ビットコイン急落
仮想通貨市場の下げが止まらない。
ビットコイン市場は19日、米ドル建で4万ドルを割り込み大幅続落。日本円建(bitFlyer)では、2月7日以来3ヶ月ぶりとなる300万円台まで暴落した。4月14日に記録した過去最高値707万円から、わずか1ヶ月で半値水準まで下落幅が拡大した計算となる。
年初から急ピッチな市場拡大で高値を更新した仮想通貨市場では、取引所、DeFi市場で大規模ロスカットが発生。パニック相場で各国の大手取引所に投資家が殺到、Coinbase、bitFlyer、FTX、Binanceのサービスの一部がダウン・または接続障害となった。
17日時点で、週足は先月半ばに上髭反転してから陰のつつみ線(大陰線)形状、日足は三尊天井を示していたほか、MACDのデッドクロスなどテクニカル的な売りシグナルが点灯していた。各国の規制面では、①中国による金融機関等の仮想通貨扱い禁止、②米通貨監督庁による仮想通貨関連の政策方針見直し③主要マイニング地域であるモンゴル自治区における仮想通貨マイニング逆風などネガティブな報道が散見されたことも、リスクオフに傾いていた金融市場でセンチメントを悪化させた可能性がある。
テスラのビットコイン決済停止の発表を受け、各国でビットコインに関連する環境問題が取り沙汰される中、テスラ社に追従するようにして参入の相次いでいた米上場企業に影響するとの見方が広がったことも尾を引いている。
直近のマーケット環境では、米ニューヨーク時間(日本時間21時頃)から大きく売られる傾向にあったが、今回の大幅下落ではアジア時間にロスカットラインを下回り、投げ売りが出たことを示唆する。
また、19日までは比較的堅調な推移で高値更新していた実需系トークン(ネットワーク系トークン・取引所トークン等)にも売りが広がり、アルトシーズンで急騰していた反動で、パニック売りも誘発している。
今回の急落は、日足の重要局面だった52,000〜53,000ドルの下値支持線を割り込み、テスラ購入発表時(2月8日)の4万ドル水準に迫ったことで、損益分岐点割れを嫌気した大口売りが、ロスカットの連鎖を誘発したことも一因と考えられる。
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大量清算が発生
データサイトbybtのデータによると、24時間で清算されたロングポジションは62億ドル(6762億円)に及び執筆時点でも更新中だ。この規模は、13日に米テスラがビットコイン決済を停止するとの報告を受け急落したビットコイン市場の清算規模(②)を超える水準で、今年2番目となる。
チャート内①は、高値更新の中でデリバティブ市場におけるファンディングレート(資金調達率)のプラス乖離やOI(未決済建玉)で過熱感が指摘されており、高値掴みのハイレバレッジ・ポジションが一掃され、約1兆円規模のロスカットが発生した4月18日のデータだ。
また、DeFi(分散型金融)データサイト「debank」の掲載によると、DeFi市場における19日の強制清算も過去最大規模となった。
DeFiのレンディングの仕組み上、担保資産の銘柄(ETHやその他のERC20トークン)が一定の価格水準を下回った際、担保率の関係から強制的に清算されるリスクがあり、これが影響した。イーサリアムなどのネットワーク系通貨も高い下落率を記録する一因となっている。
一方、オシレーターの日足「RSI(相対力指数)」では、昨年3月のコロナショック以来の水準となる20%台を下回るところまで急落しており、恐怖指数も「総悲観(極度の恐怖)」に達するなど、売られ過ぎ水準を示している。
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(追記)大暴落となった19日深夜、仮想通貨市場の下落にも度々影響したイーロン・マスク テスラCEOがビットコインは売却していない旨のツイートを発表している。
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