仮想通貨投資家の感情データ、6週間ぶりに好転 CoinPost週次データレポート

7月の仮想通貨動向

7月第3週の暗号資産(仮想通貨)市場。21日にはイーロン・マスク氏やジャック・ドーシー氏らが機関投資家向けのビットコイン(BTC)関連イベント「The ₿ Word」に登壇。マスク氏が自身のイーサリアム(ETH)保有やSpace X社のBTC保有を明かし、注目を集めた。

出典:CoinMarketCap

イベント後、ビットコインは32,000ドルまで高騰。その後、ツイッターのビットコイン採用や、アマゾン社のビットコイン決済導入が年内に行われるとする関係筋の報道が拡散されるなど、好材料も市場を後押ししてビットコイン価格は週明け月曜日の26日に35,000ドルを突破した。

イーサリアムは一時3月以来の安値1,700ドル台まで下落したが、大型アップデート「ロンドン」まで2週間を切った他、マスク氏のETH保有報道などで2,000ドルまで回復した。

出典:CoinMarketCap

関連:イーロン・マスク氏、自身のイーサリアム保有とSpaceXのビットコイン保有明かす

時価総額TOP20の騰落率

時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(25日時点:ステーブルコイン除く)

  • シータ(THETA)+37.94%
  • ポリゴン(MATIC)+18.16%
  • イーサリアム(ETH)+15.61%
  • イーサリアムクラシック(ETC)+15.42%
  • ステラ(XLM)+13.44%

参照:CoinMarketCap

関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化

仮想通貨取引所の出来高

仮想通貨取引所の現物取引量は下落相場の閑散市場の影響を受け、低迷している。26日時点では6,108億ドル(67兆円)となっており、年初来で最低水準も視野に入る状況にある。26日の価格高騰で出来高も再び盛り返したが、市場価格が高値を維持できるかが鍵となりそうだ。

ビットコインのオンチェーン・データ

ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。

CMEのビットコイン先物

CMEのビットコイン先物の取引量とOIも引き続き減少傾向にある。特にビットコイン先物の取引量は年初来最低ペースで、昨年10月以来の水準に達する見込みだ。

一方で、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)など金融大手が富裕層向けに仮想通貨商品を提供する動きも出てきており、機関投資家向けの仮想通貨投資商品の選択肢が増えていることが取引量の減少につながっている要因との指摘もある。

関連:JPモルガン、富裕層投資家から仮想通貨投資信託の注文を受付へ

BTCホルダーの収益率が回復

仮想通貨データ分析企業Glassnodeは26日、ビットコインの価格上昇を受け210万BTCの収益性がプラスに転じたと分析。(実現価格ベースで算出)

これは総流通量の11.2%に相当する量で、オンチェーン上の分析によれば購入価格は29,000ドルから38,000ドル(320~420万円)と予測される。

Glassnodeは19日、先行きが不透明なビットコインの今後の展開を予測するレポートを発表しており、オンチェーンデータ上の購入者の価格帯でビットコイン価格の重しになる懸念を示していただけに、重要な進展といえる。オンチェーンデータを基に、強気シナリオと弱気シナリオの2パターンを想定した内容は、以下のリンクから確認できる。

関連:ビットコイン市場に「2つのシナリオ」 仮想通貨企業Glassnode分析

取引所のビットコイン残高

また、データ分析企業Santimentの統計では、ビットコイン供給量における取引所の保有比率が年初来際低水準まで再び低下していると指摘。売買が容易とされる取引所から引き出されることで市場の売り圧減少につながるとしてプラス要因として捉えているという。

7月上旬には同様の現象がイーサリアムでも観測されていた。

関連:大口ビットコイン投資家は買い継続 イーサリアムは売り圧低下を示唆するデータも

ビットコインのSNSセンチメント

また、Santimentのセンチメント分析によれば、ツイッター上の投資家感情がプラスになったと発表。テスラのBTC決済中止や、中国の規制強化が影響した5月の急落以降、SNS上のセンチメントはマイナスが続いていたが6週間ぶりにプラスに転じた。

Santiment社は17日、歴史的な傾向ではビットコインのセンチメントがマイナスの局面では価格が上昇した際の上げ幅が上昇しやすいと指摘していたばかりだった。

センチメント分析とは

AI(人工知能)などの機械学習モデルを利用し、ツイッター上のデータから文字情報を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類し点数化。これまでの傾向によれば、価格上昇に伴い楽観系ツイートが増加し、下落に伴い悲観的な投稿が増加する傾向があるという。

▶️仮想通貨用語集

ビットコイン日間取引量

ビットコインの日間取引量は2020年10月の水準まで下降。Santiment社はこのような取引量の減少は価格の下落を示唆する訳ではなく、一つ一つのトレードが市場に与える影響がより大きくなるだけと分析した。

イーサリアムのオンチェーン・データ

イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。

ETH2.0 ステーキング額

イーサリアムのステーキング額は前週比で約7万ETH増加した。直近数週間はステーキングのペースがやや減少している。

ステーキング額:641万ETH(前週比+7万ETH)

出典:CryptoQuant

関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み

イーサリアム月間取引数

CoinPost提携メディアThe Blockの統計では、イーサリアムの月間トランザクション数は26日時点で2,988万を記録。このままいけば、これは20年6月以来の低水準となる予定で、ここ数週間続くオンチェーン活動の弱さを映していると言える。

新規のETHアドレス

また、イーサリアム・ネットワーク上の新規アドレス数も5月以降、減少傾向が続く。25日時点では、新規アドレス数の7日平均値は約8万アドレスまで低下し、これは20年10月以来の水準だ。

DeFi(分散型金融)

DeFiプラットフォームのTVLは25日時点で1,039億ドル(約12兆円)だった。

【前週比:-45億ドル(約5,000億円)】

出典:DeFi Llama

TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。

DEXアグリゲーター

DEXアグリゲーターの取引量は現段階では年初来で最低のペースだ。イーサリアムの活況をはじめ、DEXの利用が拡大していた5月の取引量は過去最高だったが、6月以降は減少気味だ。1inchが引き続き取引量の大きな割合を占める。

DEXアグリゲーターとは

複数の分散型取引所(DEX)にアクセスして、最善の取引価格を表示するアルゴリズム。代表例では1inchやUniswap、Kyber、0xなどが挙げられる。

▶️仮想通貨用語集

関連:DEXアグリゲーターOpenOceanの独自トークン「OOE」とは

クリプト指標

                
日程 指標

7月26日頃

Synthetix Optimism ローンチ

7月29日

コインチェック Palette Token(PLT)上場

7月31日頃

Optimismパブリック版のリリース予定(7月頃)

コインチェックのパレットトークンの取扱い開始

7/29

コインチェック株式会社は26日、IEOの第一弾として実施していたパレットトークンの配布におけるシステムトラブルを報告。取扱い開始日を当初予定されていた27日から29日12時に延期する方針を発表した。

関連:コインチェック、パレットトークン(PLT)の上場を29日に2日延期へ

前回の週次レポートはこちら:ビットコイン、価格動かず関心低下 閑散市場を専門家はどう読む?

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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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