金融大手シティ、MakerDAOとDeFiをファンドマネージャーに説明
MakerDAOとDeFiを説明
金融最大手シティ(Citi)グループが、ファンドマネージャー向けに作成したレポートの中で、ステーブルコイン「Dai」のプロジェクト「MakerDAO」の概要と、DeFi(分散型金融)のメリットと課題を説明したことが分かった。
レポートの情報を入手した分析企業Messariのリサーチャーらが内容を公開。世界的な大手金融企業が分散型の金融システムに言及したことで注目を集めている。
本レポートは「お金の未来」というタイトルで、2021年4月版だ。ビットコイン(BTC)やステーブルコイン「ディエム(旧リブラ)」、中国の「デジタル人民元(DECP)」など、暗号資産(仮想通貨)や中銀デジタル通貨(CBDC)に幅広く触れる中で、MakerDAOやDeFiについても説明した。
MakerDAOについては、おおまかな仕組みを解説。「分散型の銀行」とMakerDAOを呼び、「イーサリアム(ETH)ネットワーク上で最も早くから稼働しているプロジェクトで、高度なシステムだ」としている。仕組みについては、イーサリアムなどの資産を担保にDaiが発行されることや担保資産が清算されるケースなどを紹介した。
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その上で、まずはDeFiのメリットを説明。「オープンな金融システムはイノベーションや競争を促す」、「相互運用性があり、他のプラットフォームとシームレスに資産が動かせる」としたのに加え、以下の5点をメリットに挙げた。
- プログラムが可能な金融システムであること
- 透明性が高いこと
- パーミッションレスで誰でもアクセスできること
- 中央集権的なカストディアンがいないこと
- 仲介者が不要なこと
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DeFiの課題
DeFiの課題については、最も大きなものとして「規制」を挙げている。匿名性が高いために米国の銀行秘密保護法などの重要な法律を適用することができないと指摘。分散型の性質上、不正に対する責任を持つ明確な主体が存在しないとも説明している。他に列挙している課題は以下の5点だ。
- システムが複雑なこと
- 従来の金融システムに比べ、ユーザーが使いにくいこと
- まだ流動性が低いこと
- コードの問題など技術面でのリスクがあること
- 既存の金融システムとの相互運用性が低いことが普及を妨げている
その上で、以下のように主張した。
従来の金融サービスはマーケットを理解し、何年もかけて信用や評判を獲得してきた。
DeFiのプロジェクトには、まだこのような企業の経験が欠けている。技術的なリスクだけでなく、市場が発展できるかという課題がある。
このレポートの内容を受け、分散型取引所(DEX)「Uniswap」の開発者Hayden Adams氏は、「3年前はDeFiまだ存在していなかった。でも今はビットコインよりもはるかに速く普及が進んでいる」と主張。
そして「現在の金融システムは不公平で、時代遅れだ。たいていはサービスが断続的である。現在の金融システムの問題をDeFiは解決していく」と自信を見せた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します