ビットコイン相場と金融マーケット
18日の仮想通貨市場では、ビットコインが前日比+1.09%の492万円(45,000ドル)と反発した。
17日昼と18日深夜に42,000ドルまで下落する局面があったが、42,000〜43,000ドルのサポートラインは21年1月の最高値かつ2月以降の最安値であることから、ショートの決済やロングの押し目買いが意識されやすい水準と言える。過去最高値の64,800ドル(710万円)からすでに-33%の調整幅となっており、日足のRSIも20年3月のコロナ・ショック以来最低水準の30%台まで再低下していることから、この難局を凌ぎ切ることさえ出来れば強めの反発も見込めるか。
一方、株式市場では長期金利上昇、及びインフレ懸念が再び強まっており、米国株を筆頭とする金融マーケットがさらに崩壊すればリスクアセット全般の連れ安は免れない。BTC価格が直近安値を底割れすれば、ロスカットラインを巻き込みパニック売りを招くおそれもある。その場合の下値目処としては、今年1月のレンジである年初来安値(②)の28,700ドル〜40,000ドル(313万円〜436万円)が意識されることになりそうだ。
下値支持線の200日移動平均線は、18日時点で39,700ドルにある。
イーロン・マスクCEO率いるテスラ社による15億ドル(約1600億円)相当のビットコイン購入が、米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになったのは2月8日。当時のビットコイン価格は約4万ドル(①)だった。
関連:イーロン・マスク、テスラ社のビットコイン新規売却を否定
個人投資家やアナリスト間でバブル崩壊の悲観論強まる中、20万フォロワーを擁する著名アナリストのKALEO(@CryptoKaleo)」氏は、強気の見立てを維持する。「テスラのニュースからの出来高の価格別ギャップを加味して38,000ドル付近まで下落したとしても、急反発して強気トレンドに回帰する」との見解を示した。
個別銘柄の動向
17日15時には、仮想通貨取引所のZaifにネムの新通貨シンボル(XYM)が国内初上場を果たした。
スナップショット時(権利確定日時)のネム保有者に配布されたことから、上場直後は大きな売り圧力が発生して値を下げたものの、その後急反発。始値89円、最安値22.5円、終値32円で初日の取引を終えた。18日12時時点では、36円台で推移している。
詳細:Zaif、国内初となるネムの新通貨シンボル(XYM)の板取引を開始
Zaif価格の市場背景やシンボル(XYM)については、以下の動画と記事で解説している。
詳細:仮想通貨シンボル(XYM)とは|初心者でもわかる重要ポイントと将来性
その他銘柄では、前週のビットコインの急落で仮想通貨相場が全面安となったにも関わらず、前月比+330%、前週比+100%を見せたポリゴン(MATIC)の強さが目立つ。18日にも時価総額18位の1.78ドルまで反発し、15日に付けた過去最高値1.89ドルに迫る勢いを示している。
高騰の背景にあるのは、分散型金融(DeFi)やNFT市場の隆盛に伴い問題が顕在化しているイーサリアムトランザクションの手数料(Gas代)高騰によるETHネットワークの滞留(スケーラビリティ問題)がある。
これを解消するための手段の一つに、レイヤー2ソリューション及び開発フレームワークとして脚光を浴びているのが、20年6月にメインネットをローンチしたポリゴン(Matic Network)だ。イーサリアムネットワーク上で実行できるレイヤー2ソリューションの代表的なサイドチェーンとして知られる。
安価かつ高速なポリゴン基盤の分散型アプリケーション(dApps)やDeFi及び分散型取引所、 NFTプラットフォームの台頭でその存在感を強める。国内では、最近ローンチして話題を集めるNFTマーケットプレイス「nanakusa」では、Polygonフレームワークを導入して手数料の大幅引き下げを実現した。
「nanakusa」は、公認されたコンテンツホルダーやNFT販売事業者、個人活動するクリプトアーティストが制作したNFTの販売(一次販売)及び、利用者同士が保持しているNFTを売買(二次販売)できるNFT売買プラットフォームサービス。
スクエニやセガと提携したdApps開発企業doublejump.tokyo社の「MCH+」支援タイトルでもPolygonへの対応を始めるなど、国内でも浸透しつつある。
[お知らせ]
— doublejump.tokyo株式会社 (@doublejumptokyo) March 23, 2021
MCH+支援タイトルが Polygon( @polygon )対応を実施いたします。
国内では初のマルチチェーン対応の事例となります。
Polygonとのパートナーシップを通してMCH+タイトルの課題を解決すると共にさらなるエコシステムの拡大を目指して参ります。https://t.co/DvWV4nCEWa
海外の事例では、DeFiレンディングプロトコル最大手のAaveにおけるポリゴンの流動性マイニングプログラムでは、ローンチ10日で預かり資産のTVL(total value locked)に10億ドル、75,000人以上のユニークユーザーが確認されたほか、DeFiイールドプロトコル「mStable」では、圧迫されていたユーザーの取引手数料が大幅に削減された。
1/ mStable has launched on Polygon 🚀@mstable_ offers @0xPolygon users another source of USD and BTC liquidity, a DeFi-native savings account and two risk minimised meta-stablecoins.
— mStable 🧮 (@mstable_) April 26, 2021
Get started: https://t.co/aLx10WWwEN
Learn more / Guide: https://t.co/e5G36VBJip
イーロン・マスク氏の発言を発端としたビットコイン(PoW通貨)に関するエネルギー効率、及び環境問題議論が再燃する中、PoS通貨であることも追い風とされる。
14日には、トランザクション料金削減ともに、ユーザーベースのスケーラビリティ、相互運用性、ユーザーエクスペリエンス強化として分散型金融エコシステムのYFDAIと提携したほか、18日には老舗取引所のクラーケンにリスティングされた。