半減期を経験し、2024年4月4日の半減期では当日に前日比+12%を記録している。次回の半減期でも価格に大きな動きがあることが予想され、動向が注目される。
関連記事: 仮想通貨ビットコインキャッシュ、2度目の半減期完了
投資リスク、懸念材料
ビットコインキャッシュは2017年にビットコインのハードフォークから誕生したブロックチェーンであるため、技術体系がビットコインと非常に類似している。ブロックチェーン技術が急速に発展している仮想通貨業界で競争で生き残るためにも技術的なアップグレードが今後は必要となる可能性がある。ビットコインキャッシュでは現在もネットワークのアップグレードが継続して実施されているため今後の展開が注目される。