マクロ経済と金融市場
29日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比269ドル(0.8%)高、ナスダック指数は0.42ポイント安で取引を終えた。
FRBの銀行ストレステスト(健全性審査)の結果、対象となった一定以上の規模を有する23行すべてが「良好」を示し、銀行株が買われた。今春には、米シリコンバレー銀行などの銀行破綻が相次ぎ信用不安が拡大するなど、FRB(米連邦準備制度)の金融引き締めの副作用によって地銀および中小銀行の財務基盤悪化が取り沙汰され、金融システム不安が広がっていた。
ストレステストは、米国の銀行に対して定期的に実施される厳格な評価プロセスのこと。リセッション(景気後退)懸念が強まる中、景気後退や金利上昇などを想定した不況時においても、銀行のバランスシートやリスクポジションへの影響や規制上定められた自己資本比率を維持できるかどうかをチェックする。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比0.06%高の1BTC=30,382ドルに。
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直近高値圏で推移するも主要レジスタンスライン(上値抵抗線)を前に上値を重くしており、急騰後ということもあり調整不足を指摘する声も少なくない。
ただ、昨年末のFTX破綻やバイナンス・コインベース提訴など目先の悪材料が出尽くし相場が大きく冷え込んだ後、最大手資産運用会社ブラックロックのビットコインETF(上場投資信託)申請が報じられると需給好転した経緯がある。
満を持してブラックロックが申請したからには勝算があり、米SEC(証券取引委員会)に全て否決されてきた「現物版ビットコインETF」の承認確率は「過去最も高い」との見方が大勢を占めることからも下値は底堅いか。
米金融大手フィデリティなど他金融機関からのビットコインETF再申請も相次いでいるほか、2024年には四年に一度のビットコイン半減期が予定されており、デジタル金融資産としての希少性はますます高まることになる。
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前日には上場企業マイクロストラテジーのビットコイン買い増しも確認されるなど、ビットコイン支持派は強気姿勢を貫いている。
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アルトコイン市場
個別銘柄では、17年8月にビットコインのハードフォークで誕生したビットコインキャッシュ(BCH)が前日比14.7%高と続伸。前月比では132%高と2倍以上に高騰した。
1年以上低迷した底値圏のレンジをブレイクアウトすると、騰勢を一層強めた。
BCHが動意付いた21日は、シタデル・セキュリティーズ、フィデリティ・デジタル、チャールズ・シュワブ、セコイア・キャピタルなどの大手金融機関の支援を受けローンチした米EDX Marketsの上場日と重なっており、材料視されたものと見られる。
米SEC(証券取引委員会)が合意形成アルゴリズムがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)系の主要アルトコインの大半をターゲットに規制圧力を強める中、唯一コモディティとして分類されるビットコイン同様、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)によって承認されるブロックチェーンであることも規制リスク面での信頼性を高めたか。
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これに伴い、SNS上でBCHについて議論されるソーシャルディスカッション率は、過去3年間で最高を記録した。
📈 With the assistance of #EDXMarkets, launched on June 20th, #BitcoinCash has been the biggest beneficiary with a massive +79% price gain in 4 days. Notably, $BCH has seen a 3-year high in social discussion rates, & volume has easily eclipsed 2023 highs. https://t.co/6fz4RL28tH pic.twitter.com/MNn59zRy8T
— Santiment (@santimentfeed) June 24, 2023
先物市場では、BCHのショートポジションのロスカット(強制清算)が確認されており、ショートカバーも上昇を後押しした。
Andrew Kang氏によれば、BCHの市場供給量以上のショートポジションが蓄積されており、流動性が低く買い戻しが困難にあることも背景にある。
People are shorting more BCH than there is liquid supply of it. It’s highly illiquid since most of the supply is dead
— Andrew Kang (@Rewkang) June 30, 2023
Imagine fading the original cartel pic.twitter.com/ZXre32rjdT
2017年のビットコインキャッシュ誕生時には、ハッシュレートの大半を占めていた中国マイナー(採掘者)が主導したとの見方があり、2023年6月の香港市場の取引解禁を巡る思惑も追い風となっている可能性がある。
2018年11月には、主要マイナー間の方針の違いから大規模なハッシュ戦争および敵対的ハードフォークが発生。BCH(Bitcoin ABC)とBSV(ビットコインSV)に分岐するなど混迷を深めた時期もあった。
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また、Wu Blockchainの指摘によれば、韓国最大手暗号資産(仮想通貨)取引所Upbitにおいて、韓国の法定通貨ウォン建「BCH/KRW」の取引高が3億5,000万ドルを上回った。これは、BCHの総取引高の23.58%を占めており、BCHの上昇の背景に韓国勢の影響が強まっていることを示唆する。
South Korea may be the reason for the BCH PUMP. In the past 24h, the largest exchange in South Korea, Upbit, has recorded a trading volume of over $350 million for the BCH/KRW, contributing to 23.58% of the total trading volume for BCH. It is also the 3x the trading volume of the…
— Wu Blockchain (@WuBlockchain) June 30, 2023
なお、同じくEDX Marketsに上場したライトコイン(LTC)は、前日比1.8%高、前月比6.1%安と冴えない。他の銘柄を確認すると、ビットコインは前月比11.8%高、イーサリアムは1.29%安となっており、ビットコインキャッシュ(BCH)だけが独歩高の様相を呈している。
一方、半減期まで約2ヶ月に迫るライトコインは、ハッシュレート(採掘速度)が過去最高値を更新した。
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