米SEC委員長、仮想通貨市場の規制方針を語る──公聴会の原稿
「仮想通貨取引所もSECへの登録が必要」
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は14日、米上院で暗号資産(仮想通貨)市場への対応方針について報告する予定だ。上院銀行委員会がすでに、ゲンスラー氏の証言原稿を公開している。
ゲンスラー氏は原稿の中で、多くの仮想通貨取引所が、証券取引所として登録する必要があるとの考えを表明。該当部分は以下の通りだ。
仮想通貨取引プラットフォームの多くに、数十から数百のトークンが登録されている。各トークンの法的地位はそれぞれの要素や状況によって異なっているものの、どの取引所も一つは証券の定義に該当するトークンを取り扱っているだろう。
これらの取引所が、法的に証券とみなされるトークンを扱っている限り、例外的に免除される場合を除いては、SECに登録する必要がある。
2つの方向性
ゲンスラー氏は、改めて仮想通貨市場に対するSECの監視を強化したいと示した格好だ。現状について、仮想通貨を対象とする規制枠組みがほとんど整備されていないとして、次のように述べている。
仮想通貨の金融、発行、取引、レンディングにおいて、投資家保護は十分ではない。この資産クラスには、詐欺や不正行為が蔓延しており、乱用されている部分もある。
こうした状況を改善するために、ゲンスラー氏は、2つの道筋に沿って作業することをSEC職員に求めたという。
1つ目の方向性は、他の規制当局とも協力しつつ、SECが現在持つ権限の範囲で、仮想通貨市場に投資家保護をもたらすこと。2つ目は、議会の協力を得て、現在足りない要素を(立法的に)埋めていく方法を探る。
ゲンスラー氏によると、課題として挙がっているのは次のような領域である。
- 仮想通貨トークンの発行や販売
- 仮想通貨の取引・レンディングプラットフォーム
- ステーブルコイン
- 仮想通貨へのエクスポージャーを提供する投資商品
- 仮想通貨のカストディ
規制枠組み構築に取り組んでいく上では、CFTC(商品先物取引委員会)をはじめとして、FRB、財務省、通貨監督庁などとも協力していきたいとしている。
DeFiへも規制を拡大か
ゲンスラー氏は8月、DeFi(分散型金融)の領域にも、規制対象となり得るプロジェクトが存在していると指摘。SECが同月には、ブロックチェーン分析企業とスマートコントラクトを追跡する技術の提供について契約を結んだことも明らかになっている。
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スマートコントラクトとは
あらかじめプログラムされた条件に応じて、自動的に契約を執行する仕組みを指す。スマートコントラクトは、設定されたお金を投入し、希望する商品のボタンを押すと自動的に売買が行われる「自動販売機」に例えられることが多い。スマートコントラクトの機能が実装されているブロックチェーンで代表的なのはイーサリアム。契約を締結する際には、仲介者や契約書作成などの事務作業が必要になる場合が多いため、自動的に契約を執行できるようにすることで、効率性向上やコスト削減などが期待できる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します