Polkadotの実験ネットワーク「Kusama」、パラチェーンオークションを開始
パラチェーンオークションを開始
Polkadot(ポルカドット)の実験的なネットワークとして利用される「Kusama(クサマ)」で、1回目のパラチェーンオークションを開始する提案が、審議会の3分の2以上の賛成票を得て可決された。
Polkadotと同様、Kusamaは異なるブロックチェーンを接続して相互運用を実現するネットワーク。PolkadotとKusamaに接続する個々のブロックチェーンを「パラチェーン」と呼ぶが、今回のオークションは、そのパラチェーンを順番に選んでいくために行われる。Kusamaのオークションはすでに開始しており、問題なく進行できることを確認して、Polkadotでのオークション開始につなげる計画だ。
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Kusamaのオークションの日程は、今月に入って発表された。その際、審議会の承認が得られれば、日本時間の15日21時ごろから1回目のオークションを開始すると説明。ネットワークの状況を確認できるホームページ「SUBSCAN」では、1回目のオークション終了までのカウントダウンも行われている。
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KusamaはPolkadotの実験の場として利用されるネットワークなどと呼ばれるが、「テストネット」という位置付けではない。Polkadotでできることをほとんど実行でき、経済的価値があって、バイナンスやクラーケンなどの大手暗号資産(仮想通貨)取引所に上場する「KSM」というトークンも存在する。
Kusamaはパラチェーン接続のための条件がPolkadotよりも低いことから、初期段階にあるプロジェクトらに利用されていくとみられる。
ブロックチェーンを利用したプロダクトを開発するプロジェクトが、パラチェーンとして接続することを目指すのは、主に以下のようなメリットがあるからだ。
- 他のブロックチェーンとの相互運用を実現して、ネットワークの処理能力を向上させる。
- 他のブロックチェーンとの相互運用を実現して、スマートコントラクトを利用する。
- ネットワークの基盤となる「リレーチェーン」のセキュリティを活用し、開発コストを抑える。
このようなメリットがあるため、PolkadotとKusamaへの接続を希望するブロックチェーンは多いが、現時点ではどちらも、パラチェーンの数の上限を100と設定。上限があってどのブロックチェーンでも自由に接続できる仕組みではないため、オークションが行われていく。
オークションの勝者は、指定期間において、Kusamaであればネイティブトークンの「KSM」、Polkadotであれば「DOT」の保有量に応じて決定する仕組みだ。
Kusamaの1回目のオークションは22日までの予定で、1つのオークションで1つのパラチェーンが決定する仕組みとなっている。1週間ごとに5つのオークションを行なった後は、ネットワークの環境を確認。問題ないことが確認できれば、およそ2週間ごとに開催するスケジュールに移行するとしているホームページもあるが、その後も1回目と同様のスケジュールで5つのオークションを行うことが提案されているという。
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日本発のプロジェクトも参加
トークンの保有量がオークションの勝者を決定するため、各プロジェクトはできるだけ多くのKSMやDOTを集める必要がある。そのために用意されている仕組みが、コミュニティらからトークンを借りることができる「クラウドローン」。クラウドローンのサポートを行うと発表している暗号資産(仮想通貨)取引所もあり、そこの顧客は、直接自身が支持するプロジェクトにトークンを貸し出すことも可能だ。
クラーケンはKusamaのオークションスケジュールの発表と同時に、まずはKarura NetworkとShiden Networkのオークションをサポートすることを発表。公式ホームページによると、その後サポートするプロジェクトは増えている。その中で最初に発表されたShiden Networkは、日本発のパブリックブロックチェーンだ。
Kusamaに接続するためのShiden Network、Polkadotに接続するためのPlasm Networkの開発を主導するのは、渡辺創太氏が代表取締役CEOを務めるステイクテクノロジーズである。
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