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チャンスはほぼゼロか
イギリス人ジェームズ・ハウエルズ氏による約993億円相当のビットコイン紛失事件は、埋立地へのアクセス許可を求める法的闘争が続いているものの、英国廃棄物管理の専門家は失われたハードドライブ(HDD)の回収可能性についてほぼゼロであると断言した。The Blockが取材内容として報じた。
ニューポート在住のコンピュータエンジニアであるハウエルズ氏は、2013年に元パートナーが誤って7,500ビットコイン(現在約993億円相当)を含むハードドライブを誤って捨ててしまったと確信しており、地元の埋立地へのアクセス許可または約910億円の損害賠償を求めて法的措置を講じた。しかし今年1月、アンドリュー・ジョン・キーザー判事は時間経過を理由に訴えを却下した。
ハウエルズ氏は複数の投資家と提携し、ニューポート・ドックスウェイ埋立地の買収にも関心を示している。また、キーザー判事の決定に対する上訴の意向も表明した。一方で埋立地は2025-2026年度に閉鎖予定であり、ニューポート市議会はすでに土地の一部を太陽光発電所に転換する計画許可を取得している。
英国廃棄物管理会社ビジネス・ウェイストによれば、ハウエルズ氏が140万トンの廃棄物から目的のハードドライブを見つける確率は9億200万分の1(約0.000082000011%)と試算された。「毎年英国では約1,310万トンの廃棄物が埋立地に送られており、ハードドライブ一台が700グラムとすると、年間で8,200万台分のハードドライブに相当する重量の廃棄物が処理されている。まさに干し草の山から針を探すようなものだ」と同社の廃棄物管理専門家マーク・ホール氏は述べた。
さらに、仮にハードドライブが発見されたとしても、データ回収の可能性はほぼゼロだという。「ハードドライブは長年にわたり有害な浸出液や熱にさらされ、圧縮もされているため、回収可能な状態であるとは考えられない」とホール氏は説明した。また埋立地の探索自体も、有毒ガス、爆発リスク、アスベスト(石綿)などの有害物質、バクテリアなど多くの危険を伴うと警告している。
これに対しハウエルズ氏は「データが回収不可能だという考えを強く否定する」と反論し、AIを活用した物体検出システムや専門的な発掘パートナーとともに回収を目指す意向を示した。同氏によれば、2009年のビットコインウォレットファイルは32KBにすぎず、秘密鍵は3-4KB程度で一つのセクターに保存されている可能性が高いため、回収の見込みは廃棄物専門家が考えるより高いという。
ハウエルズ氏は「9億200万分の1という確率は何の根拠もない数字だ」と主張。同氏は上訴を継続し、必要であれば最高裁まで訴えを続ける意向を示している。様々な選択肢が失敗した場合、仮想通貨コミュニティの支援を求めるユーティリティトークンやNFTの発行も検討しているという。一方、ニューポート市議会は本件へのコメントを控えている。