ビットコインなど仮想通貨暴落で市場心理は過去ワースト水準、クジラの動きが活性化
ビットコイン相場
19日の仮想通貨市場では、ビットコイン(BTC)が30,200ドルまで暴落した。過去最高値の約65,000ドルから-55%下落した計算だ。
仮想通貨の全体時価総額からわずか1週間で約9000億ドルが蒸発しており、bybitのデータによると、先物市場では過去24時間で90億ドル以上のポジションが強制ロスカットされ、対象者は85万ユーザーに及んだ。
専門家によれば、オフショアのデリバティブトレーダーは40,000ドル台でショートガンマのポジション(ヘッジショート)を取っており、このことがセルオフを加速させた。ここ最近の相場で影響力の強まっていたオプション市場の影響については、QCP Capital(@QCPCapital)も17日9時時点で警鐘を鳴らしている。
大幅下落の背景としては、米国を筆頭に伝統金融市場がリスクオフに傾く中、13日テスラ社のビットコイン決済停止ニュースが報じられ、仮想通貨市場が動揺したことにある。さらに、各国の規制面にて①中国による金融機関等の仮想通貨扱い禁止、②米通貨監督庁による仮想通貨関連の政策方針見直し③主要マイニング地域のモンゴル自治区における仮想通貨マイニング事業の逆風など、大手メディアでネガティブ材料が相次いで報じられたこともセンチメントを悪化させた。
オンチェーンデータ分析サイトGlassnodeによると、仮想通貨取引所へのインフローとアウトフローの差分である「純流入」は、32,274BTCに達した。20年3月に発生した金融市場の暴落劇であるコロナ・ショックに匹敵する規模だ。
これは、長期保有を見据えたコールドウォレット及びカストディサービスから仮想通貨取引所への資金移動を示しており、損益分岐点割れや市況悪化を嫌気した大口投資家(クジラ)が売り急いでいることが示唆される。
データ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOが指摘する「Exchange Inflow Mean(MA7)」によれば、過去24時間における全仮想通貨取引所への平均入金額は「3.46BTC」に達するなど、依然として高い水準にある。逃げ遅れた大口もいるものと見られ、このまま売り圧が収まらなければ二番底を探りに行く展開が想定される。
今回の相場急変は、昨夏以降急速に市場規模を拡大していた分散型金融(DeFi)市場にも大きな爪痕を残した。DeFi Llamaのデータによれば、TVL(預入資産総額)は、1000億ドル(約11兆円)規模まで減少。DeFi関連銘柄も軒並み前日比20〜30%安と暴落した。
とは言え、今年の年初にDeFiのTVLが200億ドル規模だったことを踏まえると依然として高い水準にあり、少なくとも昨夏の一過性のブームで終わらなかったことを示している。
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市場心理は過去最低レベル
また、Alternativeの提供する「Fear&Greed Index(恐怖指数)は、「極度の恐怖(総悲観)」を示す11に達した。
同指標は、ボラティリティ、市場のモメンタム、SNSの感情分析、ドミナンス、Googleトレンドから算出するもので、過去のデータを参照すると、コロナ・ショックに匹敵する数値まで急落した事になる。
オシレーターなど過熱感を示す指標は、軒並み20年3月水準まで冷え込んでおり、保有者の一斉入れ替えで需給は好転したと捉える向きもあるが、当面は予断を許さぬナーバスな展開が続く可能性も考えられる。
下値目処を探る展開か
このような状況にある中、投資家の関心は、BTCが底打ったかどうかに移行したと言えるだろう。
さらに続落した場合、主要なサポートレベル(下値支持線)は28,500ドル、24,000ドル、20,000ドルに存在するが、投資家による大量の売り注文と大規模ロスカットを伴う昨日のフラッシュ・クラッシュでは、出来高急増と共に大きな下髭を形成しており、昨年3月同様にセリング・クライマックスの判断水準は十分満たしているようにも見受けられる。
20年3月当時のBTC/USDチャートを比較すると、コロナ・ショックで暴落したビットコインは、リバウンドで急反発するも二番底を試し、その後「半減期」などの思惑もあり暴落前水準まで回復。年末に向けた大相場へと発展した。
現相場でも足元の割安感は急激に強まっており、すでに昨日の急落局面では、新たな大口投資家(クジラ)による押し目買いも観測されている。トロン創設者のジャスティン・サン氏は、平均価格36,868ドルで160億円相当のビットコイン購入。平均取得価格約2500ドルでイーサリアム(ETH)の購入を明かした。
また、機関投資家比率の高い米最大手取引所コインベースでは、ビットコインのプレミアム(現物プラス乖離)が過去最高水準の+7.69%まで急騰したことも観測されており、水面下でクジラの動きが活性化している可能性がある。
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投資家心理は、高騰局面からの相場転換時には、高揚感を示す「陶酔(Euphoria)」から、「不安(Anxiety)」⇨「現状の否定(Denial)」⇨「恐怖(Fear)」⇨「自暴自棄(Depression)」⇨「パニック(Panic)」という推移を辿るとされ、現在のフェーズを慎重に見極める必要がありそうだ。
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