イタリアの全銀行がCordaアプリを導入予定(一部銀行は導入済み)

今回の記事は、「SBI R3 Japan」が公開しているMediumから転載したものです。

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Spuntaプロジェクト

SpuntaはABI(The Italian Banking Association)が主導して取り組んでいる業務改善プロジェクトである。ABIは日本で言うところの「全銀協」に当たる組織であり、既に本番運用しているアプリケーションはイタリア国内の銀行間決済におけるミスマッチの解消を目的としている。NTTデータのイタリア子会社がCorda Enterpriseをベースとしてアプリケーションの設計・開発を手掛けている。2020年3月に商用リリースされ、2020年4月時点で32行の銀行に導入済みである。2020年末までにイタリアの全銀行200行への導入を予定している。

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リコンサイル作業の効率化

イタリアには日本の全銀ネットのような仕組みが無かったため、銀行ごとに独自のデータフォーマットと業務フローで取引を処理し、記帳を管理していた。さらに、銀行間のコミュニケーションは電話や電子メールが主流であった。このように非効率なマニュアル作業であったため、作業負荷が大きいだけでなく、決済情報の不一致を検出できないリスクが非常に高かった。

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Why Corda

この課題は昔から存在しており、従来のデータベース型システムによるソリューションも検討したが、今回はブロックチェーンが採用された。理由は特定のデータベースに情報を集約しなくとも、銀行同士で取引ごとに情報を共有できるからである。これにより、決済情報の不一致を効率的に検出できるようになり、オペレーション・リスクを低減させることに成功している。なかでもCordaは同じネットワークであっても、取引に関係する銀行しかデータが共有されない仕組みなので、プライバシーの面で優れている。

特定のデータベースに依存せずにインフラを運用することは画期的であり、ブロックチェーン技術が登場する前まではなかなか無かった発想である。Cordaは企業間取引でのブロックチェーン技術の実装を可能とする基盤であり、金融における業務要件を満たすものとして開発されたので、今回のSpuntaプロジェクトでも採用された。パフォーマンスについても商用リリース前にテストを実施済みであり、32ノードが2億件のトランザクションを処理した。これはイタリア全銀行の年間取引量と同程度である。

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今後の計画

今後は決済情報の不一致の検出だけでなく、シンジケートローンの業務効率化や本人確認情報の銀行間連携などもSpuntaプロジェクトの中で実現を目指すことになっている。Cordaをはじめとするブロックチェーンの実運用が当たり前となりつつある。

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(記事作成:SBI R3 Japan/Takeshi Yagishita)

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