米SECリップル訴訟でXRP暴落、ビットコインは一時2万4千ドル台回復へ
仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
米議会で20日、新型コロナ感染拡大の経済対策について、史上2番目の規模となる9000億ドル(約93兆円)の拠出に与野党が合意した。国民1人あたり600ドル(約6万2千円)の特別給付金、週300ドルの失業保険の上乗せ、中小企業支援金などが盛り込まれた。
米国では今年4月、米国民に対し1200ドルの特別給付金が配布され、米コインベースやバイナンスなどの大手仮想通貨取引所で、給付額と同じ「1200ドル(12.4万円)」の入金額急増が観測された。
各国の景気刺激策(給付金)の一部は、若年層を中心に米最大手投資アプリ「ロビンフッド」などを介したテスラ株などの購入や、ビットコインなど仮想通貨市場へと流入し、相場を押し上げたとされる。
4月中旬のBTC価格は、およそ7,000ドル(73万円)だった。12月現在のBTC価格は24,000ドル(247万円)と、3倍以上に高騰していることから、当時1200ドルをビットコイン投資に充てそのまま保有し続けた場合、すでに4200ドル(43.5万円)以上の価値を持つ。30万円以上の含み益を得ている計算だ。
国内では今年10月、自民党有志グループ(経世済民政策研究会)が菅政権に対し、国民への「一律5万円」の追加給付案などを盛り込んだ、40兆円規模の追加経済対策を求める要望書を提出した。
三菱総合研究所の調査によると、前回の「特別定額給付金」の経済効果は3.5兆円程度で、日本のGDPを0.7%ポイント程度押し上げた。給付金の6割程度が貯蓄に回り、3割程度が消費に回ったとされる。
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ビットコイン動向
23日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン(BTC)価格は、前日比3.4%高の245万円(23,630ドル)に。
2000ドル幅の急落後に迎えた22日相場は、下値支持線の22400ドルで下げ止まると大幅反発。直近の値動きで下目線強まるなか、ショートカバーを引き起こしながら一時24,000ドル台を回復した。
直近高値ではまとまった売りも観測されており、その後約300ドル下落している。
XRP(リップル)大幅下落
ビットコインやイーサリアムが反発する一方、22,23日にかけてXRP(リップル)は大幅続落。前日比15%安の42円台まで売られた。上位足チャートも崩れ、厳しい情勢だ。
XRP保有者に対するSparkトークンに関する思惑やビットコイン高騰の余波で11月下旬に大きく上昇したXRPであるが、権利確定日を過ぎた12日以降、急騰の反動と材料出尽くしで売り優勢に傾いていた。
大幅下落した背景には、21日のビットコイン暴落に連れ安したことに加え、米証券取引委員会(SEC)の動向がある。SECは23日、米リップル社及びGarlinghouse CEO、共同創設者のChris Larsen氏を相手取り、有価証券問題に関する提訴に踏み切った。
SECは、米国に有価証券登録を行っていない暗号資産「XRP(リップル)」を2013年から7年間に渡って販売し、1300億円を超える資金調達を行った、と指摘しており、米国内の仮想通貨取引所の取り扱い方針などに影響が生じるおそれもある。
一方、米国証券法に基づくXRPのステータスは、すでに数年前から議論の的となっており、元商品先物取引委員会(CFTC)の会長は、XRPは証券ではなく「通貨または交換手段と見なされるべき」との見解を示すなど、有識者の見方も割れていた。
楽観視する意見がある一方、先行き不透明感を警戒する売りが出た。今後の落としどころについて、市場が注視している。
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