世界的ヘッジファンドMan GroupのCEO、企業のビットコイン購入のメリットを疑問視
「ビットコインは長期保有よりも投機に使うもの」
約8.4兆円の資産を運用する世界的ヘッジファンドMan GroupのCEO、Luke Ellis氏が、企業が財務資産として暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を購入することに、懐疑的な見方を示した。
米CNBCの番組に出演したEllis氏は、個人としてビットコインに投資していることを認めた。しかし、トレードし長期保有を行っているわけではないと指摘。ビットコインはトレーディングできる資産の一つで、それにより市場に流動性が高まるものだという。
これを受けて、キャスターは「企業のビットコイン購入が続いているのはどういう理由か」とEllis氏に質問した。テスラ社、マイクロストラテジー社などビットコインを保有する企業が相次いでいることを背景としている。
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Ellis氏は、企業がバランスシートにビットコインを保持する必要性はなく「財務資産で投機を行うべきではない」と見解を述べた。
企業は本業のビジネス面を追求すべきだとも続け、例えば、顧客が商品やサービスの対価をビットコインで支払えるようにすることは選択肢となるが、企業自体のバランスシートにビットコインを追加する必要はないと説明。Ellis氏は、あくまでもビットコインは投機のための資産であり、価値保存の手段ではないとみなしているようだ。
一方、「中央銀行のマネー印刷による不利益をヘッジするため」、「自社の準備資産戦略の一環だ」などを理由に、大手資産運用会社Stone Ridge Holdings Groupが昨年10月に、100億円相当のビットコインを購入したという投資企業の事例もある。
「長期保有」を戦略とするマイクロストラテジー社
マイクロストラテジー社は3月12日に、1,500万ドル(16億円)相当のビットコインを追加購入したことを発表。マイクロストラテジー社は、ビジネス向けに情報分析ソフトウェアを提供することなどを本業としている。
2月には「ビットコインについての指標やインサイトを備えた分析プラットフォーム」を構築するための求人募集を行った。これからは事業面でも仮想通貨に参入する計画があることを窺わせる。
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また、テスラのほうはビットコインをテスラの自動車購入の支払い手段として検討する姿勢を見せるなど、単なる保有には留まらないようだ。
ビットコイン保有のリスクも念頭に
マイクロストラテジー社が、2月に規制当局に提出した書類によれば、同社はビットコイン保有のリスクについても把握した上で購入を行っている格好だ。
同社はビットコインのもたらすリスクとして「規制や市場、技術的要因によってビットコイン価格が変動し、当社株式に大きな影響を与える可能性」を挙げている。
また「ビットコイン保有により規制当局の検査対象となる可能性」、「現金や現金同等物よりもビットコインは流動性が低い」といった点、さらに「サイバー攻撃や秘密鍵紛失などによりビットコインの一部またはすべてを失う可能性」があることにも触れた。
こうしたリスクについて明記しつつ、ビットコインの取得と保持を、事業戦略の一つとしている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します