7月の仮想通貨動向
7月第1週の暗号資産(仮想通貨)市場は、ビットコイン(BTC)が水曜日にかけて36,000ドルまで回復。しかし上値は依然重く、週明けにかけてレンジ相場を継続した。
一方、目先材料にも富んだイーサリアム(ETH)2週間ぶりに2,300ドル台に到達した。JPモルガンのアナリストらもステーキングが新たな収入源になるとの分析を発表するなど、中長期のイーサリアム需要を指摘した。レポートでは、ETH2.0への移行完了後、仮想通貨業界全体のステーキング収益は2025年までに現在の約4倍の400億ドル(約4.5兆円)まで拡大すると予想した。
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時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(ステーブルコインは除く:4日時点)
- イーサリアムクラシック(ETC):+32.87%
- ユニスワップ(UNI):+21.5%
- イーサリアム(ETH):17.32
- ビットコインキャッシュ(BCH):+10.39%
- ライトコイン(LTC):+9.49%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
仮想通貨取引所の取引量
仮想通貨データ分析サイトSantimentの統計によれば、週末にかけて仮想通貨取引所の入金(Inflow)と出金(Outflow)は年初来最低水準を記録。日曜日(4日)は米国では独立記念日だったため、影響が考えられるとした。
📊 #Bitcoin nearly hit $36k again before dropping back down to $34k on a strikingly low exchange volume weekend. There was such low exchange inflow & outflow activity, in fact, that our data indicated exchange volume hasn't been this non-existent all year. https://t.co/HRKtuxVKne pic.twitter.com/FeqVb2E6Yf
— Santiment (@santimentfeed) July 5, 2021
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
CMEのビットコイン先物
先週の週次レポートでもお伝えした通り、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物は、OI(未決済建玉)と取引量が共に3ヶ月連続で減少。6月は両指標が年初来最低の水準を記録する形となった。
大口アドレスはBTC買い増し
また、Santimentの分析によれば、100〜10,000BTCを保有する大口アドレスは7月にビットコイン保有量を急増。同アドレス群は7月4日時点では912万BTCを保有しており、6週間で10万BTCを買い集めた格好となる。
大口の保有残高としては保有量が急増しており、買い集めの傾向を強めている可能を指摘する見方がでた。
🐳 #Bitcoin's whale addresses holding between 100 to 10k $BTC kicked off July with a 60k $BTC accumulation apike, the highest daily spike of 2021. These addresses hold 9.12M coins combined after holding 100k less $BTC just 6 weeks ago. https://t.co/RmbojWllGv pic.twitter.com/9Mp65UfGyV
— Santiment (@santimentfeed) July 4, 2021
著名オンチェーンアナリストのWilly Woo氏も1,000〜10,000BTCを保有するアドレス群の保有するBTC量が急増したと報告。クジラがビットコインを買い集めていると指摘した。
Whales:
— Willy Woo (@woonomic) July 3, 2021
"Nom nom nom… BTC so yummy today." pic.twitter.com/TLoHyaJtn2
歴史的なBTC難易度調整
一方、3日に完了したビットコインの難易度(ディフィカリティ)調整は過去最大規模のマイナス27.94%を記録した。ブロックの平均生成時間も13分53秒とワーストを大きく更新している。
ビットコインの難易度調整は5月末以降、3度連続でのマイナス調整が続く。
背景には5月下旬に仮想通貨マイニング・取引への取り締まり強化を表明した中国当局の影響がある。中国からの撤退を余儀なくされているマイニング事業者は米国やカザフスタンなど、安価な電力を有する拠点へと移動している最中だ。
米ワイオミング州やテキサス州、マイアミ市(フロリダ州)などマイニング業者の誘致に積極的な自治体もある反面、世界TOP5のマイニング拠点である中央アジア・カザフスタンは採掘業者への追加課税を導入する法案を可決した。
関連:カザフスタン、仮想通貨マイニングに課税 2022年から
Willy Woo氏:底値を示唆か
アナリストのWilly Woo氏も今回のマイナーの撤退(BTC難易度の易化)は中国政府の影響だと指摘。その一方で、マイナーの「降参」(Capitulation)は歴史的には底値のシグナルとしては優れているとした。
Today is the political version of “miners capitulation”, selflessly brought to you at much sacrifice by China.
— Willy Woo (@woonomic) July 3, 2021
Miner’s capitulation has historically been a good bottom indicator. https://t.co/UDoFHZh9vz
BTCハッシュレート
一方、ビットコインのハッシュレート(採掘速度)は27日の61EH/sから難易度調整を経て再び回復傾向にあり、一時97EH/sまで回復している。
関連:ビットコインのハッシュレート急落、把握したい3つのこと
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
イーサリアム2.0へのステーキング額は下落気味のETH価格に左右されず、引き続き増加を記録した。
ステーキング額:609万ETH(前週比+16万ETH)
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取引所のETHデポジット量、2018年以来の低水準
Santimentの統計によれば、イーサリアム保有者は仮想通貨取引所からデポジット(出金)を継続。取引所に預け入れされているイーサリアムの供給量は2018年11月以来31ヶ月ぶりに18%を下回った。
📉👍 To kick off July, #Ethereum holders continued to make history by lowering the percent of $ETH held on exchanges to its lowest ratio since November, 2018. Dropping below 18% for the first time in 31 months lowers the risk of a future major selloff. https://t.co/h7WmA7IoEI pic.twitter.com/rfyT9lwBHy
— Santiment (@santimentfeed) July 2, 2021
Santimentは売り圧力の低下につながると指摘した。
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは5日時点で1,128億ドル(12.5兆円)だった。
【前週比:+40億ドル(4,400億円)】
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
アクティブアドレス増加
また、SantimentはDeFiプロトコルのアドレス活動が再び活発化していると指摘。以下のプロジェクトでは、28日から約一週間でアクティブ・アドレスは以下の通り、増加した。
- AAVE:+24.1%
- Maker:+97%
- Uniswap:+72.5%
- Compound:72.8%
📈 #DeFi season is showing signs of ramping up again, as many of these #altcoins are recovering very well against the price of $BTC. Since Monday, active addresses for the following projects are:$AAVE +24.1%$MKR's +97.0% $UNI +72.5%$COMP +72.8%
— Santiment (@santimentfeed) July 1, 2021
https://t.co/OED5XVj8cv pic.twitter.com/XL5IGVTGOu
クリプト指標
日程 | 指標 |
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7/6 |
Kucoinに対する委員会聴取開始日 |
7/9頃 |
ビットコインETF フィデリティ社に対するSECの可否判断 |
前回の週次レポートはこちら:ビットコイン買い戻し傾向か データで読む仮想通貨市場
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