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仮想通貨貸付は証券法違反か? 米コインベースがSECから法的措置前の事前通知を受ける

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SEC、コインベースに法的措置を示唆

米SEC(証券取引委員会)は、大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが提供する予定の「貸付金利商品(CoinbaseLendプログラム)」を有価証券とみなしている可能性がある。

同社が8日に、SECから法的措置を取る可能性を事前に通知する「ウェルズ・ノーティス(Wells notice)」を受け取ったことを発表した。SECが米コインベースを訴える意向があるという趣旨だという。

同社のPaul Grewal顧問弁護士は、「SECとの対話は数ヶ月に及んでいた。先週水曜日、SECから訴訟に関する通知を受けた。」「これまでSECが要求した書類を全て提出していたにもかかわらず、訴えられる理由は理解できない」と述べた。

背景

ことの経緯は「Lend」という貸付商品(最大年利4%)をローンチする前に、SECに事前に商品のローンチ予定などの事項を伝えたところから始まった。

Grewal顧問弁護士によると、Lendをローンチする前に、SECに「有価証券ではなく、あくまで預金の貸付を行っているだけだ」と説明。

「Lend」は投資商品としては考えておらず、顧客から預かったUSDCoin(USDC)は、請求があればすぐに返すことができる仕組みになっているとした上で、その他関連書類もSECに提出したが、SEC側の返答は「Lendが有価証券に関わると考えている」という回答が返ってきたという。理由については説明されていない、としている。

また、今年6月にLend口座の「ウェイティングリスト(参加予約窓口)」をオープンした際も、SEC側から何も事前通知は行われなかったが、その後は正式な調査を実施しはじめたとの報告があったと指摘。

Coinbase側は、プライバシーの観点から提出を避けた参加予約窓口の顧客情報以外、企業証人によるLend関連の証言の提供、およびさまざまな書類やドキュメントの提出も要求してきたことから、指示に従っていると説明。しかし今になって、仮にLendをローンチすれば、訴訟を起こすという状況に至っている、とGrewal氏はコメントした。

問題点は?

Grewal氏はSECがみなす問題点について、「SECが唯一伝えてくれたのは、審査基準がハウィー(Howey)テストということだったが、実際の審査・評価の詳細は何も教えてくれなかった」と述べた。

ハウィーテストとは

ハウィーテストは、SECのW.J.Howey社に対する訴訟事件に由来し、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト(判例の1つ)。これ自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対してリーガルアクションを起こした経緯がある。(関連記事

▶️仮想通貨用語集

今回の事例でGrewal氏は、SECの姿勢について次のように述べた。「SECは、日頃から対話を歓迎する方針を掲げているが、今回の通告は不透明感が強い」、「健全な規制関係は、対話あったこそ成り立つものであり、情報封鎖は不適切だ。」と指摘した。

Lendのローンチについては、SECのアクションを受け、少なくとも今年10月まで延期するとしている。

大手仮想通貨データ企業Messariの創設者Ryan Selkis氏は、SECのアクションについて次のような見解を示した。

「SECのGensler委員長は、次期財務長官のポジションを狙っている。仮想通貨業界などで「消費者保護」を装った訴訟を起こすことで、手柄を確保するという政治的な目的があるのではないか」

BlockFiの事例も

コインベースの事例と似たものは過去にもあった。

米大手貸借サービスプラットフォームのBlockFiは今年7月、ニュージャージー州やアラバマ州、テキサス州などの州で、提供する有利子口座(BlockFi Interest Account)を未登録の有価証券とみなされ、口座の新規開設に対する停止命令を受けていた。

BlockFi Interest Account(BIA)も、顧客が仮想通貨を入金することで利子を付与される口座であり、州の規制当局はBlockFiがBIA口座の販売で資金を調達したとして警告を行なっている。

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